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歯科技工士・岩澤 毅

米原万里の「愛の法則」 (集英社新書 ) 米原 万里 (著)

2008年06月28日 | amazon.co.jp・リストマニア
偽の国際化にだまされるな、人は愛しい, 2008/6/28

By 歯職人

 米原万里の高等学校他での講演録4本の収録本である。
 第1章愛の法則に関しては、その生物学的真偽に付いてはコメントできないが、高等学校を会場に高校生相手にサービス精神旺盛な話術が展開される。
 第2章以降が、米原の多様な文化の狭間を自身が往来し、また人と情報を往来させた米原の真骨頂と言った所か。
 世界標準との勘違いの上に行動するアメリカと、有史以来大国中国、オランダ、アメリカと受容先を取り替えながら、その受容の間間に休止期としての文化的鎖国を挟みながら文化形成をしてきた日本。
 冒頭の池田による米原についての回想は、失った存在を手堅く描いている。
 死して尚、新刊本が続々と刊行される米原は、偽の国際化が横行する中、現在最も必要とされる人材なのかもしれない。

(ヨネハラマリノアイノホウソクシュウエイシャシンショ )
集英社新書
米原万里の「愛の法則」
ISBN:9784087204063 (4087204065)
187p 18cm
集英社 (2007-08-22出版)

・米原 万里【著】
[新書 判] NDC分類:914.6 販売価:693(税込) (本体価:660)

稀有の語り手でもあった米原万里、最初で最後の爆笑講演集。
世の中に男と女は半々。
相手はたくさんいるはずなのに、なぜ「この人」でなくてはダメなのか―“愛の法則”では、生物学、遺伝学をふまえ、「女が本流、男はサンプル」という衝撃の学説!?を縦横無尽に分析・考察する。
また“国際化とグローバリゼーション”では、この二つの言葉はけっして同義語ではなく、後者は強国の基準を押しつける、むしろ対義語である実態を鋭く指摘する。
四つの講演は、「人はコミュニケーションを求めてやまない生き物である」という信念に貫かれている。

第1章 愛の法則(世界的名作の主人公はけしからん!;もてるタイプは時代や地域で異なる ほか)
第2章 国際化とグローバリゼーションのあいだ(「国際」は国と国とのあいだ;国を成立させる要素 ほか)
第3章 理解と誤解のあいだ―通訳の限界と可能性(同時通訳は神様か悪魔か魔法使い?!;濡れ場の多いベストセラー小説『失楽園』 ほか)
第4章 通訳と翻訳の違い(言葉を相手にする通訳と翻訳;小説を楽しめる語学力があれば通訳になれる ほか)

米原万里[ヨネハラマリ]
1950年東京生まれ。作家、エッセイスト。少女時代プラハのソビエト学校で学ぶ。ロシア語会議通訳として多方面で活躍。2006年5月没。著書に『不実な美女か貞淑な醜女か』(新潮文庫、読売文学賞)、『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』(角川書店、大宅壮一ノンフィクション賞)、『オリガ・モリソヴナの反語法』(集英社文庫、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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