福沢諭吉と中江兆民の個性と業績を比較の中で顕す試み, 2010/10/8
By 歯職人
福沢諭吉と中江兆民の没後百年の年に、二人の個性と業績を比較によって浮き彫りにしようとした試みです。著者の松永氏が主に中江兆民の研究に比重を置いた研究者である。福沢に対する記述が先行研究の咀嚼が無くやや平板なきらいがある。
「下部構造が上部構造を規定する」とのフレーズを思いだした。
しかし、松永の兆民に対する「理想主義」者との読み込みは思い入れと思い込みの産物との印象を受ける。兆民の漢籍と中国古典的教養と中国古代の理想政治・哲人統治に対する読み込みもまた同様に彼岸化された思い入れと思い込みの産物との印象を受ける。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/412101569X/ref=cm_cr_mts_prod_img
フクザワユキチトナカエチョウミン チュウコウシンショ
中公新書
福沢諭吉と中江兆民
松永 昌三【著】
中央公論新社 (2001/01/25 出版)
241p / 17cm
ISBN: 9784121015693
NDC分類: 289.1
価格: ¥798 (税込)
詳細
明治日本の主要な課題は、近代国家の建設にあった。
ただ、その方向に異論はなくとも、内容については議論が分かれ、西洋文明の受容に重大な役割を演じた福沢と中江も、対照的な反応を示す。
ともに私塾を興すが、実学尊重の慶応義塾、古典教養に執着する仏学塾と、教育理念は両者の世界観を反映し相違を見せた。
同年に没した思想家二人の文明論・国家論を、現代の問題関心から読み起こし、新世紀の展望を拓く。
1 はじめに―没後100年
2 福沢と中江の生涯―比較対照される二人
3 慶応義塾と仏学塾―両塾の特徴
4 功利主義の功罪―近代社会と進化
5 西欧文明をどうみたか―「開化」のとらえ方
6 アジアをどうみたか―脱亜論と人間同等論
7 西欧化と伝統―実学と教養
8 文明と侵略―文明論的発想の限界
著者紹介
松永昌三[マツナガショウゾウ]
1932年生まれ。東京教育大学大学院日本史専攻博士課程修了。文学博士。岡山大学教授を経て、現在、日本女子大学文学部史学科教授。専攻、日本近代思想史。著書に、『中江兆民全集』(共編、岩波書店)、『中江兆民評伝』(岩波書店)ほか
By 歯職人
福沢諭吉と中江兆民の没後百年の年に、二人の個性と業績を比較によって浮き彫りにしようとした試みです。著者の松永氏が主に中江兆民の研究に比重を置いた研究者である。福沢に対する記述が先行研究の咀嚼が無くやや平板なきらいがある。
「下部構造が上部構造を規定する」とのフレーズを思いだした。
しかし、松永の兆民に対する「理想主義」者との読み込みは思い入れと思い込みの産物との印象を受ける。兆民の漢籍と中国古典的教養と中国古代の理想政治・哲人統治に対する読み込みもまた同様に彼岸化された思い入れと思い込みの産物との印象を受ける。
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中公新書
福沢諭吉と中江兆民
松永 昌三【著】
中央公論新社 (2001/01/25 出版)
241p / 17cm
ISBN: 9784121015693
NDC分類: 289.1
価格: ¥798 (税込)
詳細
明治日本の主要な課題は、近代国家の建設にあった。
ただ、その方向に異論はなくとも、内容については議論が分かれ、西洋文明の受容に重大な役割を演じた福沢と中江も、対照的な反応を示す。
ともに私塾を興すが、実学尊重の慶応義塾、古典教養に執着する仏学塾と、教育理念は両者の世界観を反映し相違を見せた。
同年に没した思想家二人の文明論・国家論を、現代の問題関心から読み起こし、新世紀の展望を拓く。
1 はじめに―没後100年
2 福沢と中江の生涯―比較対照される二人
3 慶応義塾と仏学塾―両塾の特徴
4 功利主義の功罪―近代社会と進化
5 西欧文明をどうみたか―「開化」のとらえ方
6 アジアをどうみたか―脱亜論と人間同等論
7 西欧化と伝統―実学と教養
8 文明と侵略―文明論的発想の限界
著者紹介
松永昌三[マツナガショウゾウ]
1932年生まれ。東京教育大学大学院日本史専攻博士課程修了。文学博士。岡山大学教授を経て、現在、日本女子大学文学部史学科教授。専攻、日本近代思想史。著書に、『中江兆民全集』(共編、岩波書店)、『中江兆民評伝』(岩波書店)ほか