日本歯科新聞 2018年9月18日付(2035号)
投稿/寄稿
「歯科技工所業務形態改善等調査検証事業」の新規予算に思う
「法改正も必要」
野島 正美 テクニカルセンター社長
平成31年度の厚生労働省所管予算概算要求関係で、歯科技工所業務形態改善等調査検証事業費として新規に3770万3千円が計上されているとの記事があった。
その予算の主旨は、「歯科技工所の生産性を向上させるなどの様々な角度から労働環境等の改善に資する取組が必要なことから、業務形態(労働環境や収益等)の改善計画を実施する歯科技工所を公募・選定し、その結果を検証する」と説明されていた。
歯科技工所の生産性や労働環境等の改善に厚労省が関心を持ち、予算を振り向けようとしてくれているのを嬉しく、ありがたいと思い、この事業には是非ともわが社でも応募すべく、研究に力を入れたいと考えている。
そこで気になるのが歯科技工士法である。この法律は制定されて60年以上になるが、歯科技工製作の労働環境を整え、生産性を高める上で現状の障害となっている部分がある。
歯科技工士法によると歯科技工所は歯科医師の歯科技工指示書により技工を行うとなっている。そして、ここに記載される委託先の歯科技工所名は、歯科技工士法上の届け出された歯科技工所となっている。しかし、事業所が数か所ある歯科技工所にとっては、社員の仕事量や一時的な家庭事情などで、仕事を調整しようとするとこの法律が障害になり、事業所間での仕事のシェアが出来なくなる。
さらに、応援のために社員を一時的に他の事業所に派遣しようとすると、これもまた厳密には保健所への届出事項が必要になり、手間がかかる。歯科技工のデジタル化が進み、ネットを活かして離れた事業所間で共同して仕事をする上でも、「法律の想定外」の事態となる。
歯科技工士法は、法律制定時の歯科技工所の姿を前提としており、現状の一定規模の組織ラボを運営、業務形態(労働環境や収益等)を改善して行く上で、不都合な部分が数か所ある。
今回の厚労省の新規事業が本予算として成立した暁には、弊社として応募し、新たな工夫と努力を示していくとともに、行政にも現状の歯科技工所事情に合わない不都合な部分を訴えていきたいと思う。
㈱テクニカルセンター
https://www.denture.co.jp/
一般社団法人 埼玉県歯科技工士会
http://saishigi.com/
https://japandentalnews.wordpress.com/2018/08/23/shinbuncam/
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