2020年1月訪問 イタリアからコロナがなくなるまで書き続けます。
★場を支配するのは時 サン・ロレンツォ聖堂 新聖具室
昨日は、『母子像と二人の聖人』をご紹介しました、そしてまた違う二面には、
『ヌムール公ジュリアーノ』と『ウルビーノ公ロレンツオ』の像が飾られています。
『ロレンツオ・デ・メディチ』は『ピエロ・デ・メディチ』の息子。
『ジュリアーニ・デ・メディチ』は『ロレンツオ豪華王』の息子。
それぞれが嘱望された若者だったのですが、夭折しました。
『ヌムール公 ジュリアーノ』(1531年-33年)
残念ながら、私がここを訪れた時は『ウルビーノ公 ロレンツオ』の像は
修復中で、足場が組まれて撮れませんでした。
そしてその下には『昼』と『夜』。
『夜』の女性はアンニュイのポーズをとり、静かに目をつぶっています。
しかし、『母子像』のイエスのように、カーナリたくましい体つきです。
太ももも筋肉などは、スピードスケートの選手のようです。
足の下や、わきの下には、夜を表現する象徴たちが刻まれています。
一方『昼』の男性の方は顔が未完成なのか判然としません。
体の下には『昼間』を表す象徴は何も彫り込まれてはいません。
もしくは体の反対側に隠されてしまっているのかもしれません。
今回修復中であった反対側の『ロレンツオ』の足元の彫刻は、『曙』と『黄昏』
であることと併せて考えれば、この空間を支配するもの、つまり『ミケランジェロ』
が主張したかったものは『とき』ではなかったのでしょうか?
この移ろいやすい時しかしその時によって人間は生きている。
そんなことを表現したかったのではないかと思っています。