6月22日 夏至
伊勢神宮に参拝する前の禊浜、二見浦の二見興玉神社(ふたみおきたま神社)では
夏至の日に夏至祭りが行われます。
夫婦岩の大注連縄の中央から上る朝日、
200キロ離れた富士山と朝日が重なり合う日なのだそうです。
日の出時刻は午前4時40分。お天気の予報は曇りでした。
4時頃空を見た時は黒く厚い雲に覆われていました。日の出は無理、と思った空でした。
朝日は見られないけれど、早朝参拝だけでも出来ればいい、と思いなおし
午前4時20分頃に温泉に入っていると空が明るい!
慌てて身支度をして外に出ると朝日が昇っていました。
二見浦の海岸沿いに建つホテルに宿泊したので、この朝日に感激しながら海岸線を歩いていました。
おはようございます!と後ろから声がし、振り返ると同年代の女性でした。伊勢市から2時間かけて
歩いて来たと言うのです。午前3時にホテルを出発して、暗い道を1人で歩いて来たと。
強者っているんですね~。おしゃべりしながら歩いて行くと人がどんどん増えて、
夫婦岩の間から日の出と富士山が重なり合う夏至の日はそれほど有名なのかと知りました。
彼女が「太陽ってこんなに大きかったの?」と。
日の出の太陽の大きさに驚いていました。
二見浦の日の出は幻想的です。水平線上には黒い雲。
4時40分の日の出の時刻には雲が広がって太陽は見えていなかったと思われました。
小山の向こう側に夫婦岩があります。皆さん足早に向かっていました。
若い女性が多くいらしてました。
二見浦は倭姫命の神様が天照大御神様が御鎮座される場所を探しに旅していた時
二見浦に来て余りの美しさに二度振りかえって見た、という言い伝えから
二見浦となった、と言う名の由来もあります。
二見浦はとても美しい海岸です。2度振り返って見る・・私はここに来る度に
何度も振り返り、名残惜しい気持ちでいっぱいになります。ここに来るだけで祓い清まる二見浦、魂のふるさとです。
夏至祭りが行われた二見興玉神社に到着すると、ふんどし姿の男性と白装束の女性が沢山いらっしゃいました。
夫婦岩の間から上る朝日と富士山が重なる瞬間をシャッターに収めようとカメラマンが沢山いました。
夏至祭りの御神事は午前3時から始まり、日ノ出と共に夫婦岩のすぐ傍まで海の中に入り、
禊、祈りをするものでした。
日の出時刻の頃は厚い雲が水平線上にあったのが、御神事と共に富士山が姿を現したそうです。
そして富士山の左肩から太陽が頂上に登るように見えたそうです。
この梅雨の時期、富士山と日ノ出、共に見えたのは20年ぶりだったそうで
禊御神事をされた皆さんの心清らかな思いが、神様に通じたのだろう、と。
偶然なんかでは無く、神様のご意思が働いている、と私は思いました。
ほんの僅かな時間だけ富士山と太陽が重なり、その後は富士山が雲に覆われてしまいました。
夏至祭りが終わると厚い雲の中に太陽は隠れてしまいました。
まさに御神事をしている時だけ太陽が輝き、数秒か、数十秒か富士山が姿を見せてくれたのでした。
早く来ていれば・・そういう思いと同時に、雲っているから日の出は見れない、
と初めからダメと決めこんだ自分の気持ちが悔やまれました。
「奇跡は起こる。」 そう信念をもって最善を尽くすべきだったと。
富士山と日ノ出が重なる光景はただそれだけかもしれません。しかし
太陽のエネルギーが1年で最も高くなる夏至と富士山が重なることは
人知を超えた何かしらの未知のエネルギーが頂点に達するのかもしれない、などと考えたりもします。
「富士山と太陽」に拘るところは日本人ならではの感性なのかもしれません。
禊神事をされ海の中に入った方々は本当にいい表情をされていました。
満たされた表情の皆さん、神社から温かい物をふるまわれていました。
御神事には女性が多い事に驚き、更に若い女性も多かった事に凄いわぁ~と感心しました。
今年と来年までは社務所の工事の為、会員さんのみの参加だそうですが、
その後は一般の方も参加出来るそうです。終わった後はきっと至上の喜び、清々しい気持ちなんでしょうね。
一旦ホテルに戻り、人が引けた頃、朝食前にもう一度お参りに出ました。
海岸線に建つホテルは二見興玉神社から歩いて5分ちょっと。
天守閣のような緑色のとんがりのあるのがホテルリゾートイン二見です。
外観は少々古くバブル前を思わせますが、室内はとてもシンプルで綺麗です。
一人でもツインを予約できます。バス、トイレも清潔です。只バリアフリーではないので、
足元が頼りない年配の方にはバス・トイレは段差が高く、少々危険かもしれません。
この辺りでは純和風旅館が多く、ベッドのホテルは殆どありません。
フロントが50代以上の男性なのも安心感があります。
温泉の家族風呂が5つ位だったか・・あります。
好きな時に予約無しで利用できるので、人に気兼ねすることがなく浸かれます。
毎年夏至の日に宿泊する常連さんが多いホテルのようです。
朝食前の6時半頃の空は曇り。 太陽は雲にすっかり覆われていました。
それが・・! 興玉神社に着くと太陽が! 照らしてくれたのです!
二見興玉神社
夏至の日の「茅の輪くぐり」という御神事です。
茅の輪くぐりの由来は、スサノオの命の神様がこの辺りを旅し、夜の宿を探していました。
蘇民将来という者に1晩宿を借り、貧しいながらも蘇民将来は心づくしのおもてなしをしました。その恩に報いようと
茅の輪を作り、これを首にかけていれば疫病から守られる、と。蘇民将来の娘は嫁いでいましたが、その茅の輪をかけ
嫁いだ先は滅びてしまいましたが、娘だけは疫病から逃れ、蘇民家は代々繁栄した、という言い伝えからだそうです。
伊勢地方では家門に注連縄とこの蘇民将来のお札を下げる風習がまだ残っているそうです。
この蘇民将来のお札を下げていると悪鬼や疫病から逃れられるそうです。
私も書いてみました。下手な字で恥ずかしい限りですが。
私が何度となく行きたくなる場所、何となく行きたくなる所には
スサノオノミコトの神様、大国主の神様、そして天照大御神様の存在がいらっしゃいます。
この伝説を知った時、嬉しくてなりませんでした。
「波たたぬ世」
神様の御心が近隣他国にも広がってゆくように祈って止みません。
改めて参拝に行って良かったわぁ~、と清々しい思いでホテルに戻り朝食です。
一人だったので、海が見える席に案内して頂き、満たされた気持ちで、懐かしい日本の朝食を美味しく頂きました。
お隣には70歳を超えてるであろう、背筋のピン!と正座をした紳士がお食事されていました。
席を立つ際、その紳士は「日ノ出は見ましたか?」と声をかけてくれました。
「はい、見れました!」 笑顔で答える私に、グー!
紳士はにこやかな顔で「よしよし」 心の中で言っているようでした。
なんて素敵な表情をされている方なんだろう!と思いました。
フロントに「来年も健康な身体で、自分で運転して来れたら来ますね。」とおっしゃっていて
毎年来ている方なのだとわかりました。今年は少しでも富士山が見えた貴重な夏至の日でした。
7月14日(火)二見大祭 しめなわ曳
夫婦岩の大注連縄を奉曳車(ほうえいしゃ)に載せ、
夫婦岩参道を練り曳き奉納するお祭りがあるそうです。
二見浦!いいところですよ~!
「 人事を尽くして天命待つ」
いえ・・ もっと先の
「 人事を尽くせば 天は動いてくれる!」
と言う事を目の当たりにした、夏至の日の出でした。
最大限に努力をすれば天が動く。
そうなるには何ものにも遮られることのない心
己の心がすっと天に通じるように、心身を清く、磨きかけておく。
そう気づかされた二見の夏至祭りでした。
今年1月晴天の日の二見夫婦岩です。
2羽のカラスがラブラブ!