長年ご贔屓頂いている会社でのこと
入り口で挨拶をし中へ
歩いていると目の前に手が出てきた
Fさんが前を向いたまま手だけを後ろを通る僕に向けて
出していた
手にはチロルチョコ
バレンタインデーだからかと「ありがとうございます」
と言い受け取る
Fさんとは仕事の話しかしたことがありません
長年ご愛顧頂いているので余程の無茶でない限り融通は
利かせます
そのお礼だと思われます
ある日のこと
知り合いから連絡が入る
僕とは無縁のオサレな店
店の扉を開けた時に連絡をしてきた理由が分かった
ゴールデンウィークの狭間の平日とはいえ余りにもな状
況
コロナによる制限がなくなってもこれか…です
こういう時期に一人でいるとロクなことを考えないので
お招き頂きありがとうございますと礼を述べ
料理とお酒をお任せに
意味なくヘラヘラし出す手前まで堪能し帰ることに
会計を済ませ店を出ようとした時に屋号で呼ばれドキッ
とする
振り返るとFさん
いつもお世話になっていますと頭を下げると「家見せて
」
「え~」と思いつつも顧客なので無下に断るわけにはい
かない
家に着いたFさん恐味津々で仕事場を見て回る
そして唐突に「結婚しないの?」
さっきの店での会話を聞かれていたことを知る
「貧乏ですから」と答えると「私も働くやん」
思いがけない返しに戸惑っていると「私じゃ嫌?」
頭を左右に振ることしか出来なかったけれども~
Fさんには申しわけないが酔っ払いの戯言としか思って
いない
家の中を見て回ったFさんを表通りまでお送りしタクシ
ーで帰宅して頂いた
これが5月1日
翌日の2日仕事を終え食事と入浴を済ましくつろいでい
るとインターホンが鳴る
「今頃誰や?」と出るとFさん
迎えに出ると大きなキャリーケースを持って立っている
「どうされたんですか?」と僕
「昨日のこと忘れたの?」とFさん
そのまま家の中へ
そしてFさんに言いくるめられてしまう
「こういうの好きでしょ?」とキャリケースから制服を取
り出した
出入りさせて頂ている会社のOLさんが制服を着ての~と
いうとんでもないシチュエーション
看護師が制服の白衣を持ち出すを超越している
この背徳感は女性警察官が制服を持ち出すレベル
しかも幼児体型でちっぱいという僕からしたら神様からの
贈り物としか思えない神ボディ
Sっ気のあるFさんの言葉責めも相まって完全燃焼
そして行為を終えた後Fさんに抱擁された時に陥落
宗教の信者が信仰の対象の神や仏に抱かれるというのに近
いかも
ゴールデンウィークの間だけのはずが今もFさんは我が家
から会社に通っている
しかも帰って来る度に何かしら私物が持ち込まれる
徐々に侵食されている
でも嫌いやない
今の幸せを失くしたくないから「何で僕なんですか?」は
怖くて訊けないでいるが…
こんなゴールデンウィークやったら良かったのにな~とい
う願望を書いてみました
Fさんは実在の人物ではありませんがモデルにした人はい
ます
実際に出入りさせて頂いている会社を想定して書きました
リアルさを出すために細かいことを書こうかと思いました
がレアな業種で個人が特定されかねず断念
屋号で呼ばれる件も本当
気を抜いている休日とかに屋号で呼ばれるとドキッとしま
す
声をかけないお客様もいるはずなので風俗など如何わしい
店は利用できない
「結婚しないの」から「私も働くやん」という会話は僕の
実体験です