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父の終戦と満州ひきあげ記 8〈開拓団本部〉

2021-03-02 20:34:00 | 日記
スマホで簡単にいろんなブログを読めるようになっている現代。

5年前に肺癌でなくなった父が
残した幼い日の記録を

私たち家族だけではなく
どこかの誰かにも読んで欲しいと
ふと 思いついて書きます。
父の満州の思い出を。



日本人じゃ

カラスが飛んでいった方向へとわたしたちが移動していると、明かりが見え始めた。

それは焚き火の明かりで、周りにはたくさんの人がいるようだった。

建物のようすから「開拓団本部だ」とおじさんが言い、
「満人かもしれない、偵察してくる」と地面を這うようにして出ていった。



帰ってきたおじさんは
「日本人がおるど!みな日本人じゃ!」と叫んだ。

そこには、よその村からも集まった日本人がたくさんいた。
市村の人もいた。
どこにもいなくて、心配していた峰さんも、そこで無事に再会することができ、みんな大喜びをした。
峰さんは槍で突かれて、頭と腿にひどい怪我をしていた。

避難した開拓団本部

開拓団本部では、 広い板間の一角にわたしたちはいて、身動きがとれないほどのひとだった。

すぐ次の日だったのか、数日経っていたのか覚えていないが、

どうせ日本へは帰れない
死ぬ以外にない と
市村の人たちが話し合った。

死のう、と決まり
誰かが開拓団本部の診療所へ青酸カリを取りに行った。