< 1. 成都の麻婆豆腐 >
今回は、食文化にスポットを当てます。
日々の生活が反映される食文化から、北欧、中国、日本の違いが見えて来ます。
私の北欧旅行は貧乏旅行だったので、残念ながら安い食品の比較に過ぎませんが。
< 2. 定番料理 スモーブロー >
上: ストックホルムの中央駅コンコースのレストランにて
フロアでは、弁当のような手軽な食事も販売していたのですが、ストックホルムを離れるにあたって、最後にまともなランチを食べることにしました。
一度はバルト海に面した漁師町で海鮮料理を食べる予定でしたが、交通トラブル(線路不通)の為に行けなかった。
選んだ料理は、下の写真のようなオープンサンドでした。
このスモーブローは、スウェーデンやデンマークで多く見かけました。
彩が綺麗で、肉や魚介をパンに乗せたものです。
料金はペッボトル飲料込みで約1900円でした。
下: クロンボー城のある町ヘルシンゲルのレストランで
クロンボー城近くのレストランは開いていたが、街で地元の食事を探そうとした。
ところがこの日、街で祭りのイベントがあり、多くのレストランが休んでいた。
たまたま営業していたレストランでは、数種類の料理しかなかった。
それでまたスモーブローを選んだ。
おそらくこれは作り置きが出来るからです。
これは美味しいのですが冷たいので、涼しい6月初旬のテラスには合わないかもしれません。
料金はビール込みで約2300円でした
< 3.コペンハーゲンにて >
共に屋内マーケット、トーベヘルネKBHの写真です。
ここは地下鉄駅Nørreportの近くのイスラエル広場にあります。
この手のマーケットに、ストックホルムでも訪れたのですが、食品が高いので一度も食べずじまいでした。
北欧の料理価格は日本の1.5倍以上高いと思った。
このようなマーケットやオスロのレストラン(ウインドウディスプレー)も同様でした。
私の昼食と夕食のほとんどは、結局、コンビニでホットドッグやサンドイッチで済ました。
それでもペッボトル1本と食材で600円から1200円が必要でした。
ここで物価を比較します。
*4
指数の値は異なりますが、食料品が高いことは明かなようです。
< 5. ストックホルムで知った変化 >
Hop On Hop Off のバスで、中心部を周遊していた時です。
日本語の説明をイヤホーンで聞いていると、驚きの情報が入って来ました。
それは下の写真、フムレ公園の横を通過した時でした。
最近、近くに夜の飲食街が出来て、賑わっていると言うのです。
私が1984年11月にストックホルムを訪れた時、最も大きくカルチャーショックを受けた一つに、男の夜の繁華街が無いことでした。
当時、現地の人から話を聞いたところによると、仕事を5時に終え、家族の待つ家に真直ぐ帰るのだそうです。
彼はスウェーデンでは共稼ぎの妻と子供達と、週末などに一緒に出かけると言っていた。
当然、この地では日本の男性がくだまく赤提灯は必要無いことになります。
それが最近出来たようなのです。
2018年、北欧を旅した時、スウェーデンの40歳男性に質問しました。
日本人は北欧に暗いイメージを抱いているが、一言で母国を説明するとしたらと聞くと、以下の答えをくれました。
「税金が高い、娯楽が少ない」
彼が言ったのは、おそらく男だけの娯楽で、家族や友人が自然に触れて楽しむ所は多々あります。
スウェーデンも徐々に軟化しているようです、まだアルコール販売は厳しいようですが。
* 北欧の暮らしの一端が見えた
私は、北欧旅行中、午後6時以降、疲れて町にほとんど出ていないが、日中の様子から察するに、今も変わらず人々は定時で直ぐ退社し、友人や家族と過ごすようです。
当然、夫婦で家事と育児を分担します。
そこには男女共に働く社会が今も根付いていおり、平等意識も定着している。
ちなみに専業主婦率はスウェーデン2%、日本38%です。
それでは高い食事をどう理解すればよいのだろうか?
日本とスウェーデンの指数を比較してみよう。
以下、すべて2015年のデーター。
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この表からわかるように日本の国民負担率は消費税が低くても、最も高いスウェーデンと比べて遜色がない。
結局、国民所得(GDP)の高い分だけ、重税でもスウェーデン国民は自由に使える金額が多い。
尚、デンマークとノルウェーの一人当たりGDPは日本の1.8~2倍ぐらいです。
さらにスウェーデンでは教育費は大学まで含めてすべて無料。
医療は18歳以下は無料、成人も自己負担が年間で約1万3000円、薬代2万5900円までと安く抑えられている。
老人になれば誰でも少ない自己負担、上限が月約2万5600円で、介護サービスを受けられる。
結局、町歩きで閉口した高い食事は、一つには消費税の高さがあったのだろう。
スウェーデンなど北欧は経済的に豊かで、労働時間が少なく、格差も少ない。
ゆったりと暮らしている人々を見ると幸福度の高いことがうなづける。
私には、北欧が理想の国家に思える。
大戦後に生まれた北欧の高福祉社会の実験は、今も上手く機能しているようです。
だが娯楽が少ないとか、格差是正のしわ寄せを負担に感じる高所得の人はいるだろうが。
< 7.中国らしい食事 >
上: 麗江のフードコート
このような店は古城エリア内には幾つもある。
多くは一皿300円から500円です(観光地値段?)。
料理は変化に富んでおり、温かい料理が直ぐ出来るのが嬉しい。
下: 蘭州の牛肉麺の店
この店はチェーン店で蘭州に数ヵ所ある。
凄いのはラーメン一杯が100円から140円で、美味しくてボリュームがあることです。
残念ながら牛肉はほとんど入っていなかったが。
日本語ガイドの話では、牛肉麺と言っても、牛肉は入っていないそうです。
副菜を足しても一人300円もあれば充分です。
< 8. 食文化の今昔 >
上: 昆明の老街
古風な趣を残した小さな飲食店が並んでいる。
皆、小綺麗な店舗になっている。
しかし提供している料理は様々で、昔ながらの中華料理ではない。
下: 廈門の开禾路
ここは昔ながらの商店街で海鮮市場でした。
廈門では、他にもう一つ商店街を訪れたが、开禾路の方が規模が大きく、店舗も大きく衛生的に優れているようでした。
中国には、生鮮食品を扱う大型スーパーが至るところにあり、衛生管理は日本と遜色が無いように思える。
しかし、一方でこのような市場が今もまだ利用されている。
< 9. 向上した食文化 >
上: 廈門で
宿舎の朝食ブッフェ会場の様子。
料理の種類も多く、味も良い。
それにもまして皆さんのマナーが良い。
海外旅行先で見るマナーの悪さはなかった。
日本で言う、旅の恥はかき捨てなのだろうか。
下2枚: ここは廈門島北部にある海鮮レストラン(海鮮城)
私が驚いたのは、水産センターの隣に海鮮城が二十店舗ほど並んでいたことです。
さらに各店舗がまた巨大で、1階に水槽が並び、2階で食事をします。
また水曜日にも拘らず、お客さんは次から次と来て、席は見る間に一杯になった。
1階の水槽を見て、魚介類を選び注文します。
私は支払っていないのでよくわからないが、タラバガニに似たカニなどは500gで3000円ぐらいでしょうか。
日本より安いが、私には日頃縁のない食材です。
さらに一料理当たり400円から2000円を支払います。
15年前ほど、初めて廈門に来た時、川船で地元料理の海鮮料理を食べたことがありました。
この時は、食べると口に砂が残ったことを思い出します。
隔世の感があります。
人々の暮らしが格段に向上していることを思い知らされた。
ちなみに、一人当たりのGDPで、中国は日本の約1/4にまで急伸した(2019年)。
中国では農村部と都市部の所得格差が大きいので、廈門のような大都市の裕福な人々は、あまり日本と差がないのかもしれない。
< 10. 驚きの光景 >
上: 麗江の忠义市场にて、生肉を手に取るお客
ここは古城の隣にある大きな市場で、あらゆる食材が売られています。
中でも驚いた光景がこれでした。
15年ほど前、中国福建省の田舎を走っていると、道端でこのような肉の販売風景を見て驚いたことがあった。
今回さすがに、どこに行っても道端の屋台で生肉を扱っているのを見なかったが。
やはり衛生意識はまだ低いようです。
もっとも中国では、魚と肉を生で食べることは無いので、問題はあまりないのかもしれないが。
下: 廈門の内海の浜で
朝早く、宿舎を出て浜を散歩していると、ハゼ似た魚を獲っている漁師を見た。
この内海には大きな干潟が広がり、そこには一辺20mほどの四角に仕切られた浅い池が無数にあり、そこで漁をしているようでした。
写真に写っている川は、巨大な団地から内海に排出されている水流です。
魚は新鮮だろうが、不衛生極まりない(浄化槽を経ているかは不明)。
個人で食べるのなら良いが、状況から判断して彼はおそらく市場に持って行くのだろう。
こんなこともありました。
麗江の忠义市场で乾燥椎茸を、蘭州の大型スーパーで乾燥松茸を買った。
その後、半年ぐらい料理で使っていると、忠义市场で買った椎茸からは蛾が湧いたので捨てた。
スーパーで買った松茸は最後まで美味しく食べた。
残念ながら中国の食品は、まだ安心出来ないようです。
しかし中国の生活水準が急速に良くなっているので、いつまでも悪い状況が続くとは思えないが。
それにしても現地で食材を買うのが楽しみなだけに残念です。
< 11. 夜の賑わい >
上: 北京にて
下: 昆明にて
共に大都会の夜は、イルミネーションが輝き、若い人で溢れている。
ビルの中の飲食街の店舗は、料理や運営システムを日々革新させていると感じた。
けっして昔のままの姿ではない。
* 中国と北欧と日本
北欧人が求める暮らしとは、自然の近くで家族や友人と共に過ごすことであり、遅くまで仕事をして会社に滅私奉公をすることではない。
また多くの人は夜遅くまで町中で騒ぐことを楽しみにはしていないようです。
もっとも観光情報によれば、ストックホルムではナイトライフを愉しむレストラン街が増えているようでしたが。
中国では、精一杯働いて稼ぎ、夜、町中に出て愉しむことで英気を養っているように見える。
彼らには国が発展すると言う確信がみなぎっているように見えた。
これが活力を生んでいるのだろう、かつての日本もそうでしたが。
中国と北欧には似た所がある、それは共稼ぎであり男女平等と言えるかもしれない。
だが中国労働者の生活スタイル、労働と娯楽のパターンが日本と同じように思う。
自由経済と急成長がそうさているのかもしれないが。
では日本はどうだろうか?
30年ほど前に経済のピークを終え、豊かにはなったが、さりとて北欧のように、会社人間から家庭第一に切り替わる気配は無い。
また家事分担も含めて職場でも男女平等は大して進まなかった。
むしろ経済が停滞する中で、かつての栄光の余韻に浸り、昔ながらの愉しみを引き摺っているように思える。
ただ中国の一部の衛生観念の低さを見るにつけ、東アジアと北欧の違いが目に付く。
推測に過ぎないが、中国の報道機関が適正に働いていないことが、最大要因では無いだろうか。
報道機関が、日々の生活上の問題、例えば公害や衛生問題などを厳しく指摘するようになれば、社会は日常的に是正されて行くはずです。
この点に中国の弱さがあるように思う(将来の日本も)。
ちなみに報道の自由度では、北欧4ヵ国が世界トップ1~4位を20年間ほぼ維持し続け、中国は悪化傾向にあり現在177位で、180ヵ国中最悪に近い。
日本も悪化しているがかろうじて66位で、民主と政権時代は11位になったこともあった(政府次第です)。
次回に続きます。