デジタル画、始めました。

落書きしてます

髙倉先生

2021-06-14 21:28:00 | 日記
私たち姉妹が通った女子だけの中学校には「礼法」という授業があった。
ちなみに、人にこれを話すと「礼法って何ですか」と聞かれることもあるが、私はとりあえず「礼儀作法のことです」と言っている。

残念なことに授業内容は少ししか覚えていない。
和室での授業も時にはあったが、ほとんどは教室だった。
私はただ緊張して姿勢を正して先生のお話を伺っていた。
教科書はあったが、ほとんど使わなかったような気がする。ノートも取ったことはない。
ほかの授業ではおちゃらけな生徒もこの時間は静かにしている。もちろん寝る人もいない。

先生はいつも着物をお召しだった。着物が身体の一部のような感じだった。

講堂で行われる入学式や卒業式などの式の時、遠くからでも先生のお姿が良く分かった。
威厳があって凛として、校長先生に対するお辞儀は特に敬意が篭って美しかった。
授業内容よりもそういう事が印象に残っている。

先生は学校で教えるだけでなくお宅の一階を礼法の教場にしておられ、ほとんどの土曜日ごとにお稽古があった。
和室での立居振舞や昔からの式を細目に従い稽古していく。
私が二十歳の時、仲の良かった中学時代の同級生を誘って、ふたりで一緒に先生の教場に通い始めた。
先生にはいろいろお世話になったし、沢山のことを教えていただいたなぁと今更ながら思う。

お姿を描かせていただいたこともあった。

ある時先生から、梶田半古の墓の前で小林古径と土牛先生が写っている写真を頂いた。
自分には必要がないから、とおっしゃって渡してくださったように覚えている。
その時には深く考えずに頂戴したのだが、先生が亡くなられてからある話を聞いた。
その話というのが、先生の早くに亡くなられたご主人は梶田半古の身内の方で、ご主人の実家に伺うと梶田半古の絵がたくさんあった、という事だった。

縁って不思議なものだなぁと思う。










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