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伊勢根付職人 梶浦明日香の『手のひらの幸せ』

一年を振り返って

コロナが落ち着きようやく動けるようになった今年は、振り返ってみると学びの一年だったのかもしれないなぁ。

伊勢根付を国指定の伝統的工芸品にすることが可能かもしれないというお話しを聞き、動き出したのが1月。
客観的に伊勢根付を見て、未来により大きな可能性を残すためには何が必要か、誰が手を伸ばしてくれて、共に動こうとしてくれたのは誰なのか。
そして、私はいま何をするべきなのか。
見えてきたものがいっぱいあった。


それらを通じて、このままではいけないと陶芸を習い始めて。技術はもちろんまだ語れるものではないのだけれど、新しい工芸を学ぶことでこれまで伊勢根付しか当事者として見えていなかったことを知って、より広い世界があることを少し理解し(知ってたけどわかってなかったんですよね)。そんな中で、職手継祭というたくさんの工芸の方々とのイベントに関わらせてもらって、伝統工芸に関わるいろんな立場の方のお話しを聞いて、自分のちっぽけさ、何にも知らないことを痛いほど知って。


凛九も、これまでどんどん見たことのない世界を見せてもらって、イケイケどんどんと進んできた中で、みんながそれぞれ家庭との両立など、アクセル全開で前に進むことが難しくなっている時。無理して花を咲かせるよりも、心の準備が出来るまで根を伸ばしタネを植える時なのかもなと、今は水面下でいろんな方にお話しを伺っているところ。
未来に対してそれぞれ思うことは違っても、それでもちゃんと活動をしていくことは大切なこと。声を出しつづけなきゃ見つけられずに消えてしまう。




こうやって振り返ると悩みいっぱいの一年のように見えるけれど、いやいや本人はいたって前向きで、やっぱり関わるほどに伝統工芸は唯一無二の日本の財産で、かけがえのない宝物だという思いを強くしてる。
思いがけない出会いがいっぱいあって、少しずつ私も動き出す環境が整ってきた。
そしてなにより、やっぱり私は根付を彫るのが好きなんだなと思いを新たにしているところ。

楽しくなくちゃやりたくない。
優しい人たちと笑顔で未来を作っていきたい。
さて、私に何が出来るのか。
来年、楽しみで仕方がない。





コメント一覧

asuka-netsuke
嬉しいコメントありがとうございます。
新しいものに挑戦するというのは、自分のできなさっぷりに直面することでもあり、また無限大の可能性が広がることでもあるので、ワクワクします。
ステファン
既成概念にとらわれず、他の芸術や工芸品にも目を向けるのはいいことだと思う。最終的には、それがあなたをより良い職人にするだけです。
根付が彫れるようになれば、他のものも彫れるようになりますから。
デッサンを学ぶという決断は、あなたの技術を新たなレベルに引き上げ、ものづくりのフィールドを大きく広げることができると思います。
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