お・な・か ぽんぽこりんのチロちゃん

ヨーキーのチロとの読書生活。

「我と汝・対話」マルティン・ブーバー著

2019年02月19日 | 


「世界は人間のとる二つの態度によって二つとなる。

 人間の態度は人間が語る根元語の二重性にもとづいて、二つとなる。

 根元語とは、単独語ではなく、対応語である。

 根元語のひとつは、<われーなんじ>の対応語である。

 他の根元語は、<われーそれ>の対応語である。

 この場合、<それ>の代わりに<彼>と<彼女>のいずれかに置き換えても、根元語には変化はない。

 したがって人間の<われ>も二つとなる。

 なぜならば、根源語<われーなんじ>の<われ>は、根源語<われーそれ>の<われ>とは異なったものだからである。

 (中略)

 根源語<われーなんじ>は、全存在をもってのみ語ることができる。

 根源語<われーそれ>は、けっして全存在を持って語ることができない。

 (中略)

  <なんじ>を語るひとは、<なにかあるもの>をもたない。否、全然なにものをも、もたない。

  そうではなくて<なんじ>を語るひとは、関係の中に生きるのである。」

 植田重雄訳 岩波文庫