うつ病というのはそんなに遠くにある病気ではありません。誰がなってもおかしくない病気です。朝が弱くなってなってきて、よく眠れなくなったら最初の兆候だと思ってください。そのくらいの症状で病院の精神科に受診する人はまずいません。会社に出勤できなくなって初めて受診してきます。よくうつ病と間違えられる病気に「不安神経症」があります。また「パニック障害」という病気もありますがこの病気はすぐ分かります。でも現在抗うつ剤の良い薬が沢山あって、うつ病はその割り完治しやすい病気です。SSRIという脳内物質セレトニンをコントロールする薬を飲めば、血中濃度がある程度の水準まで達すれば、今までのあの元気のなさはどこにいったの?というくらい通常生活に戻れます。ある一定期間服薬すれば徐々に薬を減らして、最終的には薬なしで元の状態に戻れます。ところがSSRIや抗うつ剤を服薬しても一向によくならないのが不安神経症です。電車やエレベーターの中に入ると動悸が激しくなり、気持ち悪くなり、電車では途中下車しないとどうしようもなくなります。一番始末が悪い事は、不安神経症に抗うつ剤が効く人もいるということです。医師は判断に苦労します。パニック障害はやっかいな病気でこれを完治させるには相当の時間が必要となります。パニック障害を除いて、うつ病も不安神経症もどちらも、心をしばらく休めなさいという信号ですから、きちんとした服薬と休養をとれば直ります。どの病気でも一緒ですが早期治療が早い回復につながります。何も理由がないのに会社や学校に行きたくなくなったら、クリニックか病院を受診してください。
肇
肇