昔、会社の社内留学試験に合格して、アメリカに留学した。
当初は、ビジネススクールで経営学修士(MBA)をとるつもりだった。
ところが、法務部門から、国際ビジネスの拡大にあたって、ロースクールの卒業生が足りないという要請があり、法学部を卒業していた私は、ロースクールへ留学することになった。
法学修士(LLM)を目指して、アメリカのロースクールに留学するためには、法学士(LLB)の学位が必須だったからだ。
当時、私は、工場の経理部門にいたので、留学準備の時間が、なかなか取れなくて苦労した。
それでも、いろいろな大学に出願し、ニューヨーク州イサカにあるコーネル大学のロースクールに進学した。コーネルがアイビーリーグで、凄い大学だということは、アメリカに着いてから実感した。
留学期間は2年間。周りに気を使う必要もなく、法律の勉強だけに集中できたので、1年で修士号が取れた。
そこで、学部長に相談し、2年目は、ニューヨーク大学(NYU)のロースクールに出願することにした。
マンハッタンにあるNYUのロースクールに行き、学部長との面接を経て合格。ただ、NYUは、修士号(LLM General)取得に必要な単位数が多いので、1年では、難しいかもしれないと釘を刺された。
とは言うものの、1年で無事、修士号を取得し帰国。ただ、帰国期限があったため、卒業式には出席できなかった。
帰国後、「海外法務室」という職場に配属され、当時、日本では、まだ認知されていなかった「企業法務」の道を進むことになった。
「国際弁護士」なんて言葉もなかった時代。同窓生たちも、日本の大手法律事務所の幹部にのし上がっていった。
新しいビジネスモデルの黎明期に遭遇し、創業者的利益を享受できた良き世代だ。