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歯科技工士・岩澤 毅

疑似科学入門 (岩波新書 新赤版 1131) (新書) 池内 了 (著)

2008年05月04日 | amazon.co.jp・リストマニア
疑似科学を素材に「科学」を語る, 2008/5/4

By 歯職人

 科学が生活を便利にし、科学技術に携わる人々も多く、科学教育を受けた人々があまたいる現代おいてさえ、疑似科学は様々に姿を変えて途切れることなく生き続けている。
 人の心の弱さ、合理性・論理性に対する「疲れ」か、テレビ番組にも書店にもスピリチュラーも健康に良い食品やらが大流行である。
 本書は、疑似科学の論理無き論理の罠を、その擬似論理の破綻と擬似論理を受容する側の心理に分け入って、論破する。
 終章の「疑似科学の処方箋」で、著者は以下ののスケッチを試みる。
・人間には心のゆらぎがあり、非合理であってもそれを選びたい心理になってしまう。
・怪しげであっても癒しの気分で擬似科学に近づきたくなる。
・一度信じてしまうとなかなか抜けきれないという特徴がある。
・夢中になる人は、一般に情報通なのだが、かえって情報に振り回されやすい
・体制や世間の趨勢に反撥したくなる人が陥りやすい傾向がある。

 さらに、「科学者の見分け方」を披露し
・科学者は研究を極めれば極めるほど謙虚になる。自分の無知を知って謙虚にならざるを得ないのである。
・謙虚か謙虚でないか、ここが科学者の見分け方の初歩である。

 反対に、疑似科学の側の「科学者」の特徴を
・世間から理解されていないという被害者意識なのか、人より先を読んでいる優越感からなのか、かれらは時に大言壮語したり、人を見下した態度を見せてしまう。
 何時の世にも形とネタを変えて現れる疑似科学に陥らないために、合理的な思考を失わないために一読をお勧めします。

岩波新書
疑似科学入門

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ISBN:9784004311317 (4004311314)
・池内了 岩波書店 2008/04出版
18cm 239,
[新書 判] NDC分類:404 販売価:735(税込) (本体価:700)

占い、超能力、怪しい健康食品など、社会にまかり通る擬似科学。そのワナにはまらないためにどうしたらよいか。また、地球温暖化論争で擬似科学に陥らないためにはどうすべきか。科学時代の不合理に抗する処方箋。

【目次】
はじめに
第1章 科学の時代の非合理主義―第一種疑似科学
第2章 科学の悪用・誤用―第二種疑似科学
第3章 疑似科学はなぜはびこるか
第4章 科学が不得手とする問題―第三種疑似科学
終 章 疑似科学の処方箋
参考文献
あとがき

【著者紹介】(いけうち・さとる)
総合研究大学院大学教授。1944年兵庫県に生まれる。1967年京都大学理学部卒業、1972年同大学院博士課程修了。1972年京都大学理学部を皮切りに、北海道大学、東京大学、国立天文台、大阪大学、名古屋大学、早稲田大学と移動し、2006年より現職。専門は、宇宙物理学、科学・技術・社会論。
著書―『科学者心得帳』『転回期の科学を読む辞典』『寺田寅彦と現代』(以上、みすず書房)、『禁断の科学』『考えてみれば不思議なこと』『ヤバンな科学』『科学は今どうなっているの?』(以上、晶文社)、『科学の考え方・学び方』 『お父さんが話してくれた宇宙の歴史1-4』(以上、岩波書店)、『物理学と神』(集英社新書)ほか多数。

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