SYUUの仕事部屋:ものづくりの世界のしくみをもっと深く知ろう!

製造業(メーカー)の仕事の仕組みをご紹介しています。

新商品開発1

2024-04-28 10:18:15 | 888私の履歴書ー仕事編-

(MyGardenのチューリップ)

 

 新商品の開発のために必要なことといえばまずは「顧客ニーズ」となります。

 ということで、顧客ニーズの調査を開始することとしました。

 もっとも、顧客ニーズといっても、その顧客とは誰でしょうか?車を利用する人、つまりは一般のコンシューマーも当然顧客ということになります。しかし。この場合は単純ではありません。一般消費者向けの販売ルートの開拓、宣伝広告など広範囲な展開が必要となります。

 そこで、現在持ちうる資源(技術と販売ルートなど)の有効活用を図ることをまず第一として、新商品ニーズの調査をすることとしました。つまりは、問屋さんー部品商―修理工場のルートです。

 やみくもに行っても非効率のため、以下の手順で進めました。なお。主力のメンバーは設計を含めた企画部門全員(といっても5名)と同じ部(東京営業本部)の営業責任者2名にも加わってもらい.ました。

  • 全国の営業所(7か所)にニーズ調査の依頼
  • 東京本部.管轄地区の問屋営業所と主要部品商の巡回訪問(営業部員に同行)
  • 関東地区の修理工場数か所の訪問調査(営業部員に設計担当が同行、主に技術ニーズの調査)
  • ①の結果収集後全国の営業所の行脚。各営業所の担当顧客(問屋営業所及び主要部品商、大手修理工場の巡回訪問)

 

以上の調査はおおよそ半年に及びました。

その結果、10点ほどの新商品案が浮かび、その中から4品目を選んで開発進めることにしました。

 

(つづく)

 

 

 

 


営業マンとして

2024-04-14 09:14:11 | 888私の履歴書ー仕事編-

(MyGardenのスイセン)

 

 営業部門での在籍は結局7年間ほどでした。

 その間、主要な仕事は、これまで紹介してきた新商品(新規部品)の開発とカタログ作りでした。いわば営業企画の仕事です。マーケティング用語で言えば「販売促進」の仕事、実際の営業マンのサポート役ということになります。
 したがって、営業マンの要望なども取り入れながら、担当の仕事をしていれば一応役割は果たせることになります。
 つまりは。ある種縁の下の力持ちで、淡々と同じルーテーィンの仕事をこなしていけばいいということになります。
 しかし、これでは仕事に主体性が持てず前向きな仕事とはなりません。顧客に行って注文を取る仕事はしないものの、営業マン経由で顧客の要望を聞くのではなく、直接顧客から要望を聞き新商品の開発に生かす。そういった意味での営業マンとなるべく、仕事の幅を広げる活動をすることとしたのです。

  商品(部品)は自動車部品の専門商社(問屋)を通じて、町の部品商、そして実際に使用する修理工場に納入されます。したがって。直接の顧客は問屋さんということになります。
 ということで、まずは問屋さんの営業所まわりからスタートすることとしました。普段から定期的に担当者が営業所を巡回して注文取りを行っていますので、それにちょくちょく同行させてもらって、営業マンの仕事の内容なども覚えて、同行した際は手伝うようにもしました。

 ということで、今日は最後に営業マンの仕事の内容をご紹介して、今日のお話を終えたいと思います。

 営業マンですから、いかに売り上げを増やすか、というのが役割です。したがって、ライバルに負けないようお客さんに「買ってください」と売り込みをするというのが一般的な営業マンのイメージです。
 しかし、直接のお客さんである問屋さんに対してはライバルメーカーはなかったのです。どの業界も同じということはありませんが、自動車部品の市販品の問屋は、仕入れの市販品メーカーを1社に絞っていたのが一般的だったのです。
 したがって、営業マンの仕事は「何か足りないものはありませんか?」と御用聞き的なものになります。しかし、これでは不十分なため、実際には、問屋の倉庫に入って、在庫を確認して、在庫切れがあれば、その分の注文を出してもらうという、かなり地味は仕事になります。同じようなことですが、月末の棚卸の時には当然手伝いに出ます。

  ここまでですとあまり積極的な営業活動とは言えません。つまり問屋の業務代行的な仕事で終わってしまいます。それと、売り上げの拡大も、問屋の販売力の範囲内ということになります。
 このため、拡販にはライバルメーカーの顧客を喰う、そういった営業活動をする必要があるわけです。それは問屋の顧客、つまり部品商に売り込みを図る、つまりは問屋の営業活動の支援をする活動が必要になるわけです。
 もちろん部品商もある程度仕入れ先の問屋を限定していますので、食い込みは簡単ではありません。問屋と同行、またターゲットの部品商を問屋と相談して、単独でも部品商を定期的に訪問、自社商品の宣伝活動を地道に進めるのも営業マンの大事な業務となっていました。

 ということで、営業マンに同行して、問屋や部品商の動向を知る中で、次第に、拡販にはまずは品ぞろえ(カバレッジ)が特に重要なことと、さらなる拡販にはライバルメーカーとの差別化をいかに図るか、それには新商品、ライバルメーカーにはない独自商品の開発が必須であると強く感じたのです。

 本日はここまでですが、ということで、新商品開発のお話を次回はしたいと思います。

 

 (「新商品開発」につづく)

 

 

 

 

 

 


市販品メーカーへの道4・カタログ作成(2)

2024-03-31 10:01:38 | 888私の履歴書ー仕事編-

(よみうりランドジュエルミネーションより    2023年12月19日撮影)

 

 カタログの原稿作成方法はこんな具合です。

 ①ライバルメーカーの品番別一覧表に自社の品番を採番する。
 ②ライバルメーカーの車種別カタログの品番を自社品番に置き換える。

 つまり、最初はいたって単純な方法ですが、ライバルメーカーカタログをそっくりまねてカタログを作成したわけです。

 ここで①の作業はカタログ作成以前に行っていたことです。それは、開発すべき部品を選定するための作業として行ったものです。つまり、自社で開発積みの部品をライバルのカタログと照合して未開発の部品をリストアップする作業で行ったものです。新しい部品開発の初期段階で行った作業です+。

 しかし、この方法では、ライバルメーカーのカタログが発行されるまでは、新規の部品の開発も自社のカタログ作成もできず、ライバルの後追いとなってしまいます。

 ということで、初回はこの方法によりましたが。2回目からは違う方法つまり本来すべき方法をとりました。
 その方法は先に一部お話済みですが、次のとおりです

 ①カーメーカーの新車の発売時に、その新車の部品カタログを入手する。
 ②入手したカタログを確認して、純正の品目番を自社の品目番号に置換する。
 ③置換できなかった部品は新規開発部品としてリスアップし、品番を採番し開発計画に追加する。
 ④純正のカタログの純正品番を新規に採番した自社品番に置き換え、これにより新車のカタログ原稿を作成する。

 以上により、これまでライバルの市版部品メーカーの後追いであった開発もカタログ作成も少なくとも同レベルとなりました。

 この結果、新規部品の開発も順調に進み、カタログも整い。これに伴い売上も順調に拡大していきました。
 そして、私の仕事に内容も新規部品の開発、カタログ作りから次第に本来の営業の仕事へと広げていくことになりました。

 

(市販品メーカーへの道:おわり)

 

 

 

 

 


市販品メーカーへの道4・カタログ作成(1)

2024-03-17 09:51:43 | 888私の履歴書ー仕事編-

(よみうりランドジュエルミネーションより    2023年12月19日撮影)

 

 拡販のためのカタログ作りが始まりました。

 マーケティングの手法に3Pという用語があります。Promotion(販売促進・宣伝広告)、Price(価格)、Place(場所・販売ルート)の3つのPです。カタログはPromotionつまり宣伝広告手段の一つになります。ライバルに負けないカタログは必須のアイテムです。

 カタログといえば、一般的に自社の商品を品目のグループ毎にアイテム番号順に羅列した一覧表ということになります。そこには商品の写真や仕様などが記載され、そこから顧客が選択できるようになっているものが一般的です。

 しかし、自動車部品の場合は、一覧的なリストも必要ですが、それよりも大事なのは、車種ごと一覧で必要な部品の番号が分かるカタログが必要なのです。
 修理工場で、修理用の部品が必要になった時にその部品番号は分かりません。分かるのは、車種と年式と必要部品の3つの条件です。例えばクラウンDX、2018年式のタイヤが必要となったら、次の順で調べることになります。トヨタ→クラウン→DX→2018年式→タイヤの番号は?となります。
 おそらく現在は検索システムで番号が分かるようにコンピュータ化されているでしょうが、当時はこれを一覧リストで分かるようにカタログを作成したわけです。

 ということで、必要な情報は自動車メーカーごとの車種別の部品番号が分かるリストということになります。そのリストは、基本的には自動車メーカーが発行している車種ごとのカタログということになります。もちろん、全部の部品は不要で、自社で販売する部品だけでいいのですが、純正のカタログは部品別ではありませんから、原則として、全メーカー分の車種別カタログをすべて入手する必要があったわけです。
 と、これだけでも大変なことです。そこで、別の手段をまず最初のカタログ作成では取ることにしました。それは、ライバルの市販品メーカーのカタログを利用することでした。

 ライバル市販品メーカーからは次の2種のカタログが発行されていました。一つはメインの車種別・自社の部品番号対応表(カーメーカーのカタログに相当)、もう一つは、自社の番号順の一覧表で、この一覧表にはカーメーカーの純正番号が参考情報として記載されています。
 つまり、この二つのカタログを入手すれば、カーメーカー相当のカタログを作成することが出来ることになります。

 ということで、2社のカタログを入手して自社のカタログ作成がスタートしました。
 2社のカタログのフォーマットは基本同じでしたが、販売している品目が多少違うため、A,B2社の内、A社のカタログを基本として作成しました。

 

 ということで、原稿作りがスタートしました。(続きは次回に!)

 

 

 

 

 


市販品メーカーへの道3・調達ルートの開拓

2024-03-10 11:20:52 | 888私の履歴書ー仕事編-

(よみうりランドジュエルミネーションより    2023年12月19日撮影)

 

 自動車メーカーへ納入する部品メーカー(純正部品メーカー)からの調達作戦がスタートしました。

 といっても、自動車メーカーでもないのに、いきなり純正部品メーカーに電話して、「部品売ってください。」というわけにはいきません。

 そこで調べてみると、純正部品メーカーの中でも、自社ブランドで市販品の販売を行っているメーカーが数社あることが分かりました。つまり、同じようなビジネスを行っている純正部品メーカーはほかにもあったのです。
 そういった部品メーカーは、自社と同じように品揃え苦労しているはずです。そこで、部品メーカー間の会合などの横のつながりを利用して、それらのメーカーに部品販売の可否を確認してみたのです。結果、2社からOKとの回答を得ることが出来ました。

 そこからは、話はとんとん拍子で進みました。まず2社それぞれと具体的な品目と価格の調整を行います。当然、相手からも購入要望の品目が提示されますから、そこから相互購買がスタートすることになりました。
 つまり、なんと、調達が可能になっただけでなく、新たな販売ルートの確保も出来ることになったのです。
 そして、その後、2社と相互に調整するよりは、3社で同時に集まって調整する方がより効率的ということで、「三社会」が作られることになりました。

 「三社会」では月1程度の定期会合を持ち、そこで情報公開を相互に行う会合としました。具体的には、相互購買する部品グループを決め、その対象部品が新規に出た時にそれを相互に紹介することにしたのです。価格は、最終売価(市場で売られる標準価格)に対する一定の割掛けとすることとしました。これにより、新車の発売と同時期に、新規品を市販部品メーカーより早期に調達が可能になったのです。

 さらに、「三社会」では、純正部品としても設定されていない新しい部品グループ、つまりは新商品の開発も進めました。
 もちろん新たに設計して製造するというわけではありません。自動車の部品でもすべての部品が補修用として売られているわけではありません。純正では設定されていない部品の中で、補修用設定のニーズがあるものを調査して、新商品として発売したのです。この新商品も商品構成を決めて、相互の購買対象としました。

 以上、「三社会」は順調に機能しました。内製化すべき部品も設計が順調に進んで、カバレッジ拡大策も順調に進んでいき、新規部品は開発の都度、問屋を通して部品商に案内されていきました。
 そこで、カバレッジ拡大とともに、強い要望が出されたのが、「部品カタログ」でした。

 すでにカタログも出来て配布されていたのですが、品揃えが増えることで、当然、古いカタログには記載されていない部品がどんどん増えていったのです。
 「カタログが使いない!」という話が部品商からどんどん上がってきたのです。

 ということで、カバレッジの拡大策とともに進められたのが、「カタログ作成」でした。

 次回はこのカタログ作成についてお話します。今日はここまでです。

 

(「カタログ作成」につづく)