アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男のラース・クラウメ監督による最新作「僕たちは希望という名の列車に乗った」を鑑賞。
僕たちは。。。のタイトルから、どこか青春の甘い香りと清廉さを感じますが、邦題で原題は「静かな革命」となっています。日本語タイトルは、作品の内容と異なるイメージで、作品の印象を歪めると言う方も多いかと思います。しかしながら、今回のタイトルは、原題よりも、作品のイメージを強く印象付ける素晴らしいものでした。なので、タイトルの偏見なしにぜひ観てほしい個人的にはとてもおすすめの作品です。
舞台はベルリンの壁建設前夜の東ドイツ。東西の行き来の規制がまだ緩い中で、東ドイツの高校生のテオとクルトは、西ドイツでハンガリーの蜂起のニュースに遭遇します。翌日二人は、クラスメートに2分間の黙とうを呼びかけます。ハンガリー市民の哀悼の意味を込めた黙とうが、国家への反逆とみなされ生徒たちに、予想だにしない過酷な試練が襲い掛かる実話に基づく青年たちの人間ドラマとなっています。
誰もが少なからず青春時代に経験する軽はずみな行動や言動によって、予想だにしない状況へと進む過程を丁寧に描いていき、各自が抱く国家への思いの中で揺れ動く信念。そこに家族の抱える過去の歴史が浮かび上がり、激烈な試練が次から次へと突き付けられます。
そして、国家は非情にも彼らの友情をありとあらゆる手を講じて切り裂いていきます。主人公の二人、テオとクルトは国家に対して大きな決意をしめします。果たして彼らの運命は。青春劇から人間劇へそして、運命の決断へと続く濃密な革命劇を堪能してほしいと思います。