独学日記

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「独学のすすめ」をよむ

2024-09-16 17:26:22 | 日記

たまたま、本棚にある加藤秀俊「独学のすすめ」を読んでいたら、次のような文章にであった。

 

「アメリカの心理学者に、D・マクレランドという人がいる。」39頁 ちくま文庫からの引用。

 

河原宏の本で批判されていたマックレランドの事だろうか。おそらく同一人物だとおもわれる。

加藤秀俊はマックレランド(マクレランド)の思想に肯定的である。マックレランドの著作、「達成動機」について加藤はこう書く。以下、「学問のすすめ」からの引用。

 

「この書物は、かなり大きな本だが、その要点をかいつまんでいうと、およそ社会が生き生きと活気をもっているときには、かならずそれに並行、あるいは先行して、その社会を構成する人びとがつよい「達成動機」をしめした時期がある、という一種の歴史心理学なのである。「達成動機」とはなにか。それは、わたしたちの日常言語に置きかえていえば、「やる気」ということである。なにごとかを成しとげてやろう、という積極的な気がまえのことである。そういう「やる気」が根源になって、社会は発展し繁栄する、というのがマクレランドの学説なのだ。」39〜40頁

 

河原宏には「前傾的な思考」と見えたものが、加藤秀俊には、「すばらしいもの」に見えているのだ。河原の言う、戦後の日本人の「怨念」は、加藤にはおそらく見えていない。

 

 

 

 

 

 

 


河原宏をよむ・続き

2024-09-16 16:18:33 | 日記

河原宏「漂白する現代人・現代日本の心情と生活」を読んでいる。

 

敗戦後、日本の復興のエネルギーとなったものはなにか?河原は「怨念」だ、と言う。

 

「一人一人の日本人が自己の後ろに背負っているものはなにか。それはある種の怨念であろう。鎮められることのない怨念は、行動の一つのエネルギー源たりうる。このような行動は憑きであり、憑依である。こういってしまえば実もふたもないが、戦後経済成長も実は日本人が背後に背負う怨念にもとづく憑依の行動の成果だったのではないか。」12〜13頁

幕末の開国から太平洋戦争までの近代日本の歴史も、このような「怨念」に貫かれていると河原は言う。

「よかれ悪しかれ百数十年間、鎖国しながら太平の眠りをまどろんだ日本人が、心の底から開国を歓迎して受け入れたのではない。ましてやそれはペルリ艦隊の威圧の下に行われたのである。このことは、日本人の心の底に深い怨念をひそませることとなった。」14頁

 

筆者の幕末、明治時代のイメージは司馬遼󠄁太郎からもらい受けたものが多い。つまり、「明るい明治」。司馬史観、とも呼ばれるものだ。だが、河原の語る「怨念を背負っている明治」のほうが、なぜだかリアルに迫ってくる気がする。