白馬村での一コマ
2016年撮影
「クルマに気をつけて!」――。出かける子どもを見送るとき、こんなふうに声をかけることも多いでしょう。
ところが、家の中のほうが死亡事故のリスクが大きいという統計があります。
安全であるはずの家庭のどこに“凶器”が潜んでいるのでしょうか。
家庭内事故に詳しい井上恵子さんが解説します。
人気のタワーマンションで思わぬ事故
家庭内事故は住人が思わぬところで発生しています。まず、私が聞いた一例を紹介します。
ガッシャーン。
東京都内のタワーマンションに住む主婦のAさんが、買い物から帰って玄関のドアを開けたときのことです。室
内からの強い風にあおられたドアに押され、Aさんは転倒。腰を強く打ってしまいました。
ダイニングに飾っていたガラスの花瓶は風に飛ばされ、ガラスの破片が床に飛散していました。
ベランダ側の窓を開けっぱなしにしていたため、玄関を開けたとたん、部屋から一気に強風が通り抜けたのです。
最近人気のあるタワーマンションですが、立地条件や風向きによっては上層階で風が強くなることがあり、こういう現象が起きることがあります。
新聞や雑誌が散らかってしまったという程度で済めばいいほうで、強風にあおられたドアの蝶番(ちょうつがい)が曲がってしまったり、壁に掛けていた絵画が飛ばされたりしたという例もあります。
Aさんのように、風圧で転倒するケースもあり、幼い子どもや高齢者なら大けがにつながりかねません。
「事故」と聞くと、多くの人が真っ先に交通事故を思い浮かべるのではないでしょうか。
ところが、家庭内事故が交通事故の死者数を上回っています。
家庭にどのようなリスクが潜んでいるのでしょう?
私心
家庭内事故で亡くなるい方は年間約14000人と聞いています。
ところで交通事故死は平成27年度の統計では4117人だそうです。
交通事故死の約3.5倍・…・安全のはずの家庭内実は危険が多いのですね。