★ある女性の叫び アルテミジア ウフィッッイ美術 フィレンツェ
アルテミジア・シェンティレスキ 1593-1652
ホロフェルネスの首を斬るユデット 1612 頃
私はこの絵を始めて美術館で見たときに「なんと、リアリティーにあふれ、迫力がある絵か」と思わず見とれました、この絵からはある種の『情念』があふれ出していて私を離さないような力がありました。
このテーマでは、たくさんの画家が作品を描いています、題材も題材なので、それぞれが其の場面のドラマツルギーを競うようなところがあります。
しかし、本作品は、その残酷なドラマから来る衝撃とはまた違う、作者が自らの身を切るときに出るような、呻きや、叫びが聞こえてくるかのようでした。
『おのれの首を縊り取ってやりたい』そんな声が聞こえてくるようです。
ネットでこの作品の作者について調べてみました。
『アルテミジア・シェンティレスキ』1593-1652、17世紀のカラバッジオ派の画家
この『アルテミジア』実は残酷な経験を若いころに経験しています。
彼女の才能を評価した父親が『トスカーナ派』の先生を付けます、しかしその先生が結婚するという嘘を言って関係を持ちます。
このことを知った父親は激怒して教会に先生を訴え、裁判になります。
しかし、彼女はこのころ他にも関係を持っていたこともあり、先生は無罪となります。逆に彼女は裁判の途中で拷問まがいの扱いを受けます。
そして、尻軽女というレッテルを張られてしまいました。本作品は『アルテミジア』がこの作品を描いていたころと被っているようです。そして、この『ホロフェルネスの首を斬るユデット』は、彼女が『ユデット』に身をなぞらえて、男社会に対する憤怒をこの絵の中に込めたといわれています。
私がこの絵を最初に見たときに感じた衝撃はこうしたものから来るものだったのでしょう。
ちょっと、今後、この『アルテミジア』の絵があったらゆっくりと見てみようと思っています。