【私を変えた日】
11年前の今日、2012年7月7日。
ドキドキしながら起きて携帯を見たっけ。
伊勢根付の職人になって、何かしなきゃ、何か変わらなきゃ、このまま衰退の渦の中でじんわり落ちていくのは絶対に嫌だ。なんのために私は伝統工芸の職人になったのだと焦っていた頃。
ようやく数点作品も売れるようになって、だからこそ彫る喜びだけではない、いろんな現実も見えてきて。
東日本大地震が前年にあって、私には何も出来なかった、何もしてないという苦しさもあって、もがいていたあの頃。
たまたまTwitterで見つけた『リカルデント わたしが目醒めるプロジェクト』
自分の夢を公表して、その思いにネット投票してもらって、上位100人に選ばれたら世界的フォトグラファー、レスリーキーに写真を撮影してもらえるというものでした。
何か変われるかも。
世界のどこかの知らない人が見て応援してくれたら良いな〜。100位までに運良く引っかかったらいいな。
なんて気軽な気持ちでした。
ところが、今思えば当然ですが、登録して夢を書いただけでは全く投票されません。
誰か、伝統工芸の職人を応援してくれる人いないかな〜と待っていたのですが
そうだ!私、変わりたくて応募したんだ。
そこで、おそるおそる、Facebookに投票をお願いする文章を載せたところ、
「応援するよー!!」
と、力強く申し出てくれたのが大石ゆうさん。
まだご挨拶程度の面識で、ほとんどちゃんとお話ししたことのない間柄にも関わらず、ご自分のお友達一人一人にお願いしていってくれたのです。
待って!待って!
そんな、申し訳なさすぎるから!そんなご恩返せないし。
一人一人にお願いなんて私周りの人に嫌われるかもしれないし、そんなこと私には出来ないよ?
でも、大石さんだけにさせるわけにはいかないし、え?やだ、どうしよう。。。
今だから言いますが、実は最初、大石さんの応援を断ろうとしました。
だって、大石さんに申し訳なさすぎるもん。
なんかもう、私ごときにそんな労力割いてもらって、選ばれなかったらいたたまれないもん。
正直、私にそんな価値ないもん!!
もっと綺麗な子だったら、もっと実績のある人だったら、もっと人格者だったら、私だって勇気を出せるけど、今の私こんなだし。。。
なんど、もう大丈夫です。
申し訳ないので、私一人でやります。
って、大石さんに打とうとしたか。
覚悟がなかったんですよね。本当に変わる覚悟も、応援してもらう勇気も。
こっそり、なんとなくいつのまにか100位ギリギリくらいでもいいから選ばれたらいいな〜
そしたらみんなからすごいって言ってもらえて何か変わるのかも〜、くらいの甘い考えだったんです。
それなのに、語っている夢が伝統工芸を守りたいだなんて、なんて烏滸がましい。
さて、そうこうしているうちに、
次第に私の投稿を見てくれた人や
大石さんのお友達からの
「応援するよー!」
が増えてきて、
もう大丈夫ですなんて言えなくなってきた。
私があれこれ躊躇しているうちに、周りの人がどんどん動いてくれている。
何やってるんだ、私。。。
ええい!もう、やるしかない!!
私も、お友達一人一人に勇気を出してお願いしていきました。
一人一人に向き合ってお願いするって結構最初は怖いんです。
バカにされるんだろうなとか、その程度の人間で何言ってんのとか、無視されるだろうなとか、だったら私はあなたに何ができるの?とか考えちゃって。
でも、
その程度の私を曝け出して、
ちゃんとバカにされて
(いや、すべて私の想像です。直接バカにしてきた方はいませんでした。みなさんすごく温かくて泣いてました)
無視だってそりゃされて当然だし、
そのままの私では恩返し出来なくて当然。
背伸びなんてしようがないんだから、
そのままの私で十分。
格好悪くて当然。
例え、この企画で100位に入れなくても、それが今の私なんだ。
なにより、こうして応援してくれる人がいることに、そしてお願いする勇気を持てたことを誇りに思おう。
すると、あれよあれよという間に2位になり、
投票序盤にも関わらず
「もうこれで、100位には入れるでしょうし、大丈夫ですね!」
と、安心して大石さんに連絡していました。
逃げたかったんですよね、あのプレッシャーから。
すると、
「明日香ちゃんは写真を撮影してもらいたいんじゃないんでしょう?夢をたくさんの人に応援してもらいたいから応募したんだから、たくさんの人に知ってもらうためには1位にならないと!1位になることで伝統工芸に興味を持ってくれる人がもっと増えるんだよ。」
と、言ってもらったのです。
私、目的を忘れていました。
そうなんです。私は写真が撮影してもらいたくて応募したんじゃない。伝統工芸を守りたくて、職人の道に入ったのに、何も出来ない自分が不甲斐なくて、変わりたくて応募したの。
伝統工芸をもっと多くの人に興味を持ってもらうために、自分を曝け出したの。
さあ、ここから。
ようやく最後まで逃げずに立ち向かう覚悟が出来たんですね。
この時、1位だったのは、
ネット界隈?出版界隈?で有名な渕上真由さん。コーチングを得意とするカメラマンさんで、
あなたは今後どうなりたいかをひき出して、その人が進みたいとなんとなく思っている方向を具体的にさせて、それからそこに向かうための写真を撮影してくれるカメラマンさん。
人の長所を見つけるのがとても上手で、会話も面白く人に自信を持たせるのがとても得意なあったかい人。
今でも私の憧れの人。
(もうさ、ホームレスの経験があったり、あれもこれも人生が波瀾万丈で、しかもそれをとても楽しく語るので、みんな彼女の話しに夢中になります)
フォロワーもいっぱいいて、本当にたくさんの人に慕われてて(当時の私は1000人いないくらい)こんな素敵な人を追い抜くなんて、無理じゃない?と思ったのを覚えています。
渕上さんが当時応援してほしい夢と書いていたのが
「カメラマンとして憧れのレスリーキーに写真を撮影してほしい」
もう、この企画にぴったりの人。
この人こそ、みんなが応援すべき人なんです。
なんだか私、邪な考えで参加してすみません。
全然関係ない夢でごめんなさい。
純粋に、憧れのカメラマンさんに撮影してもらいたいという願い、叶えてあげたいじゃない?
彼女の夢は、今回じゃなきゃダメなんです。
私の夢は、伝統工芸を未来に伝えるために魅力をたくさんの人に知ってもらうこと。
ということは、このイベントを盛り上げることが私の夢を叶えること。
一緒にこのイベントを盛り上げてる仲間として、
このしんどさを経験する同志として、深夜いろんな人に投票のお願いとお礼を伝えるなかで、いつの間にかポチッと私、彼女に投票をしていました。
彼女こそ、選ばれるべき人なんです。
次の日の朝起きると、投票結果で私が1位になっていました。
何が起こったんだろう?大石さんのおかげかな。
調べていくと、
「やーめた!」という渕上さんの投稿が。
渕上さんはもう投票をお願いするのをやめるというのです。
渕上さんの願いはレスリーキーに写真を撮影してもらうこと。このままなら100人には入れるであろうこと。ライバルだと思っていた私からの投票を見て、もう1位じゃなくていいなと思ったとのこと。
明日香ちゃんのこと応援するよー、と書いてくれていたのです。
わ!ちがうの。そんな思いじゃなかったの。
なんだか申し訳ない。
なんて心の大きな素敵な人なんだろう。
このままいけば、彼女は1位になれたのに。
本当にありがとう。
この人と友達になれたら嬉しいな。
撮影の時、会えるかな。
会えたら一緒に記念写真撮影してもらえるかな?
投票最終日。
7月7日の七夕の夜。
投票が締め切られました。
最後はサーバーがダウンして投票結果が見られず、結果は次の日に。
おかげさまでその後はずっと1位を独走し、全国1位になれました。
「三重から1位を」
をスローガンに応援し続けてくれた大石さんはじめ、たくさんの人のおかげです。
走り続けた2週間。やー、大変でした。ネット投票だけでこれだけ大変なんだから、政治家ってすごいな。
本当にありがとうございました。
11年前の今日の経験が、私を変えてくれたんです。
そして今日、七夕で“変わりたい”“願いを叶えたい”と短冊に書いた人へ。
一歩踏み出し、周りの人にお願いしてみる勇気を。そして、理想の自分になるために恥ずかしいや面倒臭いをやめて、変わる覚悟を持ってみるときっと願いは叶うよ。大丈夫。
最後までお読みいただきありがとうございます。
七夕の夜に感謝とともに、あの時のことを書いて残しておきたかったんです。
あなたにとって、未来が素敵なものになりますように。