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歯科技工士・岩澤 毅

岩澤毅 視点WE 歯科医療 まず歯科技工士と対面しては

2006年09月30日 | 朝日新聞・週刊金曜日
朝日新聞(2006年9月30日 東京本社版)オピニオン面 

◆◆視点WE 歯科医療 まず歯科技工士と対面しては◆◆
 岩澤 毅(いわさわ つよし) 歯科技工士

 しばしば言われることだが、歯科医療においては主役である患者さんが必要とする情報が十分に提供されてきたとは言い難い。
 例えば、歯科医療の主要部分を占める入れ歯・差し歯に関して、使用される材料は何か、それはどのように作られ、仕入れ価格はいくらなのか。また誰が作るのか。さらには保険診療と自由診療とでは価格と性能にどう違いがあるのかなどが、必ずしも明らかにされてこなかった。

 高齢社会の進展に伴って、多くの国民がより良い入れ歯を必要とする時代になったいまこそ、歯科医療における情報を公開し、信頼性を高め、患者さん、つまり消費者の選択の目安とする方法が必要ではないか。

 明眸皓歯(澄んだひとみに白い歯)という言葉があるが、入れ歯・差し歯は人の表情を作り、個性をも表現する。私たち歯科技工士は、他人から見た人柄や印象を左右しかねない歯と歯並びにことに神経を使い、患者さん個々の人柄を表現する技術の研鑽に努めている。

 しかし、現実には患者さん本人と対面することもなく、歯科医院から提供される「型」を相手に、患者さんの求める歯に対する要望や、患者さんの歯の個性に関する情報を入手することなく、不在の情報を補いながら不安の中で出来る限りの努力をするのが現状なのだ。

 他の医療分野と同様、歯科医療も現在では歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士ほかの専門職によるチーム医療に支えられている。であるなら医師はもちろん、衛生士や技工士の個々がどのような技術や能力をもっているのか、あるいは進歩する医療技術を学ぶために研修などを受講しているのかどうかは、患者さんも知りたいはずだ。まず、それらの情報に患者さんがアクセスできるようにすることが必要だと思う。

 私はその第一歩として患者さんに、かかりつけの歯科医に御自分の入れ歯・差し歯を作る歯科技工士の情報を求め、選択をした後、歯科技工士と対面し、御自分が入れ歯・差し歯に求めるモノを伝えてほしいと思っている。歯科技工士は、その専門知識と経験から必ずや患者さんの質問・疑問や要望に適切に答えることが出来るはずだからだ。

 まずは入れ歯がどこからくるのかに関心を持ってほしい。

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