前回の続きです。
重要なことなので繰り返しますが,人間は非常に欲深くて,金銭欲は無限と言っても過言ではありません。しかし,その一方で,どういうわけか,この欲望を否定してしまう輩も非常に多いのです。「金儲けは悪いことだ」と根拠も無く理性的に考える人がいても,人間ですから本能的に金銭欲はあります。簡潔に言って,理性が本能を否定しているだけなのですが,このとてつもなく強くて,無限ともいえる金銭欲に打ち勝てる理性を持っている人間はほとんど存在しないでしょう。
そんなところに,真面目で社会的に硬いイメージがあり,根拠も無く信用があると思われている金融機関の営業担当者が現れて,「資産運用をお考えになってみてはいかがでしょうか?」などと投資信託を売り込みに来たとします。このような対象顧客というのは,銀行の預金口座以外に現金を置いたことが無く,資産運用などしたことも無い人たちがほとんどなのです。本能的には金銭欲にまみれているのに理性的に金儲けは悪いことだと考えている人たちは,「お堅い銀行が勧めるほどほどに利回りの良さそうな運用なら,証券会社で株式を買って大儲けしたり,暴落して大損することも無いだろうから,まあ許せるか」と勘違いしてしまうのです。
銀行も当たり前のように金儲けしているのですが,その金儲けのえげつなさは一般的な個人顧客には表向き分からないようになっています。しかし,何も知らない人たちに対して,「損しても後で文句は言いません」という念書を書かせた上で,知らないのを良いことに一般的な証券市場取引では考えられないような高額手数料(例えば,購入代金の3%)を先取りしておいて,箸にも棒にも引っ掛からない様な自分の銀行の関連会社で運用する投資信託,しかも運用手数料がびっくりするくらい高い(例えば,運用資産の年率1%)投資信託を買わせたりするのです。こうして90%くらいの人たちは多額の運用損失を被りますが,問題の念書が存在するので表沙汰にはならないのです。中には多額の損失を被っているにも拘らず,銀行で運用している投資信託だから大丈夫などと被害にあっていることすら気づかないくらいうまく騙されて銀行の餌食になっている人たちもたくさん存在するようです。
投資信託が全部ダメだという訳ではなくて,悪質とも詐欺とも言えるほどの銀行が勧める投資信託は絶対に避けるべきですが,証券会社で直接申込できる投資信託はまずまず良心的なものが多いと思います。証券投資(株式,投資信託,債券など)は,やはり本業の証券会社を利用するほうが間違いないです。
(続く)
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