あきさんのゲーム・映画感想

プレイしたゲームや観た映画の感想をつらつらと述べるブログです。

インファナル・アフェア2

2023-12-15 19:05:00 | Movie


インファナル・アフェア2

監督 アンドリュー・ラウ
   アラン・マック



 かなり面白い。
 映画をよく見てて大まかな構成など頭に入っている層ならさらに楽しめます。

 インファナル・アフェアのシリーズは香港映画です。盗まれるために香港映画には台本がありません。その場、その場で決まっていきます。ゆえに、ウォン・カーウァイ監督の作品のように、時として麻薬のような面白さを秘めている映画を生み出します。

 インファナル・アフェアもそうした面白さがあり、展開に驚いたり手法に驚いたりと非常に楽しめました。前作とは方向性が違うので、そうした面も良かったですねぇ。

 インファナル・アフェア2は前作で大成功したからこそ制作された作品で、たいていの場合、どの分野も【続編】は成功しません。小さな成功で終わります。が、インファナル・アフェアは続編でも大成功しました。前作のミステリー調とは違ったためかもしれません。

 とにかくまぁ、前作であろうと今作であろうと香港映画らしく唐突に物事が動くので、常に独特な緊張感があって目が離せません。観ていて楽しいです。

 湿度の高さも香港映画や邦画にしかないので、邦画とは全く違うからこそ、やっぱり香港映画でしか味わえない魅力がありますよね。危うく、刹那的で、退廃的で、それでいて色気があります。

 1997年のイギリスからの返還を差し込んできたのも非常に面白かったです。展開的にも面白いのですが、しかし実際に当時、彼らはどんな気持ちだったんでしょうね。演技なのかわからない複雑な表情が素晴らしいです。そら香港は香港、中国は中国と言うしかなくなりますよね、一国二制度とはなんとまぁ。

 そんな面白さもあるインファナル・アフェア2ですが問題がありまして、重要な役の2人の若い俳優の顔が似ていて見分けにくいのです。それで「あれ?」となって前作を観て、そしてまた沼るというw

 私は頭文字Dの香港映画を観ていたので、「コイツは涼介」と思いながら観て対処しましたが、ホントに似てますよねー。

 インファナル・アフェアはパクチーみたいなクセがあり、好きな人はとことんハマります。このシリーズは名作なので観て欲しい映画ですね〜。

 

マイ・エレメント

2023-12-14 19:05:00 | Movie


マイ・エレメント

監督 ピーター・ソーン



 気軽に観れて面白い。
「これこれ、こういうのがいいんだよ」な作品。

 ディズニー・ピクサーによる、ディズニー100周年の年に公開された映画で、マイ・エレメントはきちんと優秀な内容でした。

 正直な話、予告を観て「あぁ、はいはい昔からのいつものやつね」との印象を抱いたのですが、良い意味で裏切られましたね。

 火と水の、いわゆる【禁断の恋】を描いているのですが、先進国的な視点からすると身分差もあまりなく、国際結婚も当たり前となっているので【禁断の恋】自体がファンタジーとなっている昨今。

 ファンタジーな世界で、今ではファンタジーとなった【禁断の恋】の様子は、使い古された見飽きたものなのにも関わらず、逆に魅力的で面白かったです。温故知新と言いますか、古いからこそ新しさを感じましたよ。

 また、水や火などのエレメントが単なるメタファーや記号でなく、彼らのエレメントでなくてはできない表現や解決方法には感心させられました。

 オススメは日本語字幕の英語ver.です。なぜなら主役のエンバーの気の強さが声にマッチしているから。

 予告を観た限り、日本語吹き替えだと日本人女性に良くある「私は可愛い」という媚が聞こえてきてしまい、エンバーに合っていないんですよね。

 いやまぁ、あまり言うと良くないので濁しますが、とにかく英語での視聴をオススメしますよ。優秀な映画でした。

ナポレオン

2023-12-13 19:05:00 | Movie


ナポレオン

監督 リドリー・スコット



 IMAXで視聴。

 私はとても面白かったです。しかし歴史の流れを端折っているために、楽しむためには知識を要する必要があると思われます。あとエログロ注意。

 リドリー・スコットはあの【ブレードランナー】や【エイリアン】、【ブラックホーク・ダウン】などを撮った監督です。その超有名監督の手掛ける映画【ナポレオン】は、英雄の姿と小さな男の姿、そして混乱期の汚く愚かなフランスを描いた映画でした。

 映画はマリー・アントワネットの死で始まり、ナポレオンの死で終わります。市民も政府も暴走し、汚く、そして下品で愚かです。

 マリー・アントワネットやナポレオンだけじゃなく、誰もが平等に罪深く愚かな時代であって、彼らが特別に愚かではないということですね。これが話の根幹にあるように思えました。

 要するに、イギリスから見たフランスなんですよね。監督のリドリー・スコットはイギリス人ですし、イギリスが悪く描かれません。常にフランスは愚かだ、とイギリス人らしく皮肉めいた視点で映画は進みます。

 そうした背景もあり、ナポレオンは小さなただの男として描かれます。実際は169cmはあったらしいですが、イギリスのプロパガンダもありナポレオンは身長の低い男であるとのイメージそのままに、そうした描写もありましたしね。

 まぁ、万人受けはしない映画ですよ。ナポレオンの勇姿を観たい人からしたらブーイングです。

 もちろん華々しい戦なども当然あります。が、ここも知識がないと理解は難しいかもしれません。

 とはいえ、全体的には面白い映画です。舞台セットや衣装も素晴らしいですし、見ごたえがあります。

 手放しでオススメできる映画ではありませんが、映画自体は面白いです。観てみるのも良いかもしれません。

 最後に。
 観てて、「そりゃこれが評価高くなるなら、バルダーズゲート3 が高く評価されるわ」と思いましたw

麻雀放浪記2020

2023-11-28 19:05:00 | Movie


麻雀放浪記2020

監督 白石 和彌




 非常に面白かったです。

 ふざけているようで真面目なインテリの、素晴らしくブラックユーモア溢れる秀作。内容が多少尖っているためにオススメを気軽にできませんが、この映画から学べることがたくさんある作品でした。

 教科書のような美しい構成、お手本のような脚本、ブラックコメディとして正しいキャスト。そして、しっかりとした人間観察から作られた丁寧な描写。よくできてます。優等生なことが残念なぐらい。

 何も事前情報を入れずテキトーな麻雀映画を観るつもりでネトフリを漁って観てみたら、あまりの監督の技術や豪華キャストに驚きました。調べてみたら納得。「仮面ライダーBLACK SUN」に似てるなぁと思っていたら同じ白石和彌監督でした。「孤狼の血」の監督ですね。


 観る人が観れば、展開も全てわかります。なにせ教科書のように丁寧ですからね。インパクトのある情報で視聴者を揺らし、その影でしっかりとした構成を展開させる。そして主人公たちを挫折させ、成長させる。なにからなにまでお手本です。

 しかし、気になった点もあります。それは丁寧すぎる説明です。邦画によくあるのですが、丁寧に説明しすぎるんですよね。助長になる。説明などをカットすれば30分ぐらい削れたのではないでしょうか。それでより濃い神映画になれます。もちろん売れるかどうかはさておき。

 個人的にはずっと振り回してくれた方が楽しいのですが。監督の真面目さが出てますよね。数字を出したくて、いまいち尖りきれない。できる映画は秀作止まりで、だから「邦画にしては」非常に面白い、となるのです。

 とはいえ。
 出演している日本プロ麻雀連盟の東城りおプロ雀士も良かったです。二階堂姉妹だと華がありすぎて特別ゲストになってしまいますからね。彼女だと上手く溶け込んでて感動しました。あと森山会長も一瞬、出てましたよね? 笑い転げましたよw

 「麻雀放浪記2020」は手放しにオススメはできる映画ではありません。けれども非常に丁寧で優秀な映画です。多くのことが学べる、とても教科書的な作品といえるでしょう。

ザ・キラー

2023-11-21 19:06:00 | Movie


ザ・キラー

監督 デヴィッド・フィンチャー
2023年


 映画感想
 Netflixで視聴。

 面白い。
 映画館で観たかったですね。

 特徴的なオープニングクレジットはアートティックでお洒落でした。

 なにより主人公たちの疲れている感じはデビット・フィンチャー監督ならではで、これを観るためにお金を払っているまであるのでそこは後述するとして。

 まずは映画の概要です。

 この映画。
 シンプルに言えば殺し屋の復讐劇です。もう少し言えばジョン・ウィックのお洒落サスペンス映画版、緊張感が常に続くアクションスリラー映画です。監督の日本好きも垣間見える点も同じですね。

 主役の俳優マイケル・ファスベンダーがドイツ系なことがミソでして、彼が演じる殺し屋のいかにもドイツ人な神経質っぷりには説得力がありました。

 特にマイケル・ファスベンダーの自然な疲れ具合とストレスフルな殺し屋という仕事の親和性は素晴らしく、演技には魅せられるものがありました。

 私が最も好きなシーンは物語の後半、駐車場のシャッターをくぐり潜入するシーン。

 本当、なんでもないただのシーンで、車が出る際に自動シャッターが開き、その数秒を利用して潜入するだけのちょっとしたシーンなのですが、そのときのマイケル・ファスベンダーの背中が疲れ果てていて哀愁があり、非常に魅力的で印象的だったのです。

 また、別のシーンにて、レストランで殺されることを悟ったターゲットが彼に最後の晩餐だと話を延々としているシーンがあるのですが、あのときの虚無な表情も素晴らしかったですね。


(↑デヴィッド・フィンチャーについての本。所持することで満足してしまった税抜4,500円。ちくせう)


 映画って基本的に「よし! 良い演技するぞ!」って気合を入れて撮影します。ゆえに虚無な表情は生まれない。力の抜けた演技は非常に難しい。

 邦画で良くあるのですが、力が入るゆえに演技臭くてリアリティがなく大げさで、私には邦画は保育園のお遊戯会みたいに観えちゃうんですよ。泣き叫ぶシーンなんてまさにそう。そんなこと生きててほぼない、嘘くさいシーンです。邦画あるあるです。

 もちろんそれが好きな人もいます。しかし私はそういう演技はミュージカルで観たいタイプなので、映画には求めていません。その方向性ならばミュージカルの方がより魅力的で、よりダイレクトに演者の迫力や感情表現が伝わってくると考えているからです。

 そういう点では、今年観た邦画である庵野秀明監督の「シン・仮面ライダー」は最高でしたね。撮影方法に批判のあった映画でしたが、私は庵野秀明監督の言っている意味が良く伝わってきました。ホンモノが撮りたいんですよね。黒澤明監督のような、深作欣二監督の「仁義なき戦い」のような。怪我をするでしょうけど、それ込みで。

 そして、このザ・キラーでは映画にありがちな「演技するぞ!」があまりありません。

 なぜなら、デビット・フィンチャー監督が同じシーンを数十回、ときには100回を超えるリテイクを俳優に要求してしまうからです。

 5分を超えるシーンを90回以上リテイクした映画「ソーシャル・ネットワーク」は非常に有名な話となっています。

「うーん。これがいいかな。やっぱりこうかな。もしかしたらこうかも」

 と、彼は小物の位置や俳優の立ち位置、カメラや音響やらなんやかんや変更したりしつつ、何度も何度も同じシーンを繰り返し撮影します。

 すると俳優は最初、映画監督によくある「意図的で性格のめちゃくちゃ悪い意地悪」だと思って撮影に根気よく望みますが、次第に疲れてき、だんだんイライラします。そして情緒が不安定になったり、虚無になります。もちろんセリフは完璧に、その上、自然となります。

 それが今作「ザ・キラー」です。

 殺し屋を演じるマイケル・ファスベンダーは映画の中で常にストレスフルです。疲れており、ストレスを抱え、虚無になっています。それが殺し屋という危うい立場と見事にマッチしていて、さらに凄腕という設定と彼の自然体な動作にも素晴らしいケミストリーが生まれています。

 先に述べた私の好きなシーンもそうした産物です。

 もしかしたら。
 今年観た映画の中で1番好きかもしれません。