まどみちお「やさしい景色」

あちらには　山
こちらには　海

川が　山のたよりをあつめては
マラソンで　
海へおくりとどけ

雲が　海のたよりをあつめては
うたにして
山へ　おくりとどけ　　　　　‥まどみちお「やさしいけしき」部分





山のたより、海のたよりの、「たより」とは水のことなのですね。
その水がつくりだすやさしい景色。


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「水はうたいます」 まどみちお

水は　うたいます
川を　はしりながら

海になる日の　びょうびょうを
海だった日の　びょうびょうを

雲になる日の　ゆうゆうを
雲だった日の　ゆうゆうを

雨になる日の　ざんざかを
雨だった日の　ざんざかを

虹になる日の　やっほーを
虹だった日の　やっほーを

雪や氷になる日の　こんこんこんこんを
雪や氷だった日の　こんこんこんこんを

水は　うたいます
川を　はしりながら

川であるいまの　どんどこを
水である自分の　えいえんを









子どもの頃から見慣れていた、ほど近くの大好きな風景です。
町に出て行く時、バスの車内からいつも見下ろしていました。
ホームセンターへ用事ができた午後、川沿いを少し歩きながら写しました。


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「朝が来ると」まどみちお

朝が来ると　とび起きて
ぼくが作ったのでもない
水道で　顔を洗うと
ぼくが作ったのでもない
洋服を　きて
ぼくが作ったのでもない
ごはんを　むしゃむしゃたべる
それから　ぼくが作ったのでもない
本やノートを
ぼくが作ったのでもない
ランドセルに　つめて
せなかに　しょって
さて　ぼくが作ったのでもない
靴を　はくと
たったか　たったか　でかけていく
ぼくが作ったのでもない
道路を
ぼくが作ったのでもない
学校へと
ああなんのために

いまに　おとなになったら
ぼくだって　ぼくだって
なにかを　作ることが
できるように　なるために　　　　　　　「朝が来ると」まどみちお


わたしが作ったのではない
パソコンに向かって
わたしが作ったのではない
まどさんの詩を借りて
わたしが作ったのでない
デジカメの写真と
わたしが作ったのでない
ブログに
こうやって
記事を書き続けている

ああ
何もかも
自分でしているように
思っているけれど
ほんとうは
してもらっていることに
気づかされる‥

まどさんの謙虚で優しい詩です。


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「レンゲソウ」まどみちお

かお　よせてみる
このあいらしい花の
まぶしさは
なつかしさは

この花の　おくにも
ひとしずく
星のようにともっているからか
すべての　いきものの
ふるさとへの　入り口が‥

‥　　　　　　　　　　　




今日も、まどさんの詩を使わせてもらいました。



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ツツジ・かがみ

この地球のうえには
ほうぼうに置いてあります

海や
川や
湖水(みずうみ)など
さまざまな美しいかがみが‥

‥

それは　私たち
生き物だけのためでしょうか

山や
雲
太陽や
星たちでさえ
自分の顔が見たくなることが
あるからではないでしょうか　　　　　　　‥「かがみ」まどみちお


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スイセン

チビと朝の散歩です。







久しぶりに、まどさんを読んでみます。

にわの　くらやみから
でんとうの下に　かかえてきた
スイセンの　はちうえ

においまで　
ひかるようだ

かかえてきたことまで
ひかるようだ

ここに　ながれているのが
いま　わかった
じかんの　すいめんに
うつしだされて　　　　　　　　　　　　　‥まどみちお「スイセン」


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まどみちお「タマネギ」

生で食べても、ゆでても、油で炒めても、味噌汁に入れても、カレーに入れても、美味しいタマネギ。
普通なら初霜までに植えるのに、大寒になってしまいました。

日当たりが悪いので、木の枝を落としました。
草を入れて、霜柱対策をします。


自宅に戻ったら、吹雪になっていました。
母親の家の灯りが、車の間に浮かんでいます。
寒いけれど、体を動かして、汗をかいて、気持ちの良い一日でした。


かぞえきれないほど　はいっている
もしも　大きいのから　小さいのへと
じゅんじゅんに　ならべて　みたら
うたが　遠くへ　きえていくように
見えなく　なって　いくかしら　　‥まどみちお「タマネギ」部分


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「つけもののおもし」まどみちお

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

12月の半ばから、もと葉たばこの乾燥庫で、今、倉庫と兼ねている母親の家を片づけています。
いろんなものが出てきます。

その日は、小梅の梅干しが見つかりました。


こちらは、梅酢。
作った年がラベルに書いてあるので、母に言います。
記憶が衰えた母は、新しい発見でもしたかのようです。


風呂敷を解いてみたら、漬け物の重しが‥。

まどさんの詩を思い出しました。

つけものの　おもしは
あれは　なに　してるんだ

あそんでいるようで
はたらいているようで

おこっているようで
わらっているようで

すわってるようで
ねころんでいるようで

ねぼけているようで
りきんでいるようで

こっちむきのようで
あっちむきのようで

おじいのようで
おばあのようで

つけものの　おもしは
あれは　なんだ


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「駅のホームで」まどみちお

‥‥
にじのように　うかんできたのは
――たんつぼのそうじを
　　なさるひと

ああ　いままで
思っても　みなかった　ひとが
いらっしゃるのだ

この駅に
日本じゅうの駅に
世界じゅうの駅に　　　　　まどみちお「駅のホームで」部分


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「ああ どこからか」まどみちお

ジョウビタキがやってきてから、最近は鳥の記事がふえました。
まどさんの詩が思い浮かびました。

庭を　とおって
ゆうびんやさんがかえっていく

きょうも　みおくっているのは
屋根の　スズメと
かきねの　デンデンムシだ
「ごめんね
きみたちあての　手がみは
来てないんだ」
と　いうように

ゆうびんやさんは
そそくさ　いっちゃった

ああ　どこからか
こないかなあ

なの花びらのような　手がみと
マメのような　こづつみが
――ゆうびいんって

スズメたちに
デンデンムシたちに　　　　‥「ああ　どこからか」

きのうも使った写真です。
庭のエサ台、雪がきれいに積もっています。




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