「うん。わかってる。けっこう我慢してるよ。
意味のないことも分かってる。
でも、言わなきゃいけないことってあるよな。
思ったことはちゃんと言葉にしなさいってK先生も言ってたじゃんか。
だから言うよ。
正直に、いま現在の心境をストレートに言うとだな。
暑い!」
うん。暑いよね。
毎年毎年「今年が一番暑いんじゃないか」っていうくらい暑い。
そして僕はヒートアイランド現象について3分話し、彼に対してこういった。
「部屋置き氷箱を発明したら売れるんじゃない?」
彼はペットボトルを上に向けてまだとけていない氷のお茶を物欲しそうに睨みながら「なんだそれ」と聞いてきた。
「つまりさ、部屋に氷を置くための箱だよ。
例えば倒れても困らないようなやつでいい。
水を節約するんならお風呂の残り湯でもいいし、川がちかくにあるんなら川でくんできたらいい。
とけたら新しい水を凍らしておいて取り替える。
「うんうん。なるほど。気化熱で部屋を涼しくさせるんだな」
「そう。電気代もかからない」
「すごいじゃん」
「だからそれを作って特許でもとったらどうかなって…」
彼はまだとけていないペットボトルの氷になどすっかり忘れて「いい情報をありがとう」といってダッシュで走り出した。
飛び散る汗が太陽の光で反射するのを見てまるでマンガみたいだと僕は思った。
それが出来たら、「湿気取り」も売れるんだろうな。
と、いうようなことを車の中で考えていました。
なぜエアコンをつけないで窓を全開にしているのか自分でもよく分からなかった。
暑いね。

おわり。