「エッジ×カイン」ですが、エッジはリディアが好きなので、
ほんの出来心という感じでお願いします。SSで凄く短いです。寧ろSSS的な。
腐の要素がありますので、閲覧には充分注意して下さい。
大丈夫な方のみ下へスクロールしてご覧下さい。
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<素顔を見せて笑って見せて>
「お前、どんな顔してんだぁ?」
仲間になったばかりのエブラーナの王子、エッジことエドワード王子が、
宿屋で相部屋になった途端カインに言い出した。
カインは兜で隠れた眉を潜めた。
暗黒騎士だったセシルもパラディンになり白日の元、その月のような美しい顔を曝け出している。
一端は敵に加担する羽目になったカインも呪縛が解かれ、
今は彼を操っていた張本人ゴルベーザの野望を打ち砕く為、セシル達に手を貸している。
カインはバロン王国でただ一人の竜騎士だった。
世界で一頭になってしまった存在、竜を唯一駆る事が出来る者なのだ。
音速で飛ぶ事が出来る竜に騎乗する為の鎧は、身体の殆んどを覆っている。
顔も唯一見えるのは口許だけで素顔は殆んど分からない。
エッジも忍と呼ばれる一族の国、エブラーナの民同様、口許を隠しているが、
食事の時や寝る際には素顔を晒していた。
しかし、カインは---。
「お前、一体何処で寝てんだよ。いっつも部屋にいないだろ」
セシルは女性達の部屋に明日の予定を伝えに行っていて、今男部屋には二人切りだ。
確かにエッジが仲間になってから、カインは殆んど部屋で寝泊りしていなかった。
珠にベッドに寝た痕跡がある時もあるが、
エッジより後に寝てエッジより先に起きて身支度を済ませているのだ。
王子のせいか寝起きの悪いエッジは毎回カインの素顔を拝めずに居た。
見れないものは更に見たくなる。
気になって仕方無いエッジはとうとう我慢ならなくなったのだ。
好奇心旺盛な目をして見詰めてくる王子にカインは頭痛がしてきた。
「あんた…俺よりかなり年上の筈だが…。子供みたいだな」
腕を組み、大きく溜息を吐くとカインはその兜の奥から水色の冷淡な目でエッジを射る。
顔を斜に構えるとカインの長い後ろ髪がさらさらと横に流れた。
エッジはその絹のような白金の髪に眼を奪われる。
一向に返事をしない王子にカインはもう一度溜息を吐くと腰に手を当て、
前屈みになると少し大きめの声で名を呼んだ。
「エ・ド・ワー・ド・王子!おい、聞いてるのか!?」
「髪、触らせてくれよ」
その突拍子もないお願いに、カインは鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をして、
すっかり硬直してしまう。
エッジはその隙を逃さなかった。
忍の素早さを生かして背後に回り込むと、さらさらのカインの髪を手に取り頬ずりする。
我に返ったカインはその身の毛の弥立つ行為にぶるぶると震え、
自らの後ろ髪を庇うとエッジに向き合った。
まるで直接肌に触れられたかのように、鳥肌まで立てているようだ。
「俺に触るな!そんなに見たいなら見せてやる!…まったく…」
何で自分の顔など見たいのかと文句を言いながらカインは竜の顔を象った兜を脱いだ。
其処でエッジの時は止まってしまう。
それ程にカインの素顔は形容し難い程に美しかったのだ。
セシルが月のような美しさなら、カインは月の光のような美しさだった。
儚げで触れようとすると擦り抜けてしまう、
そんな朧気な美しさ。
白金の髪は後ろで束ねられているが、
長い前髪から覗く氷のようなアイスブルーの瞳が水晶のようにゆらゆらと揺れている。
カインとて竜騎士として修行を積んだ身である。
男としてしなやかで身軽な体躯をしている。
それなのに、エッジは思わず囁いてしまう。
「お前…別嬪だな…おい…」
カインはその場で大切な竜騎士の兜をぼとりと床に落とした。
カラカラと音を立てて竜の顔が廻る。
そして其処には真っ青になった麗人。
罵倒したいのか、口をぱくぱくと開閉するのだが、余りもの怒りに声にならないようだ。
エッジは満面の笑顔でそんなカインに近寄ると、無防備なその唇を奪ってしまう。
「んっ…!んぅっ…!ぷぁっ…!……ハァ…ハァ…、貴…様!!そんなに死にたいか!」
カインは更に押し倒そうとするエッジを何とか押し遣ると、
素早く壁に立て掛けてあった氷の槍を鷲掴みにする。
嫌悪に涙目になりながら口許を何度も擦りつつ、エッジに斬り掛かった。
其処へ呑気に帰って来たセシルは半泣きになりながら槍を繰り出すカインに、
にっこり微笑むと、
「あ。兜脱いでる。相変わらず綺麗だね。カインは」
と更に追い討ちを掛ける。
ローザとリディアは男部屋から聞こえるカインの叫び声にくすくす笑うと、
淹れ立てのお茶を飲んで桃色の吐息を漏らしていた。
<了>
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カインはツッコミ担当な気がします。不憫可愛い。
私は最初はエッジが好きでした。まさかカインに嵌るとは・・・。