松山も遂に梅雨入りしたなぁ・・・と思う。
気象庁が宣言しようとしまいと、私は私で勝手に決めた。
梅雨入りかどうかなんて、その程度のもんでしょうに。
散歩の途中の二か所で、気持ちが〈ほわん〉とする物に
出遭っている。
「桑の実」と思うのだが、葉の形が遠い記憶と違うような
気もして落ち着かなかったが、きっと色々種類があるの
だろうと結論を出している。
結論が出たので食べたいのだが、例え一粒であろうとも
盗むわけにも行かず、残念な溜息が出た。
勇気を振り絞ってピンポンし、食べたいと懇願すべきか、
ただいま思案中である。
小学三年の今頃は、まだ福島県相馬郡の少年で、家の
近くには桑畑が多く、遊びながら桑の実を食べていた。
帰宅すると母は「買ってやったばっかりなのに」と、私が
着ているシャツが紫色に染まっているのを叱った。
どうやら、洗濯しても色が落ちないようなのだ。
貧乏だから、そりゃ物凄く怒られたものだ。
山形に引っ越してからというもの、近くに桑の木を見掛け
なくなった。あの頃は枇杷も山形では見掛けなかった。
(不思議な所に引っ越して来たんだな)と、子供ながらに
暗い気分になったものだ。
当たり前の食べ物が突然無くなったわけだから・・・ね。
そういうことは鮮やかに覚えているのに、桑の実の味は
少しも思い出せないのだから不思議である。
だから、是非、二粒・三粒でいいから食べたいのだ。
これは明らかに私のノスタルジー(郷愁)であるようだ。
そうだ!手土産持参でお願いする手があるじゃないか。
でもなぁ・・・勇気が、なぁ。