横浜美術館で開催の『メアリー・カサット展』の
夜間特別鑑賞会に行ってきました。
横浜で、夜なんて、シャレオツ(笑)
でも、若干体調不良なので、夜遊びは自重して、
絵画鑑賞に集中です。
閉館後の18:15受付開始なんですが、
18:00に行ったら受付を始めていました。
2016/07/02は特に暑かったので、
早い分には涼しいところに居られて良いけど、
何か「予定と違うじゃ無いか!」と
難癖を付ける奴が居ないと良いなぁと
余計な心配をしてしまいました。
受付後は、階下のレクチャールームで待機。
そう言う理由からなのか、入口が通常の入口ではなく、
レクチャールーム側の入口でした。
さて、最初に断っておきますが、
※会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
大事なことなので二度言います。
※会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
18:30になり、事務局側挨拶に続いて、
展覧会場に移って横浜美術館主席学芸員沼田英子さんの、
ギャラリートークから、夜間特別鑑賞会開始です。
ギャラリートークの幾つかポイントを上げると
- メアリー・カサットは比較的無名の印象派の画家。今回は35年ぶりの回顧展。
- 作品001《バルコニーにて》は、セビーリア滞在中に描いている。この作品では、女性の手首の描写で、自分の技量を“男性と同等以上である”と示しておる。
- 作品004《刺繍するメアリー・エリソン》では、アメリカ人留学生を書いている。この作品は、肖像画だが、刺繍をしている姿を描くことで、風俗を描くという意味ももっている。
- 作品013《桟敷席にて》。以前は、《オペラ座にて》と言うタイトルだった。場所は、コメディ・フランセーズでは無いかと言われている。女性の服装から、男性の目を意識しておらず、純粋に芝居を見に行ったと考えられている。当時、通常女性は、男性の目を意識した、作品014《扇を持つ夫人(アン・シャーロット・ガイヤール)》の様な当時の胸の開いたドレスを身にまとい観劇に出かけていた。この《桟敷席にて》の女性の服装は、“男性に見られに行ったのではない”と言う意思表示である。
- 作品029《眠たい子どもを沐浴させる母親》では、右手にフォーカスが当たっているのに注目。これは、働く母の手を象徴している。
- カサットは、喜多川歌麿の浮世絵に関心を持っている。特に、その影響を受けて描いた、054《湯あみ(たらい)》、055《ランプ》、056《オムニビュスにて》、057《手紙》、058《仮縫い》、059《沐浴する女性》、060《母のキス》、061《母の愛撫》、062《午後のお茶会》、063《髪結い》の10点の作品は傑作。作品059《沐浴する女性》では、ドガが、「女がこんなに上手く線を引けるのは許せない」と言ったとか。
- カサットは、1893年シカゴ万博の「女性館」の壁画を描いている。この壁画は現存していない。
- 作品086《母の愛撫》は、学芸員沼田さんのおすすめ。
- 作品094《マリー=ルイーズ・デュラン=リュエルの肖像》。晩年、白内障になったカサットはパステル画に取り組んだ。パステルは、発色が良いので、扱いやすかったらしい。
- 作品095《クロシェ編みのお稽古》は、ほぼ最後のカサットの作品。これ以降、亡くなるまで作品は描いていない。
やっぱり、ギャラリートークは延びました(苦笑)
当初予定は20分ですが、20分じゃ終わんないよねぇ。
学芸員の人も、色々話したいだろうし。
でも、時間配分考えてほしいな。
20分の予定が40分なんだから、延びすぎです。
延びた分だけ自由鑑賞の時間も延びればいいけど、
そういう事でもないし・・・。
まぁ、展覧会関係の講演会とか聞いても大体時間を守らないので、
美術関係者は、そう言うものかと言う話もあるけど、
ちょっといかがなものかと思う。
とは言え、貴重なお話を聞けたのでいい事にしましょうかね。
と言う事で、ここから自由鑑賞。
最初の出発点に戻り、順に鑑賞していきます。
この手前の《浜辺で遊ぶ子どもたち》。
こう言う風景画を描くことは少なかったカサットですが、
この作品の子どもは、姉と自分自身をカサットは描いた
と言われているそうです。
奥 《庭の子どもたち(乳母)》1878年 油彩、カンヴァス ヒューストン美術館
手前 《浜辺で遊ぶ子どもたち》1884年 油彩、カンヴァス ワシントン・ナショナル・ギャラリー
そしてこちら。
上記でも記した見どころの一つの《桟敷席にて》
よく見ると、奥の男性が、こちらの方を向いて、
女性をよく見ようとしています。
これは、上記にも記した様に、女性は見られることも意識した
と言う事の裏返しなのかもしれません。
奥 《扇を持つ夫人(アン・シャーロット・ガイヤール)》1880年 油彩、カンヴァス 個人蔵
手前 《桟敷席にて》1878年 油彩、カンヴァス ボストン美術館
今回、別々の所に収蔵されているカサットの家族が一同に介しています。
《ロバート・S・カサット夫人、画家の母》の更に右に、
姉のリディアを描いた作品が有ったんですが、
カメラの性能の問題で入らなかった・・・orz
左 《青い夜会服を着てタペストリー・フレームの前に座るアレクサンダー・J・カサット夫人》1888年 パステル、紙 アデルソン・ギャラリー協力
中 《アレクサンダー・J・カサット》1880年頃 油彩、カンヴァス デトロイト美術館
右 《ロバート・S・カサット夫人、画家の母》1889年頃 油彩、カンヴァス デ・ヤング、サンフランシスコ美術館
カサットは、ジャポニスムの影響を受けているのですが、
それを彷彿させるのがこちら。
歌麿の作品が見づらいですが、影響を受けていることを彷彿させます。
左 メアリー・カサット《化粧台の前のデニス》1908~1909年頃 油彩、カンヴァス メトロポリタン美術館
右 喜多川歌麿《高嶋おひさ 合わせ鏡》1795年頃 木版 メトロポリタン美術館
メアリー・カサットと交流のあったエドガー・ドガの作品もありました。
左 エドガー・ドガ《踊りの稽古場にて》1884年頃 パステル、紙(厚紙に貼付) ポーラ美術館
右 エドガー・ドガ《踊りの稽古場にて》1895~1898年頃 パステル、紙 石橋財団ブリヂストン美術館
所々に、カサットの言葉もありました。
これの隣にはカサットの写真
(1903年、撮影テオデート・ポープ ヒル・ステッド美術館)
ちなみに、音声ガイドはありましたが、有料でした。
そこまで甘くは無いのか(苦笑)
終わって出てくると、すっかり夜になっていました。
めっちゃ蒸し暑いですけどね(苦笑)
名称 | メアリー・カサット展 http://cassatt2016.jp/ |
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会期 | 2016年6月25日(土)~9月11日(日) |
会場 | 横浜美術館 |
当日観覧料 | 一般1600円、大学・高校生1100円、中学生600円、小学生以下無料 |
開館時間 | 10:00~18:00(※2016年9月2日(金)は20:30まで) ※入場は閉館の30分前まで。 |
休館日 | 木曜日、12月29日(月)~1月2日(金) ※ただし2016年8月11日(木・祝)は開館 |
巡回展 | 京都展 2016年9月27日(火)~12月4日(日) 京都国立近代美術館 |