ディーン(ライアン・ゴズリング)とシンディ(ミシェル・ウィリアムズ)は、結婚7年目の夫婦。
夫の仕事は芳しくないものの、妻の稼ぎもあり、娘と家族3人でつつがなく暮らしている。
だが、夫婦はパートナーに対する不満を互いに抱えたまま。
それを言葉にしたら今の生活が崩れると分かっているから口にしなく……。(ぴあ映画生活さんより)
2011年4月23日 公開
監督 デレク・シアンフランス
DVD鑑賞
自己満足度 5点満点で3点
夫婦って、やっぱり我慢比べ
娘って、どこか母親と同じような路線を歩む気がする。
この主人公・シンディ(ミシェル・ウィリアムズ)の母はいつも夫に怯えて生きてきたような感じの人。
ここでは詳しく描かれてなかったけど、きっとシンディの父親って怒鳴ったりしてたし時には暴力もあったかも。
シンディもまたそんな父に怯えて嫌悪感を抱いていたでしょう。
そんな母を見て育ったシンディなら、温かい家庭をと望んでいたに違いない・・・のに。
ひと時の快楽の末に身籠ってしまったシンディのお腹の子は、ディーン(ライアン・ゴズリング)ではなく元カレの子。
医者を目指していた優秀なシンディは、まずここで挫折を味わうことになり。
中絶を試みるも良心の呵責に断念。
そんなシンディにディーンはお腹の子も受け入れる覚悟でプロポーズする。
と、ここまではと~っても良い感じのカップルだったのだけれど。
時は流れ7年後、娘と3人で暮らすごく普通の家庭に周りからは見えるけど。
この旦那ディーン、定職がなーい!
嫁シンディ、病院で働く=稼ぎが良い=夫・ますます働かない=嫁・不満がふつふつ=家庭・ギクシャク、で~負のスパイラル状態。
でもね、このディーンっていわば自分の子じゃないけど、結構、娘を可愛がってる。
実はこのディーンも家庭不和で育ってるのよね。
ちょっと強い風でも吹けば吹っ飛びそ~なこの家庭は微妙なバランスでなんとか均衡を保ってた感じだった。
物語はこの夫婦の"愛"が「あった時ぃ~」そして「無くなった今ぁ~」を交互に映し出すわけ。
これさ、物凄くリアリティのある作りなのよね。
ハンディカメラを多用した映像のせいもあるのかもしれないけど、セリフなんかもアドリブじゃないかって感じの。
ディーンがシンディの勤め先の病院へ押しかけてきて喧嘩になるシーンなんてドキュメンタリー風だったわ。
それと顔のアップが多いのよ。
久しぶりにスーパーで元カレに出会ったシンディと、ディーンの会話を車の後部座席から二人の顔を交互に撮るってゆーアングルがユニーク。
夫婦の性描写も実にリアル。
M・ウィリアムズは今作でアカデミーの主演女優賞にノミネートされていましたが、翌年のゴールデングローブ賞の主演女優賞を『マリリン 7日間の恋』で見事に受賞しましたね。
彼女、今は亡きヒース・レジャーとの間に一人娘マチルダがいますよね。(ヒースにそっくり!)
なんだか、それもこのシンディと重なるところが。
『きみに読む物語』を観た時から私的に彼の顔は受け付けないライアン・ゴズリング扮するディーンが7月4日の「独立記念日」の日に、一人寂しく雑踏の中に消えてゆくという、なんともせつないラストシーン。
ちゃんと定職を見つけたディーンが再び"この家族"を取り戻してくれることを願いたい。
でもねぇ、ケンカできるのも"若さ"のなせる業よね。
もね、ウチみたいに二人とも50歳を過ぎてくると大きな声出すのもしんどくなるから。
ケンカなんて一番したくない。
余計な体力使いたくない。
だからさぁ、お互いに少々不満あってもね、いちいちもめるのしんどいのよね。
そ~なのよ、も~いいかぁ~ってなるの。
も~そんな先、長くないしお互い。
だから、も~好きにさせてやろってなる。
若いうちだけだよ~夫婦喧嘩なんて。
あとは、老後、穏やかにね、波風立てず、ひたすら穏やかにね~。