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歯科技工士・岩澤 毅

セーフティーネットの政治経済学 (ちくま新書) 金子 勝 (著)

2008年08月17日 | amazon.co.jp・リストマニア
小泉・竹中政権以前に準備された、もう一つの日本, 2008/8/17

By 歯職人

 一時テレビの討論番組の常連であった経済学者・金子勝の1999年の著作である。
 後に小泉・竹中政権が推し進める「構造改革路線・グローバルスタンダード」に対峙する「市場の失敗を補完し、市場を信任を支えセーフティーネット」の構想と必要性が論じられる。
 後に、有権者の熱狂により迎えられ、支えられた小泉・竹中政権の経済政策とは異なるもう一つの日本の可能性が予め1999年の時点で構想されている。
 本書は、いま時を経て小泉・竹中政権で日本が失ったもの得たものを総括する際の補助線として、改めて読み返す価値がある。
 金子の主張の中心点は、「市場とセーフティネットの本質的な相互補完関係」の存在であり、「〈信頼と協力の領域〉によって〈市場競争の領域〉が支えられており、両者は切り離せない相補関係にある。」と点である。
 第6章の各論については、食い足りなさがあるが、エピローグ「信頼の経済学序説 」は、金子が一貫した小泉・竹中政権の経済政策批判者として「もう一つの日本」を展望し続けた動力となったと思われる。
 小泉・竹中政権の経済政策から離脱しつつある現在、省みられる必要のある一冊といえる。

(セーフティーネットノセイジケイザイガクチクマシンショ )
ちくま新書
セーフティーネットの政治経済学
ISBN:9784480058140 (4480058141)
206p 18cm
筑摩書房 (1999-09-20出版)

・金子 勝【著】
[新書 判] NDC分類:331 販売価:714(税込) (本体価:680)

バブル期から今日に至るまで「自己責任」や「規制緩和」がいわれ続けている。
こうした市場原理主義的な政策と、無節操な公的資金投入を繰り返した結果、デフレが深刻化している。
長期停滞から抜けだし、失業や年金不足といった将来不安を解消するには、セーフティーネット(安全網)を張り替え、大胆な制度改革につなげていくことが不可欠だ。
ハイリスク社会に警鐘を鳴らし、「市場か政府か」という二元論を超えた、第三の道を具体的に提唱する。

プロローグ 病気と誤診―なぜ不況が長期化したのか
第1章 経済学の失敗
第2章 セーフティーネットとは何か
第3章 市場の限界をどうとらえるか
第4章 グローバルスタンダードの落とし穴
第5章 セーフティーネットの再構築
第6章 第三の道―財政中立的な制度改革
エピローグ 信頼の経済学序説

金子勝[カネコマサル]
1952年生まれ。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。法政大学経済学部教授などを経て、慶應義塾大学経済学部教授。専門は財政学、制度の経済学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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