このブログではなく、仕事上での
透明人間(エイドマン)たちのマインド教育用に準備
した 『フィールド サービス講座』 という小冊子
に、「雑稿 イソップ物語 PART-4」 として、
【北風と太陽】に隠されたイソップの予言を解説する
項での冒頭の導入部で …
“都会(まち)のカラスと田舎のカラス”では、大脳の発達
する部分も大きさも、ちょっとづつ違うようだとして、以下の
ように書いています。
イソップの物語に登場する“町のネズミと田舎のネズミ”
ではないですが、【環境の動物】 と呼ばれるのは
なにも人間に限ったことではなさそうですョ。
都会(まち)には刺激物が多く、情報量も豊富で、餌となる
人間の食べ残しや残飯も栄養価が高く、田舎で食す餌とは
まるで比較にならないようです。
一般に言うところの「頭の良し悪し」では、圧倒的に都会
のカラスやネズミの方に軍配が上がるようですが、確かに
、刺激と栄養が多い分だけ大脳の発達には違いが出てくる
のかもしれませんネ。
でも、環境ホルモン等の健康への影響や、ストレス性の
障害、異物の誤飲、交通災害などの危険度合は、むしろ
逆に、都会の方が大きいとも言えるでしょう。
大脳の大きさと健康とは直接の関係性は認められないの
で寿命の違いは分かりませんが、そうしたリスクを考慮する
と田舎に暮らす動物の方が、長生きなのかもしれません。
さて、今回の題材として取り上げるのは“北風と太陽”の
話ですが、
日本にも、そんな名前の音楽グループが最近できたそう
で、お笑いユニットの【アリとキリギリス】などにもネーミング
として利用されているというイソップ物語の認知度の凄さを
、今更ながらに知る思いがします。
それでは、
北風と太陽に登場してもらいましょう。
… てな具合に始まって 【北風と太陽】 の物語から
未来の地球での出来事を予言したとするストーリー展開
を構築し、フィールド(現場)での作業マインドを養おうとした
わけなのですが …
そんな「イソップの予言」についてはまた別の機会
に譲ることにして、
今日の話では、以前に前座として登壇してもらったカラス
とネズミのうちの“カラス君”たちに堂々の主役を
張ってもらうことにいたしましょう
随分と前のことですが、
“脳が進化する都会のカラスの謎を探れ”
というタイトルで放映された日本テレビ系列の情報番組に
「特命リサーチ200X」がありました。
そのなかで、小銭を自動販売機の投入口に入れ、ハトの
餌を取り出しては食べているカラスを“都会の賢いカラス”
だとして紹介していたことを思い出し、YouTubeで検索
してみると、すぐに見つかりました。
https://www.youtube.com/watch?v=hCoQIA-dS_E
http://www.yourepeat.com/watch?v=hCoQIA-dS_E
まず、この小銭の出処と自動販売機の場所ですが …
問題の自動販売機は、とある神社の近くの公園にあり、
時折、つり銭口に1円玉と5円玉が数枚ほど残っていると
いう怪現象の謎解きから始まります。
ある時に賽銭箱からコインを盗み出す窃盗ガラスが発見
され、追跡捜査が行なわれた結果、件(くだん)の自販機に
直行し、器用にも盗み出したコインを投入口に差し込んで、
見事にハトの餌をゲットする姿が目撃されたのです
どうやら咥えた小銭を手あたり次第に投入するも、1円玉
や5円玉では餌は出てこずに無情にも小銭は、つり銭口
に戻されていたというのが真実のようで、
10円で1袋が出てくるという自販機のハトの餌は、1円玉
ではご縁に足りず、5円玉では縁に穴が開いていたという
のがオチのようです
なんて、親父ギャグはさて置いて、
これでつり銭口に残る1円玉と5円玉の怪は解決
しましたが、ナレーションが余りにも奇々怪々で、これを
もってして、都会のカラスの「脳が進化している」 と
のたまわったのです
いやいや、そう断言したということなのですが …
宇都宮大学農学部の杉田昭栄教授によると、
カラスは脳の発達度合いが極めて高い動物で、元々賢い
知能に加えて、都会のカラスはさらに脳が発達し、知能が
進化しているとしています。
カラスの脳のうち、記憶をつかさどる脳の中心にある部分
で、人間の海馬と同じ役割を持つ「原始線条体」を比べると
田舎のカラスよりも都会のカラスの方が筋がはっきりとして
いたそうで、筋が多いほど認知記憶が増して 新しい情報を
記憶することができるのだそうです。
つまり、都会に住むカラスは、賽銭箱にあるコインの情報
と自販機の仕組みとを結びつけることができたわけですが
田舎のカラスには、直接的には関連しない情報どうしを結び
つけることはできないというのです。
(いったい何を根拠にそう言い切れるのでしょうか)
都会では生活空間に新しい刺激が豊富にあるため、学習
要素が多く、車やビルや電線等のさまざまな障害物が複雑
な空間認識を育てあげ、人間が出すゴミのサイクルや時間
などの学習対象も膨大な量となり、さらに言えば、脳の働き
に必要な栄養を年間を通じて豊富に摂取できる環境にある
ことが脳の発達を促したと考えられるとしていますが、
本当にそうなのでしょうか
他にもいくつかの実験で都会の「カラスの賢さ」を
番組内で強調していたようですが、
牽強付会や我田引水はそれらだけではなく …
番組後半でのカラスの集団の統制と役割分担について
の解説ですが、都会のカラスの採餌の際には、前もって
偵察役のカラスがやって来て、そいつが餌場(生ゴミの
集積場など)の状況をつぶさに観察し、餌の状態や周囲の
危険度を把握してから、しばらく後に ボス やNo.2 に
率いられた仲間が連れ立ってやって来ることや採餌時には
見張り役がいて常に周りを警戒している様子などを伝えて
いましたが、ボス および No.2 の存在を臭わせては
いても映像に出てくることはなく、見張り役にしても緊張感
もなく、ただ、キョロキョロとしているだけの落ち着きのない
カラスだっただけのような気がしないでもないのです
確かに、そうした役割分担があれば、より効率よく安全に
餌を得ることが可能でしょうが、
果たして、本当にそうでしょうか
餌を見つけた個体が他の仲間を呼んだり、危険を知らせ
る行動は他の動物でも見受けられますし、タイマン=1対1
の場合においては優劣の順位付けもあるでしょう
しかし、サルのように一番強い個体がボスで群れを統率
し、群れの意思で行動を決定しているとは思えません
「カラスの賢さ」 を示す顕著な例として、引き合いに
出されるのが、貝を空中から落として殻を割ったり、木の実
(クルミ等)を走って来る車に轢かせて堅い殻を割り中身を
食べるカラスが有名ですが、これらはいずれも田舎に多い
ハシボソガラスで、東京などの都会に多くみられる
ハシブトガラスとはまったく別の種類です。
番組では、ハシブトガラスとハシボソガラスには言及が
なく、実験ではハシブトガラスを使用していたようですが、
ハシブトガラスも年齢や季節によって移動をするようで、
ハシブトよりもひと回り大きい渡りガラスではないですが、
若い頃は田舎で暮らし、成長するにしたがって都会で生活
するとか、夏は田舎で避暑暮らし、冬は暖かい都会で避寒
を決め込むといった優雅な輩がいないとも限りません。
こういう想定をすると、「都会と田舎のカラス」
という線引きや定義自体が崩れ、実験の信頼性や正確性
にも問題が生じますが …
実際にはどうなのでしょう
ところで、
人間の大脳は、その働きに応じた6層構造に分かれて
いて、それぞれの層は神経線維で結ばれています。
同様に、カラスの脳も層を構成していて、こうした構造は
鳥類のなかではカラスだけだといいますが …
我が事務所の屋上もカラスたちの中継基地もしくは別荘
のような位置づけなのか、頻繁に往来してはリホーム
でもしているのか、ドンドンと何かを叩きつけているような
大きな音やズルズルとモノを引きずる音、そして、時には、
ピーピー、ピヨピヨとしたヒナらしき可愛い鳴き声が聞こえて
くることもあります
(他の小鳥の鳴き声と勘違いしているだけですが …)
大人のカラスの鳴き声は、事務所で確認できるだけでも
数種類はあって、「カー、カー」、「クワッ、クワッツ」、「カッ、
カッ」、余韻を残すトーンでの「カァー、カァー」など多種多様
で実にバラエティーに富む表現音域に溢れています。
一説では、20~30種の鳴き声があってコミュニケーション
能力も相当に高いと言われていますので、カラスの能力に
疑問を差し挟む余地などないのですが、所謂(いわゆる)
「都会のカラスは脳が進化していて、田舎のカラスと比較
してより賢い」という結論に異議があるわけです
仮に、刺激の多い都会の環境に順応したカラスの脳が
「進化」 しているのなら、それは遺伝的に代々の個体
に受け継がれていくはずのものですが、そうした事例など
を聞いたことはありませんし、増え続けるカラス対策として
東京都が実施した捕獲作戦では、毎年2000羽のカラスが
捕獲されています
脳が進化しているのなら、そんなヘマはしないでしょう。
要は、捕獲されるようなカラスは愚図で間抜けなだけの
凡庸ガラスで、先の賽銭泥棒や自販機荒しは、一種の
天才ガラスだったり、秀才ガラスなわけで、人間と同様に
あくまでも個人レベルの個体差にすぎないわけです。
それを大袈裟に「進化」 などとはおこがましいという
のが透明人間1号の結論です
まあ、興味本位に面白おかしく、あることないことに
尾ひれをつけて喧伝するのが、マスコミの業(ごう)でも
あり、性(さが)でもあるわけで、「特命リサーチ」
のような異様に大袈裟なノリでの語りは決して嫌いでは
ありませんが、うっかりすると間違った知識や事実を信じ
込んでしまう恐れがありますので注意が必要です。
全方位的で多岐にわたる情報番組やネット上の情報の
氾濫が叫ばれて久しいですが、情報はそのまま鵜呑みに
してはいけない時代だということですね。
そのむかし、志村けんが歌っていました
「カラスなぜ鳴くの
カラスの勝手でしょう」
それは確かにそのとおりですね
話題は鴉(からす)ですから、決して鵜呑みにはしない
けど、それもこれも「カラスの勝手でしょう」
そう言われると、これまたグーの音も出ないわけで、
ツーと言えば、まさにカーなのです
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