(神代植物公園のムクゲ 7月5日撮影)
いつまでを新入社員というのでしょうね。一応入社から1年間として、今日で新入社員時代の最後としたいと思います。
その新入社員時代の最後、入社から1年目で業務の内容が変更になりました。そうなのです、あの怖いおじさんからやっと逃れることが出来たのです。もっとも、この担当変更で間近にいるより怖いおじさんとの仕事での関係がより密になって、背中ぞくぞくの日々は続くことになるのですが。
で、新しい担当は「金属材料の購入」となりました。
当時の会社の年間売上額は700億円ほど、原価率が8割、内材料費率は50%、内金属材料の比率は50%、ということで、素材の購入額は年間150億円ほどでした。
金属材料の購入担当は3年間ほどでした。ということでこの3年間は毎年150億円も散在する、これまでの人生で特別に贅沢な生活を送っていたことになります。
当然、それだけの金額を扱いますので、資材部門でも特別に重要な担当で、部長にとっても重要な購入品ということになります。普段は主任から、または課長からの指示が出るのですが、いきなり部長から直接指示が出ることも時にあって大慌てすることもあったのです。
主任や課長が承知していない指示内容の時もあって、慌てて主任や課長と相談するのですが、「俺の指示どおりすればいいんだ!」とその都度怒鳴られる結果となるのが常でした。
担当を引き継いだばかりのころは特に困りました。細かい方法まで指示があるわけではないので、それは主任や課長に聞かないと出来ないのは当然のことで、次第に慣れてくると、主任、課長には事後報告ということも増えました。
一番困ったのは、購入メーカーの変更指示があったときです。聞けば、もう変更した、30トン程注文は済ませている、後の手続きをしろ、と指示があったときです。
金属材料の納期は通常3ヶ月です。つまり3か月後には新しいメーカーの材料が30トンも入ってきてしまうわけです。つまりこの間に、その材料の使用工場の調達部門と数量の調整をする必要があります。細かいことは覚えていませんが、使用料は月に20トン程で、『置き場所がないぞ!』と言われて、調整に四苦八苦した記憶があります。
もっと困ったのは、品質問題です。メーカー変更は、設計部門や検査部門、さらに実際に使う製造部門など技術部門の承認が必要なのです。当然、部長もそのことは知っていたはずですが、「後は頼むぞ」の一言で済まされて、こちらは大変でした。
ともかく大変なことになりました。「部長駄目です」とは言えないので、頼み込んでテストをしてもらったのですが、1回目はNGになった記憶があります。
今になるとどうやって合格させたかよく覚えていないのですが、旧の材料がなくなって、仕方なく無理やり使わせた記憶もあります。さすがにその時は部長が直接技術部門の長に頼み込んでくれた記憶があります。
金属材料は基本JIS規格によって造られますが、市販の材料と違って、大量購入の場合は、使用メーカーと鉄鋼メーカーの間で仕様決めが行われます。これを紐付き契約といいます。つまり、本来は事前に仕様決めが必要なのですが、それをしないで1回目は購入したので、当然のトラブルだったわけです。以降の発注分は仕様決め後で行われ品質は安定し、やっとホッとすることが出来ました。
この強引なメーカー変更、部長にもある経験からきたことだったのです。それは、私の入社2年目に起こった「オイルショック」です。このことは次回お話ししたいと思います。
(つづく)