al baritono

アマチュア声楽家の独り言 ~ 歌ときどき仕事(笑)

MET HDlive「椿姫」

2012年05月13日 | オペラ
2010年のトリノ王立で、同じくマシューとの共演を観た者として、ちょっと残念な出来でした。
デセイが病み上がりで本調子でない事はすぐに分かりました。インターミッションのヴォイトのインタビューにも「高音を外してごめんなさい」と謝っていましたが、所々で声のかすれが見受けられました。すっぴんノーメイク?も微妙に印象に影響を与えていたかも知れませんね。病弱なヴィオレッタにはいいのでしょうが第1幕の社交界の花を演じる時は、もっとキラキラして欲しかったと思います。

それに対してマシューとディミは良く好演していたと思います。
マシューは何カ所か息の支えが弱くて声がふらつくところも見受けられましたが、軟弱なぼんぼん役をリリックな声で良く演じていましたね。印象的にはトリノ王立の時よりも余良かったかな?

ディミは流石でしたが、デセイが不調なのでバランスとしてもう少し控え目が良かったと思います。この辺はトリノ王立の時のジェルモンはデセイのご主人のローラン・ナウリで、最後の3重唱の時はデセイに配慮して控え目に歌っていたような気がしますが、今回は全編を通してディミの声量が目立ちすぎ(汗;

と、デセイの不調ばかりが目立ちましたが、何と言っても最後までヴィリー・デッカーの演出が馴染めませんでした。社交界の華やかさ、郊外での二人の生活、そして社交界に復帰・・そんな場面の転換が小道具だけで演出され、衣装の変化も少なく・・・???

昨日が上映の初日なのでネット上での評価がまだ見えませんが、これからどんな批評が展開されるのか、しばらくはブログをウォッチですね。

MET LiveHDの勧め

2012年05月06日 | オペラ
すっかりご無沙汰ですm(_~_)m

GWは如何お過ごしでしたでしょうか? 私は3日~6日までの4日間。3日は磐田ららぽーとで映画「HOME 愛しの座敷わらし」をみてほんのり(^^ 4日は庭掃除と窓ガラス拭き、ゴーヤの植え付けで1日終わり。そして昨日5日は新宿ピカデリーでMET LiveHDでネトレプコの「マノン」を観てきました。今シーズンも残すところナタリー・デセイの「椿姫」だけです。来シーズンは秋からですが、ヴェルディイヤーとあって好きなタイトルが目白押しです。

さて「マノン」。2011年秋の英国ロイヤルオペラの来日公演で、同じロラン・ペリーの演出でネトレプコを観たので、2度目です。もちろん脇も違いますしオケもマエストロも違いますが、舞台装置も衣装もプリマも同じです。相変わらずネトレプコはネトレプコで、2年前に比べて体格が立派になって以前のセクシーさとは少し違って豊満というか円熟というか(笑)でも相変わらず素敵です。1幕のぽっと出の田舎娘の場面では、ゴージャスさが少し裏目に出ちゃって”あれ?”って感じがしないでもないけど・・(w

マノンといえばネトレプコ、ネトレプコといえばマノンでしたが、今期METのオープニングの「アンナ・ボレーナ」を観てしまった後では、勿論マノンも素晴らしかったのですが、アンナ・ボレーナに比べて・・・まあどちらも凄い高いレベルの話なんですが・・やはり軍配はアンナ・ボレーナ(笑)

2年前は「生」で、今回はスクリーン。確かに音楽としては生が一番ですが、オペラグラスでマノンを追いながら字幕にも目を配り、多重唱では相手役にも視線を移し・・と忙しい想いをしなくてもいいのでじっくりオペラを楽しめます。目の移動が少ないという身体的な負担がありませんから心からオペラに入り込めます。東京文化会館の窮屈な座席に比べてゆったりしたハイバックシート、ゆったり足も組めるし、しかも前下がりなので前席のお客の頭が視界に入らないといい事ずくめなんですが・・。

ただ・・映画館ということで飲食が出来たり、お気軽に観に来られているからか観客のマナーはイマイチです。上映中でもガサゴソと探し物をするご婦人がいたかと思えが、どこからか揚げ物の匂いがしてきたり(爆)

まあ、そんな事を差し引いてもシアターで観るライブ映像は素晴らしく、5万円の「生」と3500円のライブ録画を比べちゃうと圧倒的なコストパフォーマンス!

まあ、METは5~6年に一度の来日ですから、次の来日にも生の舞台を大枚叩いて観ることになると思いますが、ちょっとした欧州の引っ越し公演は、よほど好きな歌手とかでないと大金を払う気がしなくなってきました。なんたって家内と二人で10万ちかく掛かるんですからね(汗;

って訳で、来シーズンはともかく、今年の最後のタイトル「椿姫」もオススメですし、今回は特別にワーグナーの「リング」4部作が一気に再上映されますので、ワーグナー好きにはビッグチャンスです。リングは前々回のMET来日の際、ドミンゴ目当てで「ワルキューレ」を観たのですが、当時はミーハー感覚でオペラを見ていたので、ちっとも面白くなく(汗;)・・何故かというとワルキューレは「リング」の第2話で、全体が解っていない上にいきなり2話だけ見たものですからストーリーが分けわかんなくて・・

今回はディアゴスティー二・オペラコレクションのDVDでしっかり予習した上でリング4部作に挑戦です(^^


MET「The Enchanted Island」

2012年02月12日 | オペラ
すっかりMETライブビューイングづいています(笑)

前々回上映のバロックオペラに続いて今シーズン7作目もバロックオペラ「エンチャンテッド・アイランド(魔法の島)」です。シェークスピアの「真夏の夜の夢」「テンペスト」を題材にヘンデルやヴィヴァルディ、ラモー等の曲を付けた、この度のMET上演のために作られた新作オペラです。ですから、当然に初演ということになりますね。




音楽はバロックが使われていますがオペラ制作の手法は現代的で、ロデリンダで感じた冗長な感じは全く無く、編曲の巧みさやCGを駆使した舞台装置などと相まって、観る側も気が緩むこともなく最後まで一気に楽しめました。

特に素晴らしかったのがカウンターテナーのデイヴィッド・ダニエルズとメゾのジョイス・ディドナート、そしてダニエル・ドゥ・ニース。

ジョイスのアジリタの素晴らしさ!



切々と歌うデイヴィッド



ドン・ジョヴァンニのレポレッロ役ですっかりファンになったピザローニは相変わらずの演技力と素晴らしい”ていおん”を響かせてくれたけど、アジリタが少し溶けてた(笑)のが残念でした。やはりバロックには独特な技巧があるので誰でも!って訳にはいかないんでしょうね。そういえば同じくロデリンダの王グリムアルド役のジョセフ・カイザーのアジリタもだらしなかったなあ(汗;

しかし、装飾的で華麗なバロックオペラ、現代のように社会が複雑化して経済や地球環境など重苦しい時代には、文句なしに美しい世界に誘いこんでくれるこの手のオペラは難しい事を考えずに楽しめていいのかも・・。

ネプチューン役のドミンゴのアップでヨダレを垂らしていたのは・・見なかったことにしておこう(°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥ )


 

MET「ファウスト(グノー)」

2012年01月15日 | オペラ
名古屋ミッドランドスクエアシネマまでMETライブビューイング「ファウスト」を観に行ってきました。

指揮:ヤニック・ネゼ=セガン
演出:デス・マッカナフ
ファウスト:ヨナス・カウフマン(テノール)
メフィストフェレス:ルネ・パーペ(バス)
マルグリッド:マリーナ・ポプラフスカヤ(ソプラノ)
ヴァレンティン:ラッセル・ブローン(バリトン)
シーベル:ミッシェル・ロズイエ(ソプラノ)

今シーズンの「観るリスト」には入っていなかったんですが、同じくリストには無かった「ロデリンダ」があまりにも良かったので、後で後悔も嫌で(笑)

で・・大正解です!

ヨナス・カウフマン、ルネ・パーペと好きな歌手の出演でしたが時代を第2次世界大戦前に読み替えた新演出だったのと、プリマがポプラフスカヤってのがどうも(汗;)って訳でリストから外してあったのですが、演出だけはどうしても好きになれませんでしたが歌手陣はもう文句の付けようがなく・・

ヨナス・カウフマンは甘い低声域から密度の濃い高声まで素晴らしく、ルネは存在感のある役柄を素晴らしい声で見事にこなし、ポプラフスカヤは四角いツンデレ顔を意識させないような可憐な歌で。場が進むにつれて、コミカルだったメフィストフェレスは極悪な悪魔に、可憐だったマルグリッドは狂女に、その変化も見事に・・







もうこれは、今シーズンは残り全て観るっきゃないな(笑)

METヘンデル「ロデリンダ」

2012年01月13日 | オペラ
先週末、またまた新宿ピカデリーまでMETライブ・ビューイング、ヘンデルの「ロデリンダ」」を観に行ってきました。今シーズンの中では必見プログラムではありませんでしたが何となく勢いで・・。

バロックオペラは始めてで、しかもプリマは旬を過ぎたフレミング。あまり期待していなかったのですが・・ごめんなさい、参りましたm(_~_)m

ヘンデルのキラキラとした美しい音楽に乗せて物語はゆっくり進みます。7世紀の出来事を18世紀の音楽に乗せて21世紀に蘇らせる。耳に心地良く馴染むバロック、何度も繰り返されるフレーズも歌唱力と演技力によって観る者聴く者を飽きさせずに物語を前に進める。

バロックの聴きどころは「アジリタ」。同じ母音でひらひらと蝶が舞うように長いフレーズを歌う装飾に富んだ技巧的な歌唱法。驚いたのはステファニー・プライズ。マツコ・デラックスもびっくり!という巨漢(笑)からは想像できないような、軽やかな響きのよい素晴らしい声、軽妙なアジリタ!勿論プリマのフレミングの歌唱も素晴らしいもので幅広いレパートリーには脱帽です。

カウンターテナーのアンドレア・ショル、テノールのジョセフ・カイザーと脇を固める歌手陣の素晴らしいこと。流石にMETは・・

次のグノーの「ファイスト」も、新演出が気に入らないし、ポプラフスカヤも好きじゃないけど、ヨナス・カウフマンとルネ・パーペ目当てで行っちゃいます(笑)


MET「ドン・ジョヴァンニ」

2011年11月24日 | オペラ
批評などやめて単純に楽しめばイイ。高尚な講釈など垂れる必要は何も無い。娯楽なんだから!

METライブ・ビューイング「ドン・ジョヴァンニ」を観てそう思いました(笑)

どうも、多少声楽を齧ってるからって・・多少オペラを観てるからって、変に評論家みたくなっている自分が馬鹿げてます。

文句なしに楽しんで、深夜に帰宅して、今朝あらためてWEBで感想などを読んでみると、他人の批評が煩わしく思えた。ってこたぁ・・今まで書いた自分の記事も随分とウザったいものだったんだ(滝汗;

まあ、確かに細かいところを言えば幾つかの気になるところはあるサ。自分の好みと少し趣の違う演出とか、歌手のその日の出来とかね。何もかもが完璧で全てに満点の出来の舞台なんてあるわけもなく・・、その日その時の目の前に与えられた舞台を自分なりに存分に愉しめばイイ。それに尽きる。

ドン・ジョヴァンニはまり役のクヴィエチェンが生き生きと演じ、フリットリがエルヴィーラを見事に歌い、レポレロのピサローニは演技力で観客を魅了し、アンナのレベッカは美声を響かせ、ヴァルガスは相変わらずの甘い声、ツェルリーナのエルドマンは若くキュートでマゼット(誰だっけ名前忘れた)もいい味。

ファビオのレチタティーボ部のチェンバロ演奏もご愛嬌(^^

放蕩無頼の女たらしが、その悪業により最後は亡霊に殺されるという悲劇なんですが、モーツァルトの美しい音楽と軽妙なタッチで喜劇的に描かれて・・

なにはともあれ、是非ごらんなさい。

とは言っても、明日までですが(笑)

ジョーン・サザーランド

2011年11月08日 | オペラ



マリア・カラスと並ぶ不世出のソプラノなのに、何故か日本では評価が低い。
その理由は後述するとして・・・彼女の声は凄い。というか、声そのものよりも装飾音符やトリルなどの技巧が凄い。
高音を薄くさっとなぞるように声を出すところとか。

Wikiによると、初来日時には既にオペラ歌手としては下り坂で批評家の不評を買ったことを不人気の原因としてあげているが、彼女が美貌の持ち主であったらもう少しましな評価を得たのではないかとも思う。ちなみに次の映像がその年のMETのものです。記述はありませんが、ひょっとして来日公演の録画かも。御歳49歳、ヴィオレッタはきつかったかも。冒頭に貼りつけた動画はこの10年前のものです。




パヴァロッティの伝記「王様と私」にも、サザーランドはその大柄な体格から共演者としてパヴァロッティを重用し、それが彼の成功に繋がった、と書かれている。次の動画をご覧になれば一目瞭然。




あの大きなパヴァロッティよりも大きく見えます。馬面で御世辞にも美人ではない。

昨日の記事にも書きましたが、オペラもビジュアル重視になってきているので、オペラ歌手も声や歌唱力、演技力だけでなく見た目も大事なファクターになってくるので大変ですよね。

でも・・ネトレプコの声もサザーランドの絶頂期の声と比べると・・重く感じちゃいますね。






METオペラビューイング

2011年11月06日 | オペラ
今シーズンの最初の上映、ドニゼッティの「アンナ・ボレーナ」を観てきました。

http://www.shochiku.co.jp/met/

指揮:マルコ・アルミリアート
演出:デイヴィッド・マクヴィカー
出演:アンナ・ネトレプコ、エカテリーナ・グバノヴァ、スティーヴン・コステロ、イルダール・アブドラザコフ

デヴィッド・マクヴィカーの新演出ということですが、初めて観る演目なので”読み替え演出”に批判的な僕ですが、比較の対象がありませんから演出に関しては特に不満はありません。舞台装置はチューダー王朝にしてはシンプルながらやり過ぎではないし、衣装も素晴らしい。

アンナ・ネトレプコ演じるアンナ(笑)は、愛に苦しむ女らしさと、気が強く自分の置かれた状況に苛立ち、終幕の鬼気迫る狂乱の場面など、素晴らしい役者としても相変わらず見事に演じています。
出産してから太り気味でしたが、昨年の英国ロイヤルオペラで来日した時よりも更に恰幅が良くなり、マノンやトラヴィアータで見せてくれたセクシーな肢体が懐かしく感じられるほど。相変わらずの美貌なのですから、体型維持にもう少し頑張って欲しいと思っちゃったりします。来春もマノンに出演が予定されていますけど・・多分観ますけど・・あの体型だと何かイメージが(汗;

ネトレプコの素晴らしさに一歩も引けをとっていなかったのがエンリコ(ヘンリー8世)役のルダール・アブドラザコフ。自分がバス/バリトンなので、どうしても目が(耳が?)行きます。何というんでしょうか明るい響きなのに軽くない。キレのあるバス声です。役者としても目力が凄い。動作というよりも目で演じるタイプですね。それに男らしいイケメンでビジュアルもエンリコにピッタリ。

最近、ディアゴのDVDでオペラを見る事が多く、劇場と違ってアップで映されるので表情や口の開け方、身体の使い方などを注意深く観察出来るのですが、演技派のオペラ歌手は顔で演じていますよね。それも目!身振り手振りよりも目とか顔の表情が歌(声)に色を添えて曲に感情がこもるんでしょうか。そういう意味では、パヴァロッティは歌手としては世界一ですが役者としては大根?・・いや失礼、彼はその歌声だけで充分ですよね。

ペルシ役のコステロは、いかにもベルカントのテノールで、甘く響く素晴らしい声でした。甘いマスクでこれからオペラ好きのオバサマ方のアイドルになるかも(爆)

ジョヴァンナ役のグバノヴァは、何カ所かパーサージョで声が痩せた所があって、ちょっと気になりました。本調子じゃなかったのかな?役柄としてはアンナの侍女なのですがエンリコに愛されて、つまりアンナの恋敵になってしまい、アンナの処刑の一因となるんですが、見た目アンナよりも老けてるし美貌も劣るし・・一昔前のオペラではどうってことないんですが、最近のビジュアル重視の傾向の中では少し不自然さが残ります。

4時間近い上演時間。朝5時起きで出かけたのに睡魔ニモマケズ(笑)・・いや、休憩&軽い昼食後のACT2で女官たちの合唱の時に少し落ちかけましたけど(汗;)この素晴らしいオペラが3500円で観れるライブビューイングって凄いです。勿論、生の舞台には比べるべきではありませんが、来日公演の東京文化会館の窮屈な椅子で、又はNHKホールの4万円くらいの 遠い座席でオペラグラスでお目当ての歌手を追いながら慌てて字幕に目を移したりせずに、アップで映し出される歌手の表情や演技を楽しむ事が出来るんですから。しかもHD大型スクリーンと5.1chの素晴らしい音響で・・。NYで上演してからたった数カ月後にですよ。

さて、次はドン・ジョヴァンニです(^^

【MET】ラ・ボエーム千秋楽

2011年06月22日 | オペラ
忘れないうちに書いておかないと(汗;

前日の「ドン・カルロ」の余韻も冷めやらない翌日曜の夜、同じNHKホールでの同じ席(笑)厳密には中央寄りに1席ズレましたが・・・


キャストの変更をおさらいしておきましょう。
ミミ:アンナ・ネトレプコ→バルバラ・フリットリ
ルドルフォ:ジョセフ・カレーヤ→マルセロ・アルバレス

昨年の英国王立歌劇場の「マノン」以来、すっかりネトレプコに魅了されて、生のミミを観てみたい(スクリーンではヴィラゾンとの共演を観ていますが)のと、パヴァロッティの後継者と言われているカレーヤが」お目当てだったのですが、残念ながら二人ともキャンセルです。ああ、ペチャワの日を選べば良かった・・とか、こんな事ならダムラウの「ルチア」にすれば良かった・・などと後悔しきり・・。でも日程的にペチャワの出演日は無理だったし、家内と二人で既に2演目なので、「ルチア」最終日の当日券までは・・・。今となっては、あまりのダムラウの評判に、無理しても当日券で飛び込めばよかったと・・(滝汗;

まあ、そんな心を揺れ動かしながら会場へ。あれ?客足が悪いね・・開演直前なのに空席が目立ちます。やはりネトレプコ目当ての客がドタキャンしたんでしょうか・・勿体無い(笑)

幕が開きます。何となく始まっちゃうこのオペラ(笑)ボエームのタイトル通りボヘミアンの日常を描くヴェリズモオペラ。同居する4人の男達はみなくすんだ灰茶系の衣装で2階最後列からは肉眼では判別できない(汗;
オペラグラスで確認して、後は声で(笑)

アルバレスは・・・イケメンながら肥えたし髭ずらだし・・・。歌い方がちょびっと大袈裟だなあ、もう少し自然体だとイイんだけど。俺はイイ男だ!いい声だろ?上手いだろ?って感じ。ジェラシーか(汗;

フリットリは流石でしたね。ネトレプコよりも清楚な感じで役柄には似合ってるかも。ネトレプコはゴージャス過ぎる(w
最後の死を迎える場面のアリアは・・・涙モノでした。息を引き取る際のピアニッシモ・・消え入りそうな声が、ちゃんと2階最後列まで届きます。ホンマもんのベルカントの響きです。

そうそう、ムゼッタのスザンナ・フィリップス、なかなかでした。可愛いし・・ファンになりそう(笑)欲を言えばもう少し艶っぽければ・・。

ゼッフィレッリの演出は、それはもう。パリのカフェの場面の賑わいの演出は・・それはもう・・・(溜息;

こうして年に一度のお楽しみの引越しオペラ、しかも5年ぶりのメトロポリタンな週末が終わりました。大震災、原発事故、そして放射能・・様々なハードルを乗り越えて開催されたMET日本公演。大幅なキャスト変更に失望したファンも多かったと思いますが、ヴァカンスを返上して来日してくれたアーティストの皆さん、そして最後まで調整に苦労されたジャパン・アーツにも感謝したいと思います。

【MET2011】ドン・カルロ

2011年06月20日 | オペラ
6月18日(土)15:00 NHKホール・・・・・
待ちに待った5年ぶりのメトロポリタン歌劇場日本公演「ドン・カルロ」です。



震災の影響でキャストに大幅な変更がありました。タイトル・ロールのヨナス・カウフマンとエボリ公女のオルガ・ボロディナがキャンセル。休暇中の代役を急遽招聘したり、「ボエーム」のネトレプコもキャンセルのためにバルバラ・フリットリが急遽代役に立ち、その煽りでエリザベッタがマリーナ・ポプラフスカヤに代わるなど、招聘元のジャパン・アーツは相当苦労したんじゃないでしょうか。

多少のお目当ては外れましたが、フォリッポのルネ・パーペとドロリーゴのディミトリー・ホロストフスキーは予定通りで、「男のドラマ=男声がキモ」なので、事情が事情ですからヨシとしましょう(笑)

体調不良で降板したレヴァインに代わって指揮を振るのはファビオ・ルイジ。レヴァイン降板と聞いてがっかりしていたんですが、ルイジさん・・・堂々とした端正な指揮です。3幕4場でしたか、民衆の合唱とソリストの重唱の場で微妙にテンポがズレそうに感じたんですが、?と思った瞬間にルイジさんを見たら大きく振ってぴしっと立ち直って”おおっ!”って。凄いですよ。

ヨン様(笑)も、最初は響きが薄い感じで線の弱さを感じましたが、場が進むにつれて調子を上げ、途中からは見事なものでした。身体が小さいこと、演技にまだ多少のぎこちなさがあることで、共演者の存在感に負けていたのが少し残念ですが、東洋人の限界なんでしょうか・・・。でも、最後のほうではそれほど意識しませんでしたから歌唱力は相当なものですね。


エリザベッタのポプラフスカヤは、ちょっと高音域が硬質なのが気になりましたが良く演じていたと思います。エボリ公女は普通は眼帯をするんですがしてなかったですねえ。どうしてなんでしょ?衣装もエリザベッタと際立った違いがなかったので老眼の遠目では声で判別(汗; お隣りのお祖母様は、カルロがエリザベッタとエボリを間違えて秘密を暴露する場面では、ご自身も間違えたらしくて????な小声を上げられていました(爆)

フィリッポのルネは流石の貫禄です。「一人寂しく眠ろう」は鳥肌モノでした。ストーリー上ではエリザベッタをカルロから奪う憎々しい父親ですが、その胸中を切々と歌う心情溢れるアリア。これだけで元を取れるような(笑)

パーペの歌うフィリッポのアリア



ロドリーゴも4幕2場の「ロドリーゴの死(終わりの日は来た~カルロよ聞き給え」は圧巻でした。息絶え絶えに歌うホロストフスキーは演技力も含めてちょっとした感動もの。

ホロストフスキーのロドリーゴの死



もう一人のバス、裁判長は低い声は良く通るものの、少し浅かったですね。もっと奥深い声が欲しかったと思いますが、プロフィールを見るとステファンは随分と若いですね。年齢を重ねれば素晴らしいバスになるでしょう。将来が楽しみです。

と・・指揮者は交代し、キャストも大幅に入れ替わった舞台でしたが、幕間も含めて5時間近くの超大作を飽きさせもせず、素晴らしいオペラに仕上げていました。流石にメトの面目躍如と言ったところです。

演出もデクスターで古めかしいと言われていますが、古典的演出好きの僕には十分満足のいくものでした。