「『世界でいちばん君が好きだ』この言葉における世界とはなんだろうか」
毎週木曜日の5時間目の講義で社会学の先生が問いかけた。
世界の人口は約70億人。この70億人の中からいちばん好きな人ということ?そうじゃないよね。世界70億人に会うことなんて到底不可能だ。
ここにおける"世界"はきっと、"私"の世界で。今まで出会った人、認識した人その中でのいちばん好きな人ということなんだろう。
私は考える。今までの人生でどれくらいの人と出会ったのだろうかと。数え切れないくらいたくさんの人と出会った。その中のいちばんはきっと彼で。
「好きな人と両思いになる確率は1%にも満たないらしい」
なんて先生が言っていることを聞き流しながら、彼のことを思う。講義中に何をやっているんだという感じだけれども。
私が今まで出会った人の中で何故だか彼だけは輝いて見えた。明るくて優しくて、少し抜けているところがある人。温かい手の人。
そうこうしている内に終わりの時間がきて、帰り支度を始める。
私の世界ではきっと彼がいちばんで、にばんめなんていない。
そんなことを考えながら教室を出ると別の講義を終えた彼と鉢合わせた。
「お疲れ。途中まで一緒に帰ろう」
なんて言うから、あなたの世界でいちばんは私ですようにと願わずにはいられなくて、0.0025%の奇跡を信じたくなる私がいるのだ。
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