独裁を作る心理、独裁を支える空気, 2013/1/1
By 歯職人
香山リカ氏による、バルブ崩壊以降の日本に現れた小泉元総理や橋下大阪市長(前大阪府知事)に表徴される時代の心理と空気を解読する一冊です。
時代の閉塞感を背景に、テレビを通した知名度ベースとして、ツイッター等の現代のツールを駆使して、橋下バブルが膨らんだ2012年の総選挙前の状況の解剖の書です。総選挙の前後の政局過程で、国政に正統を率いて挑戦するには、経験の浅いローカル政治家としての限界が露わなってしまった橋下氏を、本書に取り上げられている他の独裁者と比較するのもやや旬ではないが、現代日本の閉塞感が、「独裁を作る心理、独裁を支える空気」に覆われていることに注意を喚起し、提示したことに意義のある一冊です。
本書では、声高に「改革」「リセット」を叫ぶ政治家を熱狂で受け入れ、同化することにより何かを得んとする人々の心理状況を取り巻く背景説明が、大学教員として二十歳前後の者に接し、臨床医として患者に接する香山リカ氏の視点から描かれる。
1960年生まれのサブカル畑出身の香山リカ氏が、敢えて火中の栗を拾わなければならない世代になったことを示す一冊とも言える。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4087206629/ref=cm_cr_mts_prod_img
ドクサイニュウモン シュウエイシャシンショ
集英社新書
「独裁」入門
香山 リカ【著】
集英社 (2012/10/22 出版)
187p / 18cm
ISBN: 9784087206623
NDC分類: 361.4
価格: ¥735 (税込)
詳細
最近、著者の診察室を訪ねる初診患者の九割が、漠然とした不安感とイライラを訴える。
経済大国の地位を失い、震災・原発事故に見舞われ、近隣諸国との摩擦も激化。
将来への展望を失った国家を、不信と苛立ちに満ちた「民意」が覆っている。
不寛容な大学生、言葉の真意によらず過剰反応するツイッターの世界、想像力の欠如したメディア報道など、様々な場面から日本の現状を考察。
苛立つ「民意」をすくい取る嗅覚に優れた独裁型ヒーローの誕生に警鐘を鳴らす、今こそ必読の書。
第1章 「ふわっとした民意」(「いまの日本」は「かつての日本」とは違う;「よくない現実」に向き合う切り札 ほか)
第2章 独裁待望の背景にある心理(「ずるい」という批判;増殖する「怒りを抱く人たち」 ほか)
第3章 「独裁型ヒーロー」の手法(突然始まった「御用学者」批判;過激化するツイッター ほか)
第4章 ハシズムを超えて(フロイトも注目した「スプリッティング」;思考停止の世界 ほか)
独裁ヒーローを待望する危うい社会心理とは?
経済大国の地位を失い、将来も展望できない日本を不信と苛立ちに満ちた「民意」が覆っている。それをすくい取る嗅覚に優れた独裁型ヒーローは国家を救えるのか? 政局激動の時、必読の1冊。
著者紹介
香山リカ[カヤマリカ]
1960年生まれ、北海道出身。東京医科大学卒業。精神科医。立教大学現代心理学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
By 歯職人
香山リカ氏による、バルブ崩壊以降の日本に現れた小泉元総理や橋下大阪市長(前大阪府知事)に表徴される時代の心理と空気を解読する一冊です。
時代の閉塞感を背景に、テレビを通した知名度ベースとして、ツイッター等の現代のツールを駆使して、橋下バブルが膨らんだ2012年の総選挙前の状況の解剖の書です。総選挙の前後の政局過程で、国政に正統を率いて挑戦するには、経験の浅いローカル政治家としての限界が露わなってしまった橋下氏を、本書に取り上げられている他の独裁者と比較するのもやや旬ではないが、現代日本の閉塞感が、「独裁を作る心理、独裁を支える空気」に覆われていることに注意を喚起し、提示したことに意義のある一冊です。
本書では、声高に「改革」「リセット」を叫ぶ政治家を熱狂で受け入れ、同化することにより何かを得んとする人々の心理状況を取り巻く背景説明が、大学教員として二十歳前後の者に接し、臨床医として患者に接する香山リカ氏の視点から描かれる。
1960年生まれのサブカル畑出身の香山リカ氏が、敢えて火中の栗を拾わなければならない世代になったことを示す一冊とも言える。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4087206629/ref=cm_cr_mts_prod_img
ドクサイニュウモン シュウエイシャシンショ
集英社新書
「独裁」入門
香山 リカ【著】
集英社 (2012/10/22 出版)
187p / 18cm
ISBN: 9784087206623
NDC分類: 361.4
価格: ¥735 (税込)
詳細
最近、著者の診察室を訪ねる初診患者の九割が、漠然とした不安感とイライラを訴える。
経済大国の地位を失い、震災・原発事故に見舞われ、近隣諸国との摩擦も激化。
将来への展望を失った国家を、不信と苛立ちに満ちた「民意」が覆っている。
不寛容な大学生、言葉の真意によらず過剰反応するツイッターの世界、想像力の欠如したメディア報道など、様々な場面から日本の現状を考察。
苛立つ「民意」をすくい取る嗅覚に優れた独裁型ヒーローの誕生に警鐘を鳴らす、今こそ必読の書。
第1章 「ふわっとした民意」(「いまの日本」は「かつての日本」とは違う;「よくない現実」に向き合う切り札 ほか)
第2章 独裁待望の背景にある心理(「ずるい」という批判;増殖する「怒りを抱く人たち」 ほか)
第3章 「独裁型ヒーロー」の手法(突然始まった「御用学者」批判;過激化するツイッター ほか)
第4章 ハシズムを超えて(フロイトも注目した「スプリッティング」;思考停止の世界 ほか)
独裁ヒーローを待望する危うい社会心理とは?
経済大国の地位を失い、将来も展望できない日本を不信と苛立ちに満ちた「民意」が覆っている。それをすくい取る嗅覚に優れた独裁型ヒーローは国家を救えるのか? 政局激動の時、必読の1冊。
著者紹介
香山リカ[カヤマリカ]
1960年生まれ、北海道出身。東京医科大学卒業。精神科医。立教大学現代心理学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)