湘南空手道連盟OB会

62 必殺技の予感②

カンフースーツで通ってくる川崎さんは横の動きが得意だ。

後年 田邊塾で会う大畠さんに感じが似ている。


前蹴りは苦なくかわされるし

突きの連打も回り込まれてしまう。

俺が離れて顔蹴れれば対応も違うのだが苦戦していた。


右で足払いを出した時だ

左へ逃げるので

そのまま腰を入れて

スネで左足に蹴り込んだ。

川崎さんがバランスを崩した。痛がっていた。


「おお、ローキック、いいぞ」


渋いあの声で真樹先輩からお褒めの言葉を頂いた。

生まれて初めて出したローキックである。


『これは使える』


もともと体が固いのだ。

ハイキックより向いているのは間違いない。


今見たら笑えるくらい遅いのだろうが

なにしろ当時 一般人はあまり馴染みのないキックである。

寸止め業界では まだまだ実体験で知られていない。

それから地道に鍛え出す
実戦で使うにはまだ時間がかかった。

しかし
これが村田空手の大きな戦力になるのだ。
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