◇3話 新天地「地球」
故郷の星に似た青い星を見つけたアザラシまんじゅうは、どんなに期待して地球を新天地としたのだろう。
バラバラに落下した、いくつかのアザラシまんじゅうは、どうなったかというと。
あるものは落下中に鳥に食べられ、あるものは海に落ちて魚に食べられ、ジャングルに落ちたものはサルに食べられた。
アジアに落ちたものは野良犬に食べられ、ヨーロッパの町中に落ちたものはホームレスに食べられた。
食べられるということが、与える究極の愛の形だとアザラシまんじゅうは感じているのだ。
ただ1つだけすぐに食べられることのないアザラシまんじゅうがいた。
落下スピードをうまくコントロールできずに、地面に叩きつけられたアザラシまんじゅうは瀕死の状態だった。
そこはアメリカの広大な小豆畑の真ん中だった。
アザラシまんじゅうは、人にも動物にも見つけられず青い空をただぼんやり見上げ、最期の時を待つのだった。
そして力尽き死んだ。
その体は腐敗していき土の一部となり小豆畑の栄養となった。
そう、このアザラシまんじゅうも微生物よって食べられ分解されたのだ。