日経ホールで開催の
「星新一賞」創設記念シンポジウム
『発想立国の作り方 ~イマジネーションと日本のポテンシャル~』
に行って来ました。
プログラムは、以下。
- 19:00 開会
- 19:00~19:05 オープニングスピーチ
星 マリナ 氏(星新一氏次女) - 19:05~19:50 基調講演
「やれる理由を見つけて挑戦することが独創をかなえる」
川口 淳一郎 氏 (宇宙航空研究開発機構[JAXA] シニアフェロー) - 19:50~20:00 休憩
- 20:00~21:30 パネルディスカッション
「インスピレーションから生まれる日本の競争力」
パネリスト:
川口 淳一郎 氏 (宇宙航空研究開発機構[JAXA] シニアフェロー)
浦沢 直樹 氏 (漫画家)
朝倉 啓 氏 (IHI 常務執行役員 経営企画部長)
松原 仁 氏 (公立はこだて未来大学 教授) - 21:30 閉会
21:30が閉会と、水曜なのに結構遅くまでやりますね。
金曜とかなら、わかりますが。
シンポジウムは、星新一の次女の星マリナさんの
オープニングスピーチで始まります。
星新一の川柳を紹介していました。
メモを取る暇がなくて、具体的にどう言う川柳であったかは
示すことが出来ないんですが、ショートショート同様、
中々、スパイスの効いた川柳でした。
実は今回のシンポジウム聴講の最大の目的は、
JAXA川口教授の基調講演を聞くこと。
川口教授の講演を聴くのは、これで何回目かな。
blogに書いていないものも含め3回は聞いています。
なので、これで4回目かな。
その川口教授の今回の講演ですが、
当初「はやぶさ・イカロスに秘められた独創力」
と言うタイトルだったんですが、
「やれる理由を見つけて挑戦することが独創をかなえる」
と言うタイトルに変更されていました。
講演では、
「国家防衛の観点から、この機械には何の価値もない」
と言われたことに対して(当時は冷戦期だった)、
「加速器はわが国の防衛に、直接には何の関わりも持ちませんが、
わが国を守るだけの価値のあるものにする事ができます」
と言うフェルミ研究所のロバート・ウィルソンの名言を
引用していました。
いま川口教授は、政府の宇宙開発戦略本部の事務局長をしているので、
なんか、予算関連で、苦労していそうだと言う事がわかります(苦笑)。
「二番じゃダメなんですか!」と言う、
歴史的な迷言も言っていましたしね。
あと、やっぱり、独創的な事を研究するには、
過去を振り返ってはダメだということも言っていました。
教科書に書いてあるのは過去のことであって、
イノベーションは全く書いていないと。
イノベーションの為に大切なのは、明るい展望を見出だせる事だそうです。
なるほど!
それにしても、やっぱり、話がうまいですねぇ。
今回も、シャレ、ちょっぴりの皮肉交じりの非常に面白い講演でした。
時間ピッタリに終わるっていうのは、すごい技術だと思います。
話をするべきことが整理されていて、しかも、時間の状況を理解する
状況把握能力が高い証拠ですよね。
約10分の休憩を挟んで、パネルディスカッションに移行。
パネルディスカッションの場合、冒頭、各パネラーの
ポジションを明確にするため、自己紹介などをするんですが、
やっぱ、IHIは堅いね。
まぁ、常務執行役員の経営企画部長が、
いい加減な話はできないかもしれませんが、
その直前が、浦沢直樹さんの自己紹介だったので、
より、その話の硬さが目立ってしまいました。
あと意外に、公立はこだて未来大学の松原教授が、
話が面白かったですねぇ。
人工知能を研究されているそうなんですが、
たぶん、企業との関わりも多いので、
話術が磨かれたのではないかと思います。
って言うか、今回の発端の「星新一賞」の応募対象者に
“人間以外(人工知能等)の応募可”と言う条件が入っているのは、
実は、松原教授の研究テーマと関連しているそうです。
つまり、将棋とかサッカーとかは、人工知能の研究テーマとして
結構有名ですが、いま人工知能で小説を書こうとしているそうなんです。
2017年?に達成したいと言っていました。
あと、浦沢直樹さん。
個人事業主というか、自由業というか、他のパネラーの産業界(IHI)、
学術界(JAXA、未来大)とは一線を画した業界からの参加。
浦沢直樹さんが呼ばれたのは、PLUTOを書いたという所が有るみたいです(?)。
たぶん、学者やサラリーマンだけだと、堅~い雰囲気になるんで、
わざと自由業を意識した話の仕方をしていたような気がします。
話を聞いていて“大人だな”と思いました。
あと言っていたのが、こう言うクリエイト系の職業の人って、
「充電」と称して、仕事を休むことがありますが、
浦沢直樹さんは、むしろ逆に、休んだら書けなくなりそうと
思っているそうです。
この話に、川口教授は「仕事は、忙しい奴に任せたほうが進む」と言う
サラリーマン業界ではよく言われる話をしていました。
確かに、休むと頭が休んでしまって、何も出ないかもね。
忙しい=いつも考えているだと思いますね。
それと、浦沢直樹さんは、ツイッターはやっていないと。
それは、そういう所でネタを小出しにしてしまうと、
仕事ができなくなるとも言っていました。
日常の思いとか、考えていることを重視するのが浦沢直樹さんの
スタイルみたいですね。
上記の「充電」にも繋がるんですが、「このことを知りたい」と
思って、本を読んだり、色々調べたりすることはあるそうですが、
ネタ探しという観点で、特に目的もなく、観劇するとか、
何かを見に行くということは無いようです。
終わりが21:30と、結構遅めの時間になってしまいましたが、
中々、面白いシンポジウムでした。