せつなく朽ちた鉄扉

雑草地帯・日記部門。硬軟色々取り混ぜて、よろず話題の書き捨て場。
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宇宙という名の夢のショーへようこそ

2010-07-06 21:45:50 | 雑談雑感
宇宙ショーへようこそ」見てきました。

先に結論だけ書いちゃうと、私はこの映画、好きです。気に入りました。
公開中にもう一度見たいなと思っています。

でも、だからこそ、余り一般ウケしない感じがするんですよね。(苦笑)






……こうやってトレーラー見直すと、若干詐欺くさくもあるなぁ。(笑)

この映画は、純粋に、小学生の夏の大冒険の映画です。
アクション映画だと思って見に行くと裏切られます。きっと途中で寝ちゃうでしょう。
感動巨編だと思って見に行っても裏切られます。物足りなさにイライラするでしょう。

この映画の最大のウリは間違いなく「異世界感」です。

圧倒的な描写で、見ている人まで一緒に異世界に飛ばしてしまう勢い。
この、ストーリー以外の部分で楽しめる人なら、この映画は一見の価値ありです。

この映画はサマーウォーズではありません。絆や家族や勇気を描く作品じゃないです。
ジブリ系の映画でもありません。壮大なテーマも細やかな心理描写も葛藤や衝突も転がり落ちるような勢いのストーリーもありません。

あえて言うなら、宇宙船サジタリウスです。もしくは手塚治虫系。ノーマンから戦争を抜いた感じ(なにそれ)。そういう、懐かしいSFっぽい「異世界感」を楽しめる人なら、この作品は絶対に面白いです。


あ、あとロリな人ならSFとか異世界感とか全く関係なく気に入るかも。
キーワードは、生足、マジックハンド攻め、ロリ宇宙人、ロリお姫様コス。ぐっと来た人は今すぐ見に行くべし。(笑)




以下は割とネタバレな説明。


制作サイドの話とかは全然知らないのですが(パンフすら買ってないので)。

結局のところ、この映画って、子供たちに「夢の世界を旅して欲しい」っていう映画ですよね。
それも、映画の中の5人だけでなく、スクリーンのこっち側の子供たちにも一緒に、という意味で。

さっきも書きましたけど、そもそもこの映画、基本は単なる子供の夏合宿の話です。児童文学に良くある、ひと夏の、子供だけの、小さな大冒険の話なんですよ。
このストーリーなら恐らく宇宙に行かなくても成り立ちます。ポチが単に街から来た大人で、旅行先が月でなく東京だったとしても、ほぼ同じ作品が作れるはずで、それこそアニメである必要性すらないという、割と定番系の手堅いストーリーです。
そこをあえてアニメで、しかもただの宇宙じゃなくて、明らかに有り得ない月(笑)とか出てくる宇宙とか舞台にしているんですよ。

この、有り得ない世界の上で、現実的な手堅いストーリーを進める感覚。
これ、「夢」ですよね。あの寝ているときに見る「夢」そのものです。
この夢の構造の再現こそが、この映画の物凄く上手いところであり、見ている側まで異世界にぶっ飛ばしてくれる力の源なんじゃないでしょうか。

「ああ、俺は今夢を見ているんだ」って思えるか否か。
この映画の評価は、そこで二分されるでしょう。




最後に難点を1つだけ。

夢の構築を主眼に置いたせいか、ストーリーの適当さが目立つ作品でもありました。
ズガーンとは、宇宙ショーとは何だったのかという肝心な説明がそもそも足りませんし、主役5人の描き方にしても、特に年長2人なんかはもっと突っ込んだ葛藤を描いた方が映画としてはウケが良かったはずです。夏紀に至っては色々と描かれていない現実があるみたいなので、そこを掘り下げるのもアリだったでしょう。

でも、あの世界で、あんまり複雑だったり重かったりする展開は面白くないと思うんです。
子供たちの背負う話が余りに重く大きすぎると、ラストを大団円で迎えさせようと思ったら、もう小学生とは呼べないような物凄い成長をさせないといけませんから。

舞台はあくまで夢の世界。帰ってきても普通の子供でいるべき。
そう考えると、あのストーリーで仕方なかったのかなぁという気がします。

まー両方を成り立たせる解が絶対何かあるはずなんですけど(カンです)、この映画は、そこまでは辿り着けなかったと。その点だけが、ちょっと残念ではありました。