妄想日記

本当にあったこと、妄想してみたことごちゃ混ぜにして全部詩にしてみた。

紫苑

2020-09-25 22:00:00 | poem

今日も明日も変わらずに日が昇って、日が沈んで。君がいた昨日も、君がいない今日も同じだけの時間が流れていく。

今日は君がいなくなって悲しかったけど、明日はきっといつもと同じ1日を過ごして、いつもと同じことで笑うんだろう。いつか悲しみは薄れて君のことを思い出すこともなくなっていくんだろう。人はそれを忘却と呼ぶし、別れだと呼ぶ。

私も君も地球の長い時間のなかでは瞬きをするくらいの一瞬にしか存在しなくて、その時間の流れで忘れられていく存在なんだ。

ねえ、それでも私は君を忘れたくないし、君がいない今日も明日もこれからも悲しんでいたいよ。悲しみのなかには確かに君が存在しているから。


秋霖

2020-09-24 23:00:00 | 妄想日記
朝に目が覚めたはずなのに薄暗くて静かな部屋。カーテンを開くといつも飛び込んでくる光はなくて、暗い空がそこにあった。雨が降っている。音もなく降っている。秋の雨だ。

秋は切なく、美しく、楽しく、寂しい。雨は音もなく降って、記憶はグレースケールで、まるで昔の無声映画のよう。君との思い出も遠い昔のことのようで、どんな色をしていたのかはもうあまり覚えていない。

今日みたいな日はお気に入りのカフェでコーヒーを飲もうかと思い、身支度をはじめる。出掛けるのに半袖は頼りなくて、値札も取っていない、買ったばかりの長袖を着た。


駅までの道、新築に引っ越してきた五人家族。休みの日は笑い声が響いている。駐車スペースに並べられた自転車はまるで幸せのしるしのようで少し眩しい。私にはこない幸せ。

駅について電車を待つ。貨物列車が知らない誰かの大切な荷物を載せて通り過ぎていく。きっとあの中には誰かの希望とか、誰かの喜びとか、誰かへの優しさが詰まっているんだろう。

ふと君が恋しくなってホームのコンクリートに傘の先で君の名前を書いた。

秋霖

2020-09-24 22:30:00 | poem

静寂

音を立てずに雨が降る

この時期の記憶は

グレースケール

まるで昔の無声映画


出かけるには

半袖では頼りないから

買ったばかりの秋を纏う


こんな日は

お気に入りのカフェに行こうか

コーヒーに

ミルクと砂糖と君との思い出を溶かし込んで

ゆっくり ゆっくりと 飲み干そう


駅までの道

新築の家に並ぶ大中小の自転車は

幸せのしるし


通り過ぎる貨物列車は

誰かの希望と優しさと未来を運んで

電車待ちのホームのコンクリート

傘の先で君の名前書いた


word

2020-09-21 23:00:00 | 妄想日記
昔から文章を書くのは好きで、国語の先生を唸らせるような作文や、友だちをクスリとさせるような随筆を書くのが得意だった。文章を書いているときも、書いていないときも、どんな言葉を遣えば、どんな言い回しをしたら、人の興味をひけるのか、自分の思いを伝えられるのか、そんなことばかり考えていた。

君の言葉に初めて触れたときから君の虜になってしまった。キラキラとしたシャボン玉が目の前でパチンと弾けるような感覚。また見たい、また触れたいと切望するような感覚。

いつしか君の言葉に触れるたびに息ができなくて、胸が締め付けられた。まるでプールの底にいるみたいに。

私には紡げない言葉、私には見えていない世界。私は自信をなくしたし、言葉を書くのを辞めてしまおうかとも思うくらいの衝撃だった。憧憬、羨望、嫉妬、憎悪。いろいろな感情が混ざり合うような、そんな感覚。

まるでわたし、君の言葉に恋をしているみたいじゃないか。

word

2020-09-21 23:00:00 | poem

君の言葉にはじめて触れたとき

目の前がキラキラと光って

シャボン玉が弾けるみたいな

感覚がした


それからはもうはやくて

いつの間にか君の言葉の虜になっていた

君にはどんな世界がみえているの

どんな風に考えているの


知りたいことがたくさんあって

私は君にはなれないから

知ることができないことがたくさんあって


君の真似をして言葉を紡いでみたけど

君の言葉には程遠い


いつの間にか

君の言葉に触れるたびに

息ができなくなった

胸が締め付けられるようになった

プールの底にいるみたいに


これも恋なのかもしれない