![]() | 烙印 (幻冬舎文庫) |
天野 節子 | |
幻冬舎 |
東京の公園で男の死体が発見された。捜査に当たった戸田刑事は、その数日前に被害者の地元で白骨体が発掘されていたことを知る。発見場所も、殺害時期も異なる二つの遺 体。事件の関連性を疑う戸田は、遺留品から一人の男に辿り着く。勘と足だけを頼りに真実に迫るベテラン刑事と頭脳明晰な若き犯人。
還暦を過ぎてから小説家デビューを果たした天野節子の第三作目です。過去の2作「氷の華」「目線」ともにドラマ化されたというとてつもない作家なのですが、この第三作目はちょっとドラマ化が難しいかもしれません。
っていうのも、現代と1600年代の江戸時代初期がリンクするんですね。実際の事件である江戸時代初期に千葉県沖で難破した「サン・フランシスコ号漂着事故」が物語の始まりです。この海難事故さえなければこの物語は出来ないわけです。
比較的早めに犯人はわかるのですが、要するにどうやって犯人を追い詰めて行くのかがこの物語の肝です。で、私は読んでいるうちにトリックがわかってしまいました。いや、これは殆どの人がわかるトリックだと思います。
が、しかし、過去の二作品もそうでしたが、奇をてらうことのない落ち着いた文章は私の年代のような昔からの推理小説ファンには読みやすいと思います。
近年の刺激が強すぎるようなお話に辟易している人にはおすすめの作家です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます