透明人間たちのひとりごと

ウサギとカメの物語 <5>

 私たちは、毎日のように 「言葉」 のシャワーを浴びて
います。

 ヒヤッとするくらい冷たいものからヤケドしそうに熱いもの、
悪口雑言やら叱責やら激励やら慰めやら …

 そうして、

 汗を洗い落とし 「言葉」 で溢(あふ)れる湯船のなかで
疲れを癒したかと思うと、いともたやすくバスタブの栓を抜き
、その 「言葉」 を下水に流して安息の眠りにつくのです。

 さて、この 「言葉」 とは、何のことなのでしょうかeq

 それこそが、

 「ウサギとカメの物語」 を序章とするイソップの寓話集が
伝えたかった真の本音(ぶっちゃけワード)なのです。

 まさにイソップ自身が凝縮させた真実や予言を寓話のなか
に隠し込ませて偽装しているように、「世の中の主要な部分
は、巧妙にカムフラージュされたイカサマの八百長レースで
成り立っていることに早く気づきなさい」 とアドバイスしている
のが 『イソップ物語』 なのです。

 ですから彼の説く 「真実を見抜く目と耳」 が必要だという
訴えは、世間一般に見えるものと聞き及ぶことのほとんどが
嘘や偽りやごまかしで出来上がっているという事実の裏返し
からくるもので、擬人化した動物などに託して語る内容の裏
にこそ彼の知り得た真実が隠されているわけで、私たちは
そのことを知ったうえで、その対応や対処方法に万全を期す
べきなのです。

 ペテン、イカサマ、嘘八百、ダミー、インチキ、でっち上げ、
でまかせ、まやかし、八百長、フェイク、似非、ガセ、もどき、
にせもの、偽り、ごまかし、でたらめ、嘘、まがいもの …

 思いつくだけでも、これだけの言葉が口からサッと出てくる
ことも驚きですが、まだまだ、他にも、まゆつば、ほら吹き、
騙し、トリック、偽装、捏造、イミテーション、等々…  

 嘘や偽りに関連するあるいは該当する語彙の潤沢にして
豊富なこと …

 それにしても、なんとまあ、呆れるくらいに多種多様です。

 そして、これらの語彙が冒頭の 「言葉」 に代入される
べきワードでもあるのです。

 「世の中は見事な嘘で作られている」

 だから、

 「真実を見抜く目と耳」 を持たなくてはいけませんよexclamation2
いうのがイソップの本音なのです。

 いみじくも、こんな逸話が残されています。

 ある日、「市場に行って、一番重宝なものを買って来い」
と命じられたイソップは獣の舌を買ってきました。

 「なんだ。 これのどこが重宝なんだ」

 「世の中の善悪は舌先次第です。天下国家の安否も舌に
委ねられますので、これほど重宝なものはございません」

 「そうか。 それでは、一番悪いものを買って来い」 すると、
イソップは今度も舌を買ってきました。

 「何故なのだ」

 「昔から 《舌は禍のもと》 と言います。これほど悪いものは
滅多にございません」

 類話として、クサントス(最初の主人)の主催する宴会での
料理の話があります。

 金に糸目をつけずに最高の料理を所望されたイソップが
舌を使った料理を差し出すと、翌日には最悪の料理を用意
するよう命じられ、やはり舌の料理で応じたというものです。

 また、「人間とサテュロス」 という興味深い話もあります。

 サテュロスとは、ギリシャ神話に登場する半人半獣の自然
の精霊のことです。

 ある時、人間とサテュロスが友情を結びます。やがて冬が
来て寒くなると人間は両手を口の前に持ってゆき、ハア~と
息を吹きかけました。

 「何のためにそんなことをするのかquestion2」 と尋ねられた人間
は 「手を温めるためだ」 と答えました。

 その後、二人で食卓を挟んだ時に料理が大変に熱かった
ので、少しずつ口元に持ってゆきフゥ~と息で冷ましました。

 「何故そんなことをするのかquestion2」 と再度、訊かれた人間が、
「熱いので冷ましているのだ」 と答えたところ …、

 「同じ口から熱いものや冷たいものを吐き出す奴とは同席
できない。二人の友情もここまでだ」 サテュロスはそう言って
席を立ったのでした。

 その意味する教訓とは、性格のハッキリしない人との友情
は避けるべきであるというものなのだそうですが …。

 文字が発明されるまでの伝承という手段が一般的だった
時代の 《口と舌》 は、意思の疎通に欠くことのできない唯一
の器官です。

 その 《口と舌》 に、背反する行為や出来事をダブらせて
語り、暗示するものとはいったい何なのでしょうeq

 「ウサギとカメの物語 <1>」 のなかで、夏目漱石が当て字
として好んで多用した 《兎に角》 の由来とされる「兎角亀毛
(とかくきもう) が、なにゆえにウサギカメなのか

 大いに吟味・追求してみる価値があると指摘をしましたが、
期せずして洋の東西でウサギカメに森羅万象の出来事や
地球上の一切合切の事象を重ね合わせて象徴化し代弁を
させているわけです。

 実際にはないものをあるとするような right ペテン、ごまかし、
イカサマ、でっちあげ、などの他にも、現実的にはあり得なく
存在しないものの喩えとして、「兎角亀毛」四字熟語
あてがわれたわけで right ガセネタ、にせもの、捏造・贋作など
もその比喩的な解釈につながります。

 出典は、

 『述異記』 の 「大亀生毛、而兎生角、是甲兵将興之兆」

 ウサギに角(つの)が生え、カメに毛(け)が生えるという
現象は 「起こるはずのないことが起こること」 の喩えとして、
凶兆のひとつであるとされています。

 私たちの周りには、実に多くの 「言葉」 が溢れています。

 そうした 「言葉」 は、果たして発した当人の意思通りに
相手に届いているのでしょうかquestion2

 あるいは逆に、恣意的な方向に誘導するための道具として
知らないうちに利用されているということはないでしょうかquestion2

 《マジシャンズ・セレクト》 という手品の手法があります。

 いかにも、相手(ゲストなど)が自らの意思で選択したように
見せかけるテクニックのひとつなのですが …、そうですね

 たとえば、(A)と(B)の2枚のカードがあって、マジシャンと
しては (A)のカードを使用したい場合に、相手が自ら選んだ
と思うように 「さあ、どちらでもお好きな方を選んでください」
と促すわけです。

  「じゃあ、こちらのカード」 と(A)を選んだとします。
  「では、選ばれた(A)のカードを使うことにしましょう」
  「さて、みなさん (A)のカードに注目してください」 …

 となります。

  「じゃあ、こちらのカード」 と(B)を選んだ場合には
  「では、選ばれた(B)のカードはあなたのものです」
  「さて、みなさん、残ったカードに注目してください」 …

 となるわけです。

 人間は、自分が思っているほどには目の前の出来事に
冷静ではいられません。

 今は文字にして、しかも2つ並べて比較できるので事態が
飲み込めますが、実際に目の前で展開される事柄はどちら
かのひとつです。

 選んだカードをどうするのかを先に知らせずに、どちらとも
取れるような言い回しで自然に話を進められたら、手品師の
思うがままなのです。

 ですから、

 現実の社会に暮らす私たちも、《マジシャンズ・セレクト》 と
似たような手法で操られているのだということを肝に銘ずる
べきなのです。

 「ウサギとカメ」 の物語でイソップが伝えたかったことは、
エリートのウサギに対する油断への戒めでも、平凡なカメ
対する弛(たゆ)まぬ努力への賛美や称賛でもなく、そうした
偽善や偽装や捏造といった行為が日常茶飯事に行なわれて
いる現実に対する警告と同時に 「真実を見抜く目と耳」
養えという忠告でもあるのです。

 つまり、エリートもどきのウサギがカメに勝たせるべく画策
したように思わせて眠ったふりを装うが、実は最後の最後で
劇的な差し足をみせてゴール寸前でカメに追いつきタッチの
差で勝つという筋書きであったものが、ウサギよりも、一枚も
二枚も上手のコントローラーが八百長レースを目論んでいて
カメの勝ちに大金を投じていたというのが真相でしょう。

 もちろん、

 コントローラーとウサギには接点があり、ウサギは勝利を
疑っていませんでしたが、ゴールまでの距離に変更があった
のか、レース途中での給水ドリンクに、極々少量の睡眠薬が
混入されていたのかは定かではありませんが、なんらかの
齟齬やトラブルがウサギに発生していたことは確かでしょう。

 このウサギのように、《シビリアン・コントロール》 ならぬ
シビリアン・セレクト》 しているつもりが、ほんの一握りの
オーソリティーにガバナンス(統治・統制)されていることに、
「あたしゃ馬鹿なんす(バカナンス)ねぇ」 なんてダジャレを
言っているようじゃ、お仕舞えよ 

 って、まさか、フーテンの さん じゃないよね。

 ガバナンスなんて、ナンセンス なのだ

 バカボンパパ なのぉ

 … … わけねえだろうよ

 ところでウサギカメ さんへ

 選ぶ人に甘んじてはなりませんよ。

 寅さんやバカボンのパパのように …

 選ばせる人になりましょう。  by イソップ 

 さて、ここに、

 「ウサギとカメが描かれた2枚のカードがあります」
 「どちらでもお好きなカードを選んでみてください」

 あなたは、
 
 「選んだカードにしますか、残った方にしますか」

 それとも、CONTINUE <6>go on しますかsymbol5

コメント一覧

やぶにらみ
マジシャンズ・セレクトを駆使するような悪い奴らに手玉を取られるのは無理からぬということか!?

それだけ実生活に密着している証左とは言えど、嘘や偽りに類する言葉の潤沢さには驚かされますな。
負けるが勝ち
「ここがロードス島だ。 ここで跳べ!」

これ確か、アイソポスだったよね!

バレバレのほら吹きじゃDSは無理だな!
江戸川ドイル
ソクラテスの時代には、すでに伝説上の人物だったとされるイソップの物語は不滅だね!

昔も今も人間のやることは、ちっとも変わらないよ!
刑事プリオ
イソップの指摘は歴史が証明している。

自分が自分の意思で選択したと思わされるカラクリの一端を自らが敗れることで示してくれたトランプ前大統領。

時代は一律に管理され、社会は統制されている。

そのコントロールをガバナビリティある何者かがガバナンスしているわけだ!
Bull-Dog
いままで、世の中は見事な嘘で作られていた。

そして、それに気づく人間は限られていたが、今回、そいつがバレてしまった。

ウサギとカメじゃなくて、米大統領選挙の話だ!

コロナのカラクリも間もなくバレると思うが、とりあえず、CONTINUE<6>へgo on することにするよ!
ファクターZ
「真実を見抜く目と耳」ですか!?

今、まさに起こってることだよね!

新型コロナのカラクリ・・・???

「世の中は見事な嘘で作られている」
あまのじゃく
いいえ、そのいずれでもなく、コメントでゴメンとね。
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