松田洋子のアトリエ絵リアル

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「日本の面影」(朗読講座プロデュース第1回演劇公演)を観ました!

2012-07-25 09:57:30 | 日本

新聞で紹介していた記事を見て、内容に共感をおぼえ、すぐに見ようと決心。

7月11日、チケットぴあにて鑑賞券を購入しました。会場は六本木駅前の俳優座劇場。初めての場所です。

そういえば、自分で演劇の券を買って見ようなどとは、過去に2回くらいしかありませんでした。

それも、2回とも歌舞伎公演。1回目は20歳くらいのとき。2回目は、10年前くらいかな?

若い頃から歌舞伎の衣装や隈取の美しさに惹かれ、「演劇界」を買っていたこともありますが、
公演となると、やはり万年貧乏暮らしのわたしには手の届かないあこがれの世界でした。それでも、なけなしのお金を投じて観た公演の思い出は、今も鮮やかです。思えば2回目は、スケッチブックをひざに置き、暗い座席で夢中で役者をスケッチしていました。

今回は歌舞伎ではなく、山田太一作、鵜山仁演出作品。明治時代に日本を訪れ日本に魅了されたラフカディオ・ハーン(後の小泉八雲)とその妻の物語です。

主演は、草刈正雄と紺野美沙子。とくにふたりのファンというわけではありませんが……。

チケット購入時、300席の座席の中、残っていたのは後方か端のほう。前から4列目の端を選び、正解でした。やはり、役者さんの表情ができるだけ大きく見える場所はよかったです。

 

<あらすじ> ラフカディオ・ハーンは明治23年(1890)40歳の時、日本を訪れる。日本に魅了され、「神々の国」島根で英語教師になったハーンは、身の回りの世話をしてくれる士族の娘・セツと夫婦になる。日本の良きものを愛したハーンと、窮屈に暮らしていたセツが出会い、つくる家族、友人、『怪談』に代表される昔ばなし。山田太一の脚本は、ハーンの原風景と当時の日本を重ね、生き生きと暮らす庶民の姿を軽快な会話に乗せて描く。ヨキトコロ日本は、ハーンの心の中にだけある面影だったのか、それとも……。(公演紹介チラシより)

 

<わたしの感想>

● 休憩15分をはさんで2時間15分という時間は、疲れず、見る側としていちばん楽しめる時間であったように思います。

● 薄い透き通った幕を使って、過去の姿や年代の表示をする演出がわかりやすくてよかったです。

● 草刈正雄(ハーン)、紺野美沙子(セツ)を近距離で見られたことで、プロが精魂こめて仕事をしている姿を目の当たりにでき、感動しました。

● 舞台美術も、大げさではなくしんとして、建物のたたずまいを想像させるねらいがみられ、感心ました。

● 東京帝国大学を不当に解雇されたときの後半のハーンの次のせりふが心に刺さりました。


「日本はもう私のような人間はいらないのです。単純、温和、丁寧、親切、ほほえみ、幽霊そんなものを愛する人間は、いらないのです。……日本は機械と科学の道を行き、傲慢で利己的な、固くて乾いた魂しか持たない人間でいっぱいになるでしょう」
 

この言葉こそ、現代社会のさまざまな現象を見てみるとそのとおりだと思えます。

今、NHKBSで朝7:15から再放送されている「げげげの女房」の内容を彷彿とさせられる、重要なせりふでもあるなと思いました。

● この公演を観たことをきっかけに、ぜひ小泉八雲の作品に親しんでみたいと思いました。

● 東京俳優座劇場での公演はきょう7月25日までです。7月28日(土)に、北国新聞 赤羽ホールにて金沢公演が予定されています。