歯科技工管理学研究

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歯科技工士・岩澤 毅

岩澤毅 神の業は持ち合わせていないが

2007年05月11日 | 朝日新聞・週刊金曜日
週刊金曜日

2007年5月11日号「投書」掲載

神の業は持ち合わせていないが

(46歳)
歯科技工士

 本誌で連載してきた大野純一先生の「歯生活を楽しくする歯科講座」全30回が終了した。
 最新の歯科の知識を道理に基づいて、患者の立場に立っての企画として読ませていただいた。その上で、歯科技工士の職にあるものとして感想の筆を執りたい。
 本誌の読者層の中核をなすと思われる団塊の世代は、戦後とそれに続く高度成長期の食生活の著しい変化と、歯科医療の普及と発展の端境期に生き、同連載でも触れられたように、今後入れ歯が必要な最大の世代になるものと予想される。
 歯冠修復(歯牙の部分代用)と欠損補綴(歯の無い部分の代用)が歯科医療の中心を占めていた時代から、歯科医療の内容の変遷とともに、歯科医師が歯冠修復と欠損補綴の具体的製作の技工部分を手放し、歯科技工士の制度が設けられた。すでに歯科医師国家試験からも実技試験が無くなり、歯科医師はその役割の内容を変えてから久しい。歯科医療の実態からは、入れ歯と差し歯の作り手は歯科技工士の役割となった。
 本連載でも見られるように、歯科技工士の存在と役割は、活字となる機会も少ない。歯科医療はその内容とともに、歯科医療を担う職種の構造を含め二重のブラックボックスに閉じ込められている。
 歯科技工士も決して神の業は持ち合わせていないが、患者さんから必要とされる入れ歯と差し歯が必要な国民に提供される体制の維持とその発展に努めている。
 ぜひ、二重のブラックボックスに閉じ込められている歯科医療の情報開示を進めたい。今回の講座はその点では情報が不足してのではないだろうか。

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