数年前、友人と一緒に銀座で画廊を見てまわっていたときに、友人の後をついてゆき、村上肥出夫の作品に出会いました。
そこは、銀座8丁目にある兜屋画廊でした。兜屋画廊は、充実した村上肥出夫のコレクションをもち、、積極的にこの作家の作品を紹介しています。
1960年代に描かれたコールタールと油絵の具を使って盛り上げられた画面は、至近距離くで見ると「物質」でしかないのですが、少し離れていくと、なんともいえぬ素朴な美しさにはっとさせられます。その過程には、画家としての苦しみの葛藤が垣間見られます。
描くことに没頭し苦悩する……これを経験しない画家はいないと思いますが、スケールが違います。
作家は後に鮮やかな色彩を用いて表現するようになりますが、やはりあの黒々とした地盤に豊かなマチエールをつけた、画面上での絵の具のひしめき合いによってできる作品が忘れられません。
今回の展覧会では、色彩鮮やかな作品、素描、スケッチも展示され、村上肥出夫に新たな思いを向けることができました。
会期中、展示の入れ替えもあるので、再度訪れたい気分で一杯です。
2012年6月13日(水)~8月31日(金)
AM10:30~PM6:30(最終日PM5:00)
7月31日まで無休 8月中は日曜日と8月11日~16日休廊
兜屋画廊
〒104-0061 東京都中央区銀座8-8-1 第7セントラルビル8階(旧出雲ビル)
TEL 03-3571-6331 FAX 03-3289-4820
http://www.gallery-kabutoya.com