透明人間たちのひとりごと

特殊相対性微妙理論

 新聞に載っていた記事に(面白いなあ) と、思える
考え方が紹介されていたことが、一頻(ひとしき)り話題と
なって議論に花が咲きました。

  「世界中に牛と羊は、それぞれ10億頭ほどいるそうだ。
  旧大陸の産だから、コロンブス以前はいなかった南北
  アメリカやオセアニアにも、その生きる場所を広げて」

  「もちろん、人に食べられたり、さまざまに利用されて
  いるのだけれど、時々、これはある種の契約ではない
  かと思ったりも」

  「つまり、仲間の一部を人間に差し出すから、あるいは
  天寿を全うしなくてもいいから、われわれを庇護して
  くれというような契約関係。  だからこそ、自然の
  状態ではあり得ないほどの『繁栄』を、家畜はとげて
  いるのではあるまいか」

  「こんなことを思ったのは、フォアグラが残酷だという話
  から。 それが入った弁当を、非難する声があったため
  にコンビニが販売を止めたうんぬん」

  静岡新聞夕刊(6月23日付) 「園芸 料理」 欄 
 【食の読解力 3】 『フォアグラは残酷か』

          (森枝卓士・ジャーナリスト)


 この記事をめぐり、今年1月末に販売が予定されていた
ファミリーマートの「フォアグラ弁当」の販売中止を
うけ、ネット上で賛否両論の攻防戦が繰り広げられたことを
4号が持ち出すと 「それは 『ファミマプレミアム黒毛和牛
入りハンバーグ弁当~フォアグラパテ添え (690円)』

ことですね」 と、すかさず5号が応じます。

 「なんだ5号、やけに詳しいな」

 「フォアグラは食べたことがなかったから、ずっと楽しみに
 してたんですよ」

 「おっ、その物言いからするとキャビアやトリュフはとっくに
 経験済みってことかあ」

 「いやぁ、実はトリュフもまだなんですけどねase2

 (あとで分かったことですが、実際にはキャビアも未経験
 だったのです。 ですが、この時点では誰もがキャビアは
 食したものと思っていたわけです)

 結局は世界三大珍味のすべてが未経験だったわけです
が、日本語のレトリックというか、詐欺師のようなテクニック
を駆使する5号に対して …

 
 先のエントリーで、5号に任せた作業(新聞等の切抜き
の整理とスクラップブックの作成プロセス)を2号が評して
フォアグラ用につくる「ガチョウのレバー」
ようなものだと譬えたのも、ちょうど、このときの話です。

 symbol2kirakira2 『期待通りのフォアグラに』 を参照
 exclamationurl http://sun.ap.teacup.com/japan-aid/368.html


 「オレなんか、トリュフもキャビアもフォアグラも食ったこと
 がないけど、クジラとイルカなら昔にかなり食ったな」

 「4号は清水の出身だから、今でもスーパーでイルカを
 売っているだろ」

 「ええ、売ってますよ。でもクジラは簡単に手に入らない」

 「クジラも捕鯨が制限されてからというもの希少価値が
 上がって、超高級品になっちゃたからなあ」

 こうして、ああだこうだ、なんだかんだと …

 生産方法が残酷だから食材に使用しないで欲しいという
消費者からの指摘で販売中止となった「フォアグラ弁当」を
キッカケに、日本における太地町でのイルカの追い込み漁
にクレームをつけた駐日米国大使キャロライン・ケネディ氏
の非人道性についての発言などを材料にして、ささやかな
議論が展開されていたというわけです。

 ひょっとして、ご存知ない方もいらっしゃるかもしれません
のでケネディ氏のTwitter での発言を付記すると、

 「米国政府はイルカの追い込み漁に反対
 します。 イルカが殺される追い込み漁の
 非人道性について深く懸念しています」


 … というものです。

 これに対して 4号などは原爆で無差別に人を殺す国の
人間に非人道性 などという言葉を使って欲しくないと
憤りますが、国民の9割が残酷非人間的な行為
だとして、日本捕鯨反対をするオーストラリアの
ような国もあるのです。

 ところで

 フォアグラはガチョウやカモの肝臓ですが、この生産過程
が残酷であることは昔からよく知られています。

 肝臓にはタップリと脂肪が乗った状態がベストで美味しい
ので、ガチョウには大量の餌が用意されていますが、通常
では満腹になるとそれ以上は餌を食べません。

 そこで、フォアグラ用のガチョウの咽喉には鉄製のパイプ
が挿入されて強制的に大量の餌が送り込まれる仕組みに
なっているのです。

 また蓄積させた脂肪の消費を防止するために、一切運動
ができないよう狭いゲージの中に閉じ込めて飼育します。

 日に3度、3度、自分の体重に相当する量の餌を強引に
詰め込まれたガチョウの肝臓は1カ月くらいで普通の状態
の10倍近くにまで膨れあがります。

 この状態で取り出した肝臓がフォアグラになるわけです。

 飼育現場はもちろん、クビを固定された状態で吊るされた
ガチョウの屠殺シーンも見るに耐えないものとなります

 動物愛護団体の活動が活発な国がフォアグラに否定的
なのは当然で、その影響力に感化されてのファミリーマート
へのクレームかとも思われますが、問題なのは、あっさりと
抗議に屈して販売の中止を決定したことなのですnose6anger

 製造過程が残酷だから禁止では、肉の味を最優先させる
ために撲殺(厳密には殴打して失神後に失血死させる)
方法で処理される牛の場合は残酷ではないのでしょうか

 極めて微妙な問題です。

 日本におけるイルカ漁や南氷洋での調査捕鯨も世界的
な自然保護団体グリーンピースなどによる自然保護
や動物愛護の観点からの妨害行為のみならず、国際司法
裁判所(ICJ)は南極海での調査捕鯨の中止を命ずる判決
を出すような始末です。

 提訴したのはオーストラリア政府ですが、当の豪州では、
国の象徴でもあるカンガルーが増え過ぎて、なんと年間に
100万頭単位での駆除を許可し、その肉は食用として国内
のスーパーで売られているのです

 何故、カンガルーは殺してもよく、クジラはダメなのか

 素朴に疑問が湧きますし、これもまた微妙な問題です。

 要は、フォアグラ用のガチョウにしろ、牛や豚や鳥や羊に
しろ、魚や野菜にしてものすべては殺生なのです。

 フォアグラの作り方が強制的で残酷ならば、自然の状態
ではあり得ないほどの霜降り状の肉にするためにゲップが
出るほどにビールを飲まされる和牛たちや牛乳を搾り取る
ために強制的に妊娠させられる乳牛も同列でしょう。

 そもそも、なんでもかんでもゴネれば発売禁止にできる
とか、モンスターペアレント に代表される異常
クレーム社会 とか、一方的に捕鯨中止
命じられるグローバル世界の仕組みとか、国際間
に蔓延(はびこ)る矛盾違和感だらけの世界的
常識 とは一体全体、何なのか


 まったくもって理解できません。


 このように微妙相対的にして残酷関係性
を論じて「特殊相対性微妙理論」
甚だ勝手ながらも定義したいと思う次第です


 そういえば

 「沼津の特産品のひとつに『からすみ』があるけど、
 それも食べたことないしなあ」

 「沼津産のひものは毎食で、『塩辛(しおから
 『烏賊墨(いかすみ はよく食べるんだけどねpeace

 これも「特殊相対性微妙理論」による

 微妙すぎるオチ典型でしょうかase2


 「アジの干物」「ボラの卵巣を塩漬けし
 塩抜きして天日干しで乾燥させた物」

 干物 どうしで微妙なのですが …

コメント一覧

江戸川ドイル
恐縮です。
しかし、今回1号氏はタイトルを「~微妙理論」と表記すべきところを「~残酷理論」と打ち間違えていますね。
やっぱり、本音の部分では2号氏の言うとおりだったということではないでしょうか?
この記事の表題は「特殊相対性残酷微妙理論」とするのが正解でしょう。
少々長めですが、所詮は言葉遊びに過ぎませんので、あしからず。
透明人間1号
散歩ができないとか、歩き回れる範囲がごくごく限られていると聞くと、おいらさんでなくても、一般の人間の感覚からすれば哀れでかわいそうだし残酷な仕打ちだと思ってしまいますが、それは、当の家畜たちに訊いてみないと本当のところはわかりません。

動物にも無精者がいて、苦労してエサを求めて一日中草を探して歩き回ることを考えたら、むしろ、綱につながれていてもその方がラクだし、ずっといいと考えているのかもしれません。

江戸川ドイルさんのご指摘は的確で、タイトルを「特殊相対性残酷理論」としたのは、相対、つまり、どちらにも正しいし、どちらも間違っているような微妙でデリケートな問題だという意味です。
ルート1/2
結局、「屁理屈の論理学」でも、「地球は丸く、そして青かった」が結論でしょう?
だったら、長いものに巻かれるしかないないのでは・・・
おいら
http://sin-sei.at.webry.info/
子供の頃よく遊びに行ってた父方の里が乳牛を飼っているんだな。牛舎には数十頭の牛が1メートルにも満たない綱につながれていた。

おっちゃんに「散歩はどうしてるの?」と尋ねてみると、しないとの事。この綱で動ける範囲だけで死ぬまで暮らすという。

フォアグラに限らず、家畜ってのは残酷なものなんだな・・・
江戸川ドイル
おそらく、1号氏は“残酷”にフォーカスしているのではなく、“微妙”に焦点を当てているんだよ!
それを“特殊”という枕言葉でオブラートしているのだと思うけど、確かに、一般的には2号氏の言うようなタイトルの方が分かりやすいとは思うけどね!
透明人間2号
本文の内容から判断すれば、タイトルは『特殊相対性微妙理論』ではなく、『微妙相対性残酷理論』になるんじゃないですか?と、1号さんに訊ねると「それじゃあ、オチが活きないから」という返答。
でも、アジの干物だって腹を切り裂かれてミイラにされるわけで残酷といえば残酷だし、ボラの卵巣だってフォアグラと大差ない気がしないでもない。
相対的(アジの身になり、ボラの気持ちになって)みれば同じことで微妙どころか絶対的に残酷でしょう。
そう指摘すると「だから特殊だと断っている」とあっさりしたものです。
さらに食い下がるといつものように「屁理屈を捏ねるな!と一括。
皆さん、2号のエントリー『屁理屈の論理学』を参考にして、どっちが屁理屈屋なのか判断してください。

http://sun.ap.teacup.com/japan-aid/179.html
がぶり寄り
いけにえを捧げる契約を人間との間に交わして一定数の繁栄を確保する家畜たち。
なかなか興味深い発想ですな。
ココナン
オーストラリアの観光資源のひとつにホエールウオッチングがあるので、捕鯨に関してはうるさいのです。
オーストラリア政府が展開した「科学調査を装った商業捕鯨」という主張は国民に広く浸透しているので、この問題に対しては一歩も引かないというより引けないわけです。
「最後は金目」じゃないけど、結局は鯨利権なのだと思います。
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