世界各国から発表されている経済指標は、為替市場にとても大きな影響を及ぼします。
しかし、その種類は膨大にありすべて把握することは不可能と言えるでしょう。
そこで今回は、特にFXへの影響力が高い経済指標とその活用方法を、初心者にもわかりやすくご紹介していきます。
FXを行う上で欠かせない重要なデータとなるので、ぜひ最後までチェックしてみてください。
経済指標の基本
まずは、経済指標とその役割について解説していきます。
・経済指標とは?
経済指標とは、各国の経済状況を表す統計データのことです。
景気や物価、金利などが数値化され、過去から現在までの推移を把握できるようになっています。
このデータは、各国の中央銀行や公的機関によって定期的に集計・公表されています。
・経済指標の役割
経済指標は、世の中の景気の判断材料となるので、発表直後から株価や為替相場が大きく動くこともよくあります。
そのため、政府の金融政策や財政出動、増税などの政策決定に活用されるほか、家計や個人の資産運用にも非常に役立ちます。
FXにおいては、自分の予測と市場の動きにズレがないかを確認するにあたって、非常に重要なデータとなります。
FXへの影響力が特に高い経済指標5選
経済指標には、多くの種類があります。
ここでは、数ある経済指標の中でも特にFXへの影響が大きい5つの指標をご紹介しましょう。
・米国雇用統計
「米国雇用統計」は、アメリカ合衆国労働省労働統計局が発表している、アメリカの雇用情勢を表した指標で、世界経済で最も重要な指標の1つと言われています。
毎月第一金曜日に、平均時給や業界ごとの就業者数などを含む、10項目以上が発表されます。
その中でも特に注目されるのが、「失業率」と「非農業部門雇用者数」の2項目です。
・GDP(国内総生産)
一定期間内に国内で生産されたものやサービスの付加価値の合計額を示したのが、GDP(国内総生産)です。
ほとんどの国や地域で発表されていて、その国でどれだけの利益が生み出されたのかを知ることができるため、景気動向を掴む目安になります。
GDPには、名目GDPと名目GDPを除いた実質GDPの2種類がありますが、発表されるのは「実質GDP」の方です。
アメリカでは毎年4月・7月・10月・1月に発表されます。
・CPI(消費者物価指数)
CPIとは、一般世帯が購入するものやサービスの価格変動を表す数値です。
算出の仕方は、基準時の物価を100として「比較時の価格÷基準時の価格×100」で求めます。
例えば、CPIが「105」と発表された場合は、基準となる年に比べて物価が5%上昇したということになります。
CPIも世界各国で発表される経済指標であり、日本では総務省が毎月公表しています。
・景気動向指数
景気動向指数は、産業、金融、労働といった景気の現状や先行きを予測する上で重要な30項目の景気指標を基に算出されています。
内閣府が毎月公表していて、数ヶ月先の動向を示す「先行指数」、ほぼ現状を示す「一致指数」、数ヶ月~半年ほど遅れて動く「遅行指数」の3つに大きく分けられます。
また、より正確な景気の動向を知るためには、景気変動の大きさを表す「CI」と、変化の方向性を表す「DI」の2つもチェックすることが大切です。
・FOMC
FOMCとは、アメリカの金融政策や政策金利にまつわる事柄を決定する会合のことを言います。
委員会の構成員は、FRB理事7名と各地区の連邦準備銀行総裁5名、合わせて最大12名で、1年に8回開催されています。
景気の現状と政策金利の上下に関して発表され、アメリカの景気が過熱すれば利上げ、後退すれば利下げが行われます。
アメリカの金融政策の方向性を判断する重要な材料であるため、市場関係者は特に注視しています。
経済指標を上手く活用しよう!
ここからは、実際に経済指標を上手く活用する方法を解説していきます。
【指標発表時のFX取引を避ける】
重要度が高い経済指標の発表時ほど、為替相場の値動きも激しく、FXのプロでも予測が難しいとされています。
特に初心者であれば、指標発表時の取引は避けた方が無難です。
各経済指標の重要度や発表日などは、FX会社の経済カレンダーで確認できるので、自分が取引する通貨国の重要な指標発表日をチェックしておきましょう。
【市場予想値をチェックする】
経済指標が発表される前に、市場予想値をチェックしておくことも大切です。
市場予想値とは、金融機関の専門家などが事前に予想した数値をもとに、中央値を算出したもので、こちらも各FX会社のカレンダーで確認できます。
GDP(国内総生産)のように毎月、速報値、改定値、確定値の順で複数回にわたって発表される経済指標の場合は、最初に発表される「速報値」が最も重要度が高いです。
【市場予想値と結果を比較する】
実際に経済指標が発表され、結果が出たら市場予想値との違いを比較しましょう。
基本的に結果と予想値の差が大きいほど、相場の変動が大きく、差が小さければ変動が少ない傾向にあります。
また、結果の良し悪しでも相場の向きが変わり、予想値より良い結果だった、または予想どおりだった場合は好転することが多いです。
例えば、米ドルにおいて重要度が高い経済指標の結果が、予想値より大幅に良かった場合は、ドルの需要が高まっていると判断されるため、米ドルが買われやすくなります。
反対に、予想値を大幅に下回った場合はドルの勢いが弱まっていると判断され、売られやすくなります。
【過去の結果や推移から予測する】
FX予測のためには、経済指標の現在の数値だけでなく、過去の結果についても確認することが重要です。
過去のチャートを分析し、将来の値動きを予測する方法を「テクニカル分析」と言います。
テクニカル分析には、「テクニカル指標」を用いることが多く、主にトレンド系とオシレーター系と言われる以下の2種類があります。
・トレンド系
市場の全体的な動向を見極めることを目的としたテクニカル分析です。
トレンド系の中でも、有名で愛用しているトレーダーが多い「移動平均線」は、一定期間の平均価格を計算・算出し、その変化をグラフで表したもので、初心者でも、買い時や売り時がわかりやすいのでおすすめです。
・オシレーター系
相場の買われすぎ・売られすぎを示すテクニカル分析で、明確なトレンドがない時の状況判断に有効です。
オシレーター系の代表的なテクニカル指標には、買われすぎ・売られすぎが指数化された「RSI」などがあります。
テクニカル指標を用いた相場分析は、初心者でも比較的始めやすいですが、すべてのサインが確実というものではありません。
いくつかのテクニカル指標を使って分析してみて、長所・短所を理解し、自分に合った指標を選ぶことが大切です。
そして、自分なりの分析結果を落とし込んだオリジナルのテクニカルチャートを作り上げてみてください。
今回は、FXにおいて影響力が高い経済指標と、その活用方法をご紹介しました。
特に重要な経済指標で大きな数値の変化があった場合は、急変動が起きやすく予想外の損失を抱えてしまうリスクがあります。
そのため、自分が取り扱っている通貨国が発表する経済指標は、事前にしっかりチェックすることが重要です。
また、FX自動売買システムの中には、事前に指標発表を知らせてくれるサポートが付いているものもあります。
自分で指標発表日時を確認する手間を省きたいという方は、そちらの利用を検討してみても良いでしょう。