湘南空手道連盟OB会

200 釈放

けたたましいサイレンが鳴ってパトカーが数台やってきた

わけではなかった。

すぐに来たのだが

何故かサイレン無しである。

私服の警察官までいる。


 直感だが通報に対応してきた感じではない。


倒れている小崎を面倒臭さそうに見てから

あまり調べもせず

栗山に事情聴取。

やがて俺の方に来て

「どういう事なんだ?」

名前も何も聞かずいきなりそういわれても困った。

と言うかこっちが聞きたいわ。

「彼は未成年 巻き込まれただけです」

 栗山がフォローをくれた。

構わず制服の警察官が

「君を呼び出した福島という人は?」

「ヤバくなったらドアから逃げました」

「連絡先は?」

「044~~ですね」

「よく覚えてるね。親友?」

「いや違います。数字覚えるのは得意で」

 10代の頃のデジタル記憶力は良かった。

 しばらくして

 周囲の警官も困ったような顔をして


 「君は署で話を聞こう」


 救急車が遅れて来た。こちらは普通にサイレンで登場。

 
 しかし入れ違いに俺をパトカーに乗せて一台が署に向かった。



川崎署

おでこには絆創膏

さらにタオルを巻いていた。

小崎が飛んできたときナイフがおでこをかすっていたようだ。

まあ 飛び込んだのは俺だが

 冬なのに暑い暑い。


「お父さんにも話したけど

また来てもらうからね。もうあんな店は行っちゃだめだぞ」


「栗山さんは?」


「病院からまだ戻っていない

 戻ってきても さすがに帰れないね」


「助けてくれたんですが」


「君は 彼は正当防衛だと言ったけど ちょっとね」


『まあ、相手死んでますからね』


と言おうとしたがやめた。


 なぜか言える雰囲気では無い。

うまく言えないが

俺とは関係ない所で俺の知らない何かが進行していたようだ。

しかし そのおかげで助かったようだ。
 
それに今だったら

未成年とは言え 俺も帰れなかったかもしれない。


思えば

開き直ったのは店に警察が来るまでだった。

いつもの真面目なお坊ちゃまモードに戻っていた。

普段の自分に戻ったら 疲れがドッと出てきた。
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