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最近は子育てを中心に時々建築話、旅行記や映画の事を綴っています。

■長期優良化住宅は損をする・・・かもしれないその理由

2010-06-06 21:21:32 | ■建築話
固定資産税・都市計画税のコンテンツをHPの方に作成中なのですが、なんか内容をまとめているうちに実は長期優良化住宅って「減税」にならなくて「増税」になるんじゃないかって思うところがあります。
詳しいシュミレーションして確かめてもみたいのですが、余条件の設定が難しいのでと~~~っても簡易的に解説させて戴きますが、

長期優良化住宅を建てるとゆくゆくは損するのでは?
というのが私の直感です。(もちろんそうでない場合もあります)

まず、認定長期優良化住宅とは100年以上(最終目標は200年)長持ちする住宅を政策的に建てるよう誘導する為のもので、決して長期優良化住宅の認定を受けなければ長持ちしないというわけではないということ。
ただし、フラット35や金融危難の金利優遇や住宅ローン控除、または長期優良化住宅の固定資産税・不動産取得税の軽減措置を受けるためには認定機関の評価書を取得し(その基準に沿った住宅を建てることが条件となります)公に認めさせる事で減税効果があります。

ですから、ローンの金利も安くなるし
住宅ローン減税も受けられるし
減税効果もある

損な訳がないでしょう。

というのが普通の考え方だと思うのです。


しか~~~し。
コレは大きな落とし穴があると私は思っています。
これから人口が減って税収が減る中で確実な収入源となる固定資産税や都市計画税。
もし、皆が皆長期優良化住宅を建ててしまったら、この国の財源は枯渇してしまうかもしれません。
タバコ税然り、増税減税には緊密なシュミレーションによって将来の税収を減らさずに市民を誘導する裏がある場合があるからです。

■長期優良化住宅のメリット

固定資産税と都市計画税の軽減措置は実は大した効果がなく、通常の新築住宅に比べ2年間増えるだけなんです。
→30坪の木造住宅でせいぜい10~20万円のメリット(国土交通省の試算では3万円程度)

登録免許税が減額
→国土交通省の試算では2.4万円減額

不動産登録税が減額
→国土交通省の試算では0円減額(減額上限がアップするが実質効果なし)

住宅ローン減税は収入が平均以上(サラリーマンで税金を多く納めている方)でないと、一般住宅との差額分の恩恵に授かる事は出来ないんです。
(支払った税金から免除される為、支払うべき税金を超えた分のローン減税は受けられない)
→年収1000万円ぐらいの方は3000万円の住宅ローンを組んだ場合60万円ぐらいのメリット有
→年収500万円ぐらいではほとんどメリットなし(一般の住宅ローン減税でまかないきれる)

住宅ローンは金利軽減の恩恵が受けられる
→フラット35の場合当初10年金利-1%減額
→借り入れ金額2000万円・30年の場合約200万円安い試算(額が増えればもっとメリット有)

■長期優良化住宅のデメリット

目に見えて解るデメリットはありません。
ただし、

長期優良化住宅という事で恐らく固定資産税・都市計画税の課税標準額が一般住宅に比べ高く評価されると思われる。

課税標準額は実際の取引額の何割とかいう様に決まっているのではなく、税務署の方が面積や図面仕上げ、設備をチェックし、再建築に掛かるであろう費用をはじき出すものです。
その為、全く見た目が同じ建物だったとしても、「長期優良化住宅」としても評価を受けている住宅であれば、その点も加味し評価額をつけるのではないか?
と、僕が評価する側だったらそうすると思うのです。
(評価法について明らかにした文献等が無い為予想です)

逆に、長期優良化住宅のほうが固定資産としての価値が低いという評価はされないでしょう。

そして、償却期間が問題。
長期優良化住宅の基準の中で構造躯体が100年は持つ様に定めているからである。
一般の木造住宅は20年から22年(固定資産税・都市計画税の算定用の償却期間)と定められているが、恐らく長期優良化住宅は法の趣旨からそれより長いと思われる。
約20年後には20%の価値と評価される(償却)はずが仮に倍の40年とされた場合には通算で約70万円余分に税金を納める事になると思うのです。
もし、60年であれば150万円という結果になります。(固定資産税+都市計画税が10万円としてシュミレーション。減税加味。)

※現在の取り扱いは確認していませんが、鉄筋コンクリートの住宅が47年とされているように今後償却期間が長く設定されると思われます。

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すると、当初の二年(4年目・5年目)は減税効果で安かった税金も

根本の課税評価額が高くなった上、なかなか資産価値が減らないのでは税金を長く・高く払わなければならない事にもなりかねません。

当初の長期優良化住宅としての認定証を発行する業務に関しても10~30万円ぐらい余分に掛かると思われます。(手数料約5万円+図面書類作成料)
これだけでまず減税効果が帳消しです。

そして、住宅ローン減税に関しても年収によっては全く効果を期待できません。

残りは、住宅ローンの当初金利が割安になるメリットと「固定資産税評価額が高くなるだろう」デメリットを比較してどれだけ恩恵を受けられるかという事です。
フラット35のような長期優良化住宅の割引金利を適用しないでローンを借りる場合はこの恩恵を受けられないわけで、長期優良化住宅としての認定を受ける事に対し慎重にならなければなりません。

※フラット35とフラット35S(長期優良化住宅(タイプ)との金利比較をするとメリットが出ますが、金融機関によっては長期優良化住宅でなくともフラット35S並の(場合によっては安い場合も)金利の住宅ローンもある為。必ずしもメリットと言い切れないのが私の見解です。

いずれにせよ、長期優良化住宅=長い期間住む家になる訳ですから本当に特かどうか?
今一度考えてみてください。

おそらく、ほとんどの場合において徳の場合が多いと思うのですが、ローン金利が長期優良化住宅だということで割引にならないような場合は逆転現象が起きる可能性が高くなります。
もしかしたら数十年後に高~い固定資産税・都市計画税を払わなければいけないかもしれませんので。。。

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ちなみに長期優良化住宅の認定を受けなくても性能が変るわけではありません。
しかし、長期優良化住宅という勲章がもしかしたら、後々首を絞める事になるのではという提言で、それだけの性能を持たせることが勿体無いとか無駄だという事ではありませんので~(^ー^)

→国土交通省の試算でも当初10年で5万円程度の減税効果しかないように試算されています。

※追記※

東京都主税局に電話にて確認した所
償却期間が長くなるということは今のところないようです。
また、長期優良化住宅という事で直接的に課税評価額が割り増しになる事はないという話でした。
でも、本当かなぁ?
ただし、仕様書等を見て内容に即して鑑定するのでそれに応じて高くなる事あるもかも知れないという事です。

ですので、税制改革などが行われなければ今のところ損する事はないのかな??

※長期優良住宅普及促進事業や長期優良住宅先導的モデル事業等の助成金が受けられる場合はメリットのほうが大きいと思われます。



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2 Comments

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さんこうまでに(笑) (akatuki)
2012-12-17 11:09:00
>こぶたさん

僕の勝手な憶測ですからね。
現状では問題なくとも、税収が少なくなってくるとこういったところからも税金を多く取ろうと考えそうだなぁと思っているという事です。
ほんと、参考までに(笑)
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Unknown (こぶた)
2012-12-15 20:07:57
とても勉強になりました。
なぜ、国が、こんな、ややこしい、ことをするか・・・・。
長期的に税金を徴収したい、、、以外に考えられません。
長期、優良、という言葉に惑わされてはいけないこと、自分の子供がその同じ土地に住みたいかどうか、次に土地を買うひとが、30年もたった中古住宅に住みたいか。ヨーロッパの石造りの城ならまだしも・・・・。を考えたら、新品のシンク、新品のクロス、新品のフローリングのほうが、魅力的ではないでしょうか。
で、私も家購入予定ですが、この制度やめときます。
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