ATARI MUSIC STUDIO

ピアノを中心に様々な曲を編曲・演奏します。ブログでは音楽関係のつぶやきを中心に書き込みします。
※記事の無断転載禁止

ベートーベンと、彼が生きた時代(その4)

2021年03月29日 | 日記

ベートーベン本人が書いたという「ハイリゲンシュタットの遺書」の内容とは?ベートーベンが歩んだ長い苦悩の道のりについて、少しお話させていただこうと思います。


若い頃のベートーベン 画像の転載元はこちら→ ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン - Wikipedia

ベートーベンは16歳の時、ウィーンを旅しながら『フィガロの結婚』初演の成功で、名が売れつつあった当時30歳のモーツアルトを訪問しています。もしかすると、ベートーベンはフィガロ初演に立ち会っていたのかも・・・(すごい妄想)
母危篤の知らせを受け、ベートーベンは急遽ボンに戻っていますが、モーツアルトも若いベートーベンが只者ではないことにはすぐ気づいたようです。
モーツアルトは、既に親交のあった年配のハイドン先生に「ドイツからすごい才能の若者が来たんですよ」ときっと話していたことでしょう。


W.A.モーツアルト 画像転送元はこちら→ ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト - Wikipedia

ベートーベンは21歳の時、ハイドンに才能を認められて弟子入りしています。
もしかするとハイドンはモーツアルトからベートーベンのことについて事前に聞かされていたのではないか?ハイドンがボンを訪れた時、ベートーベンと会うことができたのも偶然ではなかったのではないか?など勝手に妄想を膨らませています。

いろいろ妄想しながら、ベートーベンと繋がりのある当時の作曲家たちを辿っていくのも、なかなか楽しいです。


ハイドン 画像転送元はこちら→ フランツ・ヨーゼフ・ハイドン - Wikipedia

その後ベートーベンはピアニストとして地位を確立し、音楽で食べていける道筋をつけていきました。
ようやく音楽家としての活動が軌道に乗りはじめた矢先、20代半ばからだんだん耳の不調を感じ始めます。その後、40歳で全聾になるまでの精神的な苦痛は計り知れません。ありきたりな言葉にしかなりませんが、相当に苦しんだのだろうと思います。ミュージシャンにとって耳は何より大切なのですから。ベートーベンが31歳の時、苦しい胸の内を弟のカールに宛てて書いた手紙が見つかっています。「ハイリゲンシュタットの遺書」と呼ばれています。


ハイリゲンシュタットの遺書(最初の1ページ目)
画像転送元はこちら→ ハイリゲンシュタットの遺書 - Wikipedia

手紙はかなり長文なのですが、内容をざっくり要約すると次のとおりです。
――――――――――――――――――――――
(1)耳が聞こえづらくなってからもう6年。
(2)医者に診てもらっているが良くならない。かえって年々悪くなっている。
(3)音楽家としては一番重要な「聴覚」を失うなど絶望的。
(4)人に「私は耳が悪い音楽家です」なんてとてもじゃないが言えない。
(5)難聴になってから人を避けるようになってしまった。
(6)自分が現世にかろうじてとどまっていられるのは、音楽に対する情熱があるから。
(7)私が死んだら、難聴で苦しんだことを世間に公表し、人嫌いのように思われていた誤解は解いて欲しい。
――――――――――――――――――――――
人嫌い、気難しい人と思われる原因として、主に難聴が深く関わっていたことが伝わってきます。ハイリゲンシュタットの遺書を知って、ベートーベンに対する私の印象は大きく変わりました。

酒に溺れて失職した父に代わって兄弟の面倒を見たり、わざわざモーツアルトに会いにいって音楽への理解を深めようとしたり、ハイドンに弟子入りした経緯から考えても、決して元々コミュ障だったわけではなかったとわかります。案外、人懐っこい一面も持っていたのかもしれません。

とりあえず、「ベートーベンと、彼が生きた時代」のお話はいったんここでおしまいです。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。感謝!


ベートーベンと、彼が生きた時代(その3)

2021年03月22日 | 日記

ベートーベンとはどんな人物だったのでしょうか?「楽聖」と呼ばれた人の「生きざま」とは?


画像の転載元はこちら→ ルートヴィヒヴァンベートーベン(17... (meisterdrucke.jp)

15歳頃から身長165cm。背は低いけど、わりとがっちりした体格。
祖父(ルートヴィヒ)は宮廷バス歌手。宮廷楽長にまでなった偉い人。でも3歳の時に死んでしまった。
自己中のお父さん(ヨハン)は大嫌い。小さい時、超スパルタでしごかれたし、よく殴られたし、稼いだ金はすべてお酒に変えてしまうし、お母さんをいつも泣かせるし。
ピアノやヴァイオリンは弾けるけど、実はそれほど好きじゃない。お父さんを思い出すから。
優しかったお母さん(マリア・マグダレーナ)は大好き!
兄弟は生まれてすぐ死んでしまった姉妹を除いて2人の弟がいる、2人とも大好き!

という感じでしょうか。(大きく違っていたらごめんなさい)
祖父が亡くなり、収入が激減したベートーベン一家は一気に貧乏になりました。それもそのはず、お父さんは自分の稼ぎを全部お酒に変えてしまうからですね。宮廷楽長だったおじいさんとは大違い・・・

お父さんがほどこした特訓も、ベートーベンを一流の音楽家に育てようというよりは、一家の稼ぎ頭にしたかったからなのでしょう。
「スパルタ教育」というよりは、リンチや虐待に近かったとも言われています。
ベートーベン本人はそれがすごくイヤで、音楽が大嫌いでした。でも練習してうまくならないとまた殴られるからしかたなく・・・といった感じだったのでしょう。

いつもお父さんに泣かされてばかりのベートーベンに、お母さんはいつも優しくしてくれたそうです。お母さんの支えがなかったら、ベートーベン少年はとっくに家出して非行少年になっていたことでしょう。


若い頃のベートーベン 画像の転載元はこちら→ ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン - Wikipedia

悲痛な過去が直接の原因かどうかはわかりませんが、ベートーベンは大人になっても時々意味不明の行動とって、周囲を混乱させることがあったそうです。
とても優しい内面人格を持っていながら、無口で怒りっぽい上にキレやすい。今風の言い方をすれば、まさに「コミュ障」。

周囲からはきっと、近寄りがたい人柄に映ったことでしょう。結婚せずに生涯独身だったのも、多分こっちの原因だろうと思っています。

日本の音楽授業では、かつてベートーベンについて「ドイツを代表する偉大な作曲家」とか「楽聖」などの説明がなされ、テストに出題されたりしていました。(今はないのかな?)
ベートーベンが生まれた国はどこか?とか、何年に生まれたか?とか、「運命」は交響曲第何番か?といった具合です。
はっきりいって「そんなことどうでもいい!」と思うのです。
いえ、勉強する必要がないとか、テスト勉強がいらないとか、そういう話ではありません。
そんな知識はどこにも役立たないですし、そんなものが学校のテストに出されたら、きっとベートーベンだって天国で顔を真っ赤にしているに違いありません。

「俺はそんなに偉くねえぞ!」って。

大切なのは過去の偉人を神格化することではなく、彼が不利な状況にどうもがいてきたのか、逆境に対しどう立ち向かってきたのか、苦しみの果てに彼は何を見いだそうとしたのか、私たちがベートーベンの想いにちょっとだけ寄り添うことなのだと思うのです。


ベートーベンと、彼が生きた時代(その2)

2021年03月22日 | 日記

西洋音楽史において、18世紀から19世紀までのクラシック音楽の変遷が、クラシック音楽の歴史全体の8割を占めるといって過言ではなく、なかなか興味深いことがいろいろあります。今回は、そのあたりのお話です。


画像の転載元はこちら→ ルートヴィヒヴァンベートーベン(17... (meisterdrucke.jp)

まず、クラシック音楽全体について、ざっと簡単に時系列で並べると、16世紀のバロック音楽に始まり、18世紀の古典派、19世紀のロマン派、20世紀以降の近代音楽へと続きます。
16世紀以前にも各地域の民族音楽や教会音楽などが存在していますが、ここでは割愛することにします。


画像の転載元はこちら→ クラシック名曲全史 ビジネスに効く世界の教養 | 松田 亜有子 |本 | 通販 | Amazon

日本の歴史をこの軸に当てはめて考えてみると、結構面白いと思います。
ヴィヴァルディ、バッハ、ヘンデルが活躍したバロック音楽の時代は、徳川家康が天下統一を果たし、江戸幕府による武家政権支配が始まる頃にあたります。NHKの大河ドラマ「真田丸」の時代ですね。

ベートーベンが活躍した時代は、国内統一を果たした日本で豊かな江戸文化が花開いた時期にあたります。10代将軍、徳川家治の時代ですね!
「ベートーベンは18世紀古典派の作曲家」と記憶するより、「ベートーベンは江戸時代の人!」と覚えるほうが日本人には親しみやすいかもしれません。地球上のまだどこにも、飛行機や鉄道などない時代です。もちろん、インターネットはないですし、電話すら存在していません。この頃はまだ電気が使えないのです。

ショパン、リストが活躍した19世紀ロマン派時代は、江戸幕府が戊辰戦争によって崩壊し、日本が明治時代へと突入する頃にあたります。

当時ドイツは神聖ローマ帝国ケルン大司教領でした。
日本は、元々仏教または無宗教の人が多いので、宗教のことをあまり気にする方はいらっしゃらないと思いますが、ヨーロッパでは、キリスト教のローマ・カトリック教会とプロテスタント新教との抗争がずっと以前からすさまじく、特にドイツは宗教改革運動の中心地でした。
宗教改革というと、キリスト教信者同士のけんか、衝突と捉えがちですが、実際は宗教支配を目論む国家間の利害抗争です。

ベートーヴェン一家はボンのケルン選帝侯宮廷のお抱え歌手の家系で、ベートーベンはそんな音楽一家の長男として生まれています。当然ベートーベン一家はカトリック教徒です。

「なんだよ!小さい頃から英才教育受けてたんじゃねーか!結局ボンボンかよっ!」

と思われた方もきっといらっしゃると思います。
が、実際はちょっと違っていたようです。
次回はベートーベン本人にフォーカスしてお話してみたいと思います。


ベートーベンと、彼が生きた時代(その1)

2021年03月21日 | 日記

ヨーロッパの歴史というと、国同士がすべて地続きのため、近隣諸国との戦乱が絶えなかった地域、という印象が思い浮かびます。


画像の転載元はこちら→ ルートヴィヒヴァンベートーベン(17... (meisterdrucke.jp)

日本は島国なので、他国との戦争というと世界大戦以前、海を隔てて船が行き来する争い方に限定されてきました。日本人にとって大陸国家の国境紛争というものが、今ひとつ感覚的に捉えにくい部分ではあります。

ベートーベンが生きた時代というと、30年戦争(長きにわたる宗教戦争)も終わって、まだナポレオンが攻めて来ていない頃のドイツ(神聖ローマ帝国領)です。

ベートーベンが生まれたのは1770年12月。モーツアルトはその頃14歳。日本は江戸時代。


(当時の江戸の町並み)歌川広重 東海道五十三次

ベートーベンという人が生きていたヨーロッパの時代背景と、西洋音楽史が一番ドラスティックに変化するこのタイミングが、私にとっては特に興味深く感じています。

私は元々歴史があまり好きではなく、どちらかと言えば嫌いでした。

音大で音楽を本格的に勉強し始め、モーツアルトやベートーベンが生きていた頃がどんな時代だったのかを詳しく知りたくなると、途端に西洋の歴史や文化に興味を覚えるようになりました。


画像の転載元はこちら→ 森のベートーベン... (meisterdrucke.jp)

ちなみに、日本では「Beethoven」をベートーベンと発音しますが、ドイツ語の発音だと、ルードヴィヒ・ヴァン・べートホーフェン(Ludwig van Beethoven)となります。

英語圏の発音でも「ビートホーヴェン」になるので、ベートーベンと発音するのは、残念ながら日本だけのようです。こんな世界中の人たちが認知している偉大な人なのに、日本人だけが全員、名前を間違って覚えているような気がして、なんだか複雑な気持ちになります。(え!?私だけ??)


基準音(A=440Hz)はいつ誰が決めた?

2021年03月10日 | 日記

今回は国際標準規格(ISO)のお話です。が、決して硬いお話ではありませんので、ご安心を!

時報の「ピッピッピッポーーン」と聞こえてくる音程(440Hz 440Hz 440Hz 880Hz)が基準音「ラ」です。

画像の転送元はこちら→ A440 - Wikipedia

この基準音(A=440Hz)は、1939年にロンドンで行われたISAによる国際会議で国際基準が定められたようです。

この国際基準が国際標準化機構(ISO)にISO 16として採用されました。

ISO 16:1975

Specifies the frequency for the note A in the treble stave and shall be 440 Hz. Tuning and retuning shall be effected by instruments producing it within an accuracy of 0,5 Hz.

日本語訳)『高音譜表の音符A(ラ)の周波数を440Hzとします。楽器のチューニングは、0.5Hzの精度内で行われるものします。』

情報転載元はこちら→ ISO - ISO 16:1975 - Acoustics — Standard tuning frequency (Standard musical pitch)

 

ですが、実際に私たちが普段耳にしている音楽の中に、この基準ピッチよりも若干高くチューニングされた曲を聴いている可能性があることをご存じでしょうか。

日本のオーケーストラはA=442Hzでチューニングされることが多いため、ホール備え付けの国内のコンサートグランドピアノは、A=444Hzでチューニングされていることがとても多いです。

クラシックの巨匠カラヤンは、オーケストラのチューニングA=444Hzの演奏をとても好んでいたため、カラヤン指揮の交響曲をCDで聴くと、世界標準A=440Hzより若干高いピッチで演奏されていることがわかります。これはカラヤンがより明るく華やかな音色、より迫力のあるストリングスサウンドを求めた結果だと思われます。

(指揮者カラヤンとベルリン・フィルハーモニー管弦楽団)

弦楽器の場合、ピッチを高めに設定すると弦の張りが強くなり、出音がやや大きくなります。弦楽器の音色が、全体的に華やかで迫力のあるサウンドになります。

逆にピッチを低めに設定すると、弦の張力が弱まり、暗く落ち着いた音色になります。弦楽器の音色は全体的にやや暗くなり、管楽器はより大きく太く響く傾向があります。

ご家庭の生ピアノや学校の音楽室にあるピアノも、A=442Hzでチューニングされることが一般的に多いようです。

電子ピアノ、シンセサイザーのピッチは、あとから自由に変更可能ですが、工場出荷時はA=440Hzです。生楽器を使用しないポップスやダンスミュージック、歌謡曲や演歌では、A=440Hzがよく使われているようです。

ちなみに、アメリカ国内のオーケストラでは、A=440Hzでピッチを合わせるようです。


「ヤマハ」と「カワイ」のお話

2021年03月06日 | 日記

今回は、国内を代表するピアノメーカー「ヤマハ」と「カワイ」のお話です。

(YAMAHA AvantGrand N2)ハイブリッドピアノ

画像転載元はこちら→ ヤマハ | N2 - AvantGrand(アバングランド) - 概要 (yamaha.com)

20世紀前半、ヨーロッパ先進国やアメリカで起こったピアノブームは、ピアノの楽器としての完成度を一気に高めていきました。
ヨーロッパのピアノメーカーが成熟期に入っていった頃、国内でも純国産ピアノの製造気運が高まり、日本楽器製造株式会社(現在のヤマハ株式会社)が1900年に、最初の国産アップライトピアノを製造、1902年に、こちらも国産初となるグランドピアノの製造を開始しています。
河合楽器研究所(現在の株式会社河合楽器製作所)は、1927年(昭和2年)に最初のアップライトピアノを製造し、翌年にはグランドピアノを製造しています。
当時の日本は、まだピアノを個人で購入できる時代ではありませんでしたが、一部富裕層などからの需要がありました。

戦後の日本もやがて高度成長期に入り、豊かな生活を求めてピアノの個人需要が高まります。
たくさんのピアノメーカーが生まれ、様々なブランドのピアノが数多く誕生しました。

その中にあってヤマハ、カワイが急成長した理由は、メーカー主導でピアノ教室の運営に尽力したことがとても大きいと思います。
ピアノを買っても、ピアノを教えてくれる先生が身近にいなければ、宝の持ち腐れですからね。

ヤマハ音楽教室や、カワイ音楽教室は、それぞれ独自に開拓した全国のレッスン会場で、同じテキスト・同じカリキュラムでレッスンを行います。
家の都合で引っ越したとしても、引っ越し先の音楽教室でまた同じ教材を使って、今までの続きのレッスンが受けられるわけです。

(KAWAI NOVUS NV10)ハイブリッドピアノ
画像の転載元はこちら→ NV10|製品情報|河合楽器製作所 製品サービスサイト (kawai.jp)

どちらの音楽教室も、ピアノの上達よりも、のびのび音楽を楽しむ心を育むことに重点を置いています。
多くのレッスン経験をメーカー側も共有しており、教材開発の高さも相まって、音楽の知識、基礎力は充分に養われることと思います。

最近では少子化に加え、ピアノを習う子どもが激減しているため、かつての音楽教室の賑わいはなくなりつつあります。
音楽教室でリトミックや英会話、絵画教室も併設して教室運営を維持しているのが現状です。

塾に通う子どもはたくさんいますが、習字やそろばん、ダンスやピアノを習う子どもは少なくなりました。
これも時代の流れなのでしょう。

学校の教育カリキュラムでは、図工、美術、音楽、技術・家庭科の時間割り当てがどんどん減っています。
豊かな心を育むには、英語や算数以外にも、子どものうちにたくさん経験しておくべきことがあるんじゃないか、と私などは思うのですが。
最後はなんだか愚痴みたいになってしまいました。ごめんなさい^^

さて、話を元に戻します。

世界3大ピアノメーカーのひとつ、ベーゼンドルファーを以前ご紹介させていただきましたが、2008年からベーゼンドルファーはヤマハの100%完全子会社になりました。

買収時にいろいろと混乱があったようですが、ベーゼンドルファー本社は今もウィーンにあり、技術メインテナンス会社としてベーゼンドルファーピアノの修理、メンテナンスを請け負っています。

ヤマハの自動演奏機能がついたベーゼンドルファー

画像の転載元はこちら→ 伝統のウィンナートーンとヤマハの最先端テクノロジーが融合、聴く楽しさも堪能できるピアノ ベーゼンドルファー 自動演奏機能付きピアノ『Bösendorfer Disklavier Edition』 - ニュースリリース - ヤマハ株式会社 (yamaha.com)


アコースティックピアノと、電子ピアノ

2021年03月04日 | 日記

アコースティックピアノ(通称、生ピアノ)と電子ピアノについて、個人的感想も少し交えながら、語ってみようと思います。

(フリー素材)提供元→ [フリーイラスト] ピアノを演奏する小人 - パブリックドメインQ:著作権フリー画像素材集 (publicdomainq.net)

例えば、子育てが終わって自由な時間が持てるようになった、定年退職して趣味に使える時間が増えた、という方々が「楽器を本格的に習ってみたい」と思ったとき、最初に生ピアノと電子ピアノどちらを購入するべきなのでしょうか。
もし子どもが「ピアノを習いたい」といってピアノを購入しよう、と考えた場合はどうでしょうか。ピアノの先生が仰るとおり、やはり生ピアノを購入しないとダメなんでしょうか・・・
そういった場合、おそらく正解は存在しないと思うのですが、ひとつの考え方として「こんな考え方どうでしょう?」程度の雑談で聞いていただけたら、と思います。

まず、前提条件として生ピアノを買う場合、以下の要件を充分に満たしているかどうか確認しておく必要があります。
1)床の耐荷重は充分に確保されるか?入居契約に、ピアノ可と書かれているか?
2)ご近所の騒音問題に配慮されているか?
3)購入後、定期的にかかる調律代は考慮に入っているか?(1回の調律は約1万円)
4)地震で倒れる場合のことを、想定に入れているか?

今や近所の騒音問題は世界中で深刻です。ピアノに限らず、大きな音が出る楽器をおうちで練習するのにはリスクが伴います。

また、生ピアノは調律に定期的な出費が発生します。調律しないで放置してしまうと、弦がどんどん伸びて音程が狂ってしまうからです。
弦が切れたり、音の出ない鍵盤が出てきたら、調律とは別に修理代もかかってきます。

田んぼのど真ん中の一軒家に住んでいるか、もしくは地下室のある一軒家か、防音室を整備したアパート、マンションでなければ、おうちで生楽器をのびのび演奏するのはほぼ不可能に近いでしょう。
せっかく音楽を楽しもうと思っても、結果的にリスクを増大させてしまっては何の意味もありません。

電子ピアノの場合ならどうでしょう?
電子ピアノなら耐荷重問題も、騒音問題も考慮する必要はありませんし、家に防音室がなくても、家のどこにでも好きな場所にピアノを置いて、のびのび演奏できますよね。(入居時の規約で楽器不可の記載がある場合は、電子ピアノでもNGの場合があります)

ヘッドフォンをつければ、夜中だって大音量で弾けちゃいます。家族に迷惑をかけることもありません。

「それなら選択の余地もないじゃないですか・・・電子ピアノ一択ですよね?」

と言われてしまいそうなので、ここで別の視点(ピアノ講師側)からも考えてみます。
確かに利便性や、環境問題のことだけを考えたら、電子ピアノ一択になってしまいます。
団地、アパートやマンション暮らしの方にとってはなおさらです。

でも、ピアノの先生は必ず生ピアノの購入を勧めてきます。なぜでしょう?
なぜ電子ピアノではいけないのでしょうか。

ピアノの先生から言わせると、
1)電子ピアノは微妙なニュアンスを表現できない。表現の幅が狭まってしまう。
2)生ピアノの感覚に慣れて欲しい。電子ピアノの鍵盤に慣れてしまうと、生ピアノの鍵盤を重く感じて弾けなくなる。
3)生ピアノの良さをわかった上で、電子ピアノを購入して欲しい。

となるのです。
ドラムの先生でも、家に電子ドラムを買うかどうか相談すれば、「買うより前にまずスタジオに通って、なるべく本物のドラムを叩きなさい」と言うでしょう。

1)はもっとも多い理由のひとつです。弦の振動を体で感じて欲しい、楽器の奥深さをわかって欲しいと思う、専門家としての願いです。
2)の理由は、実際にピアノを教える先生方の多くが、感じていらっしゃるご意見のようです。
3)の理由については私も同意見なのですが、もっとも初心者の方が生ピアノの良さがわかるようになる頃には、そうとうピアノが弾けてる状態でなければなりません。

「そもそも電子ピアノなど、楽器とは呼べない」と言い切る人すら、いらっしゃいます。
生楽器の良さを知れば知るほど、電子楽器が生楽器に届いていない、様々な差異がとても気になるものなのかもしれません。
生楽器の良さを充分わかってらっしゃる先生方からすれば、電子ピアノが本物のピアノに勝るはずがない、とお考えでしょう。

でも、電子ピアノをそんな「悪者」みたいに言わなければならない理由が、少なくとも私にはありません。
これから学ぼうとする生徒さんは、音楽を楽しみたい、楽器が弾けるようになりたい、というたった一つの希望を叶えたいだけなんです。
とっかかりが生楽器だろうが電子楽器だろうが、構わないんじゃないかと私は思うのです。

ただし、電子ピアノをこれから購入される方、ピアノの先生をこれからお捜しになる方は、ひとつだけ気をつけてくださいね。


「電子ピアノでもちゃんと丁寧に教えてくれる心の広い良い先生」を探すことです。

電子楽器には電子楽器の良さがあり、生楽器には生の良さがあります。良さのベクトルをどう捉えるかによって、見方、考え方は変わってくるものなのではないか、と私は考えています。


Steinway & Sons(スタインウェイ・アンド・サンズ)のピアノ

2021年03月02日 | 日記

世界3大ピアノの頂点、スタインウェイピアノについて、少しご紹介したいと思います。

(スタインウェイ コンサートグランドピアノ D274)

画像の転載元はこちら→ Model D - Steinway & Sons

ドイツ人ピアノ製作者ハインリッヒ・エンゲルハルト・シュタインヴェークが1853年、ニューヨークに設立したピアノ製造会社です。
ニューヨークとドイツ・ハンブルクにピアノ工場があります。
日本に輸入されてくるスタインウェイは、ハンブルク工場で造られたピアノがほとんどです。

最高級グランドピアノ市場における、スタインウェイ社の市場占有率は常に高く、世界の80%以上を占めています。
世界の名だたる音楽ホールには、必ずと言っていいほどスタインウェイピアノが常設されています。

スタインウェイのピアノは世界の最高峰と誰もが認める、ピアノの頂点とも言うべき存在です。
スタインウェイ社は、ピアノ製造に関わる特許を100以上有しており、さらに多くの賞も受賞してきました。
しかし、そのことが逆に、ピアノの技術革新を妨げているのではないか?と批判されてもきました。
とはいえ、期限切れ特許や、古い技術や製法についての特許は、今では使われることがないものも多数存在するため、特許の多さがスタインウェイの優位性を保ち続けているわけではありません。

スタインウェイ・アンド・サンズは、確かに世界最高のピアノメーカーですが、やはりそれなりに値段が高く、毎年それほどたくさん売れるわけでもありません。
また、ピアノは定期的にきちんとメンテナンスすれば40~50年もつため、車と違ってどんなお金持ちの方であっても、生きているうちに2台目のスタインウェイを買う、という人は希だと思います。個人で購入するには、あまりにも高額なピアノです。

そんな事情もあってか、スタインウェイの技術を継承し、やや価格を抑えて造られたスタインウェイブランドが実は2つ存在します。それが、ボストン(Boston)ピアノと、エセックス(Essex)ピアノです。

(ボストンピアノ)画像の転載元はこちら→ ボストン | 世界最大級のピアノ販売モール グランドギャラリー|中古ピアノ販売、中古グランドピアノを購入するならグランドギャラリー愛知 東京 (grandg.com)

ボストンとエセックスピアノは、どちらもスタインウェイブランドなので、スタインウェイが持っている特許技術を使用できます。
スタインウェイとまったく「瓜二つ」とはいきませんが、自宅でひたすら練習に打ち込むには、最良のピアノと言えるでしょう。

(エセックスピアノ)画像の転載元はこちら→ Essex エセックスピアノについて | 横浜 馬車道ピアノサロン (pfpf.jp)

またボストン、エセックスとも、後から「やっぱりスタインウェイが欲しい!買い直したいっ!」と思った時、購入から10年以内であれば、スタインウェイ購入時に、すでに持っているピアノを購入価格で下取りしてもらえるサービスまであります。下取り価格との差額のみで、なんとスタインウェイが買えるのです。なかなか粋な計らいですね!

興味が沸いた方はぜひ、スタインウェイ公式サイトを訪れてみてくださいね。

Steinway & Sons


Roland FANTOM8がおうちに届いた!

2021年03月02日 | 日記

注文していたRoland FANTOM8がおうちに届きました!やったぁ!

箱デカイ・・・しかもすっごく重たい。

ワクワク・・・

指定位置に設置完了です。横幅がけっこうあるので、壁ギリギリですw

床から鍵盤までの高さは、グランドピアノ鍵盤に合わせて、ぴったり73cm!

FANTOM8は、机上から鍵盤までの高さがちょうど10cm。グランドピアノと同じ鍵盤の高さにしたい場合は、高さ63cmの机に置くと良いようです。

88鍵幅は1225mmで、グランドピアノ鍵盤とピッタリ同じです!安心しました。

黒鍵の長さは90mmでした。ヤマハやカワイのグランドピアノと一緒ですね。

白鍵の長さは150mmでした。ヤマハやカワイのグランドピアノと一緒ですね。

3本ペダルのフットスイッチも購入しました!結構大きい!重たい!

ペダルの接続コネクタは、3つとも3極プラグでした。3本ともハーフペダル対応のようです。

高さの変えられるピアノ椅子も買いました!こちらはAmazonでポチリ。

設置完了!腕の筋5本くらい切れたかもw 結構大変でした。

個人的感想ですが、FANTOM8とっても重たいです。箱から出すだけでもかなりの腕力が必要となります。

楽器を持ち上げるのは、おそらく女性1人ではきついだろうと思います。私は男子なので1人でなんとか持ち上がりましたが、設置や移動は2人で作業したほうが無難かなと思います。

最後に、楽器選定や試奏の段階でいろいろ相談にのってくださった、島村楽器新宿PePe店様、Roland Factory様に深く感謝申し上げます。本当にいろいろありがとうございました!

とっても満足です。これからたくさん弾いていこうと思います。


Bösendorfer(ベーゼンドルファー)のピアノ

2021年03月01日 | 日記

ヨーロッパを代表する世界の3大ピアノのひとつ、ベーゼンドルファーピアノについて、少しご紹介したいと思います。

画像の転載元はこちら→ Bösendorfer Japan - ベーゼンドルファー・ジャパン (boesendorfer.com)

日本国内でも、スタインウェイに次いで人気が高く、多くの音楽ホールに常設されています。
その音は深く、伸びやかで、繊細なタッチから力強いタッチまでまったく破綻がありません。

コンサートグランド(モデル280VC)は、「歌う音」と評され、室内楽、クラシック曲、ジャズからポップスまで、幅広いジャンルの表現力に応えるコンサートピアノとして定評があります。

「モデル290 インペリアル」は、ベーゼンドルファーをもっとも象徴するコンサートグランドピアノです。
モデル290は、最低音のラ(A0)よりもさらに低いド(C-1)まで9鍵盤を拡張しています。
これは、イタリアの作曲家でピアニストでもあったブゾーニの要望に応えたもので、ドビュッシー、ラヴェルなど印象派の楽曲を、より忠実な響きをもって再現することができます。
この拡張鍵盤は『弾くため』というより、ダンパーペダルを踏んだ時の『共鳴効果』と、弦同士の『共振効果』が狙いです。より豊かなピアノ本体の箱鳴り、繊細なタッチから導かれるpp(ピアニシモ)を、できるだけ長く美しく響かせるための工夫と言えるでしょう。普段演奏する時、この鍵盤に指が触れることはまずありません。
「現代音楽の演奏のために拡張された特別な鍵盤」と誤解されている方が多くおられるようですが、残念ながら違います。

(モデル290 インペリアル低音部の拡張鍵盤)


ピアニストがこのピアノを弾くときに余分な鍵盤にまどわされないよう、拡張された左側の9鍵盤は、通常時は黒蓋で塞がれており、白鍵部分は黒檀鍵盤に加工するなど、演奏時に混乱をきたさないよう配慮されています。

また、ベーゼンドルファーの巻き弦(低音部の弦)は、こだわりの手巻き銅線で、ベーゼンドルファーピアノならではの豊かな響きを生み出すのに、一役買っています。
手が直接触れる鍵盤部は、スタインウェイの鍵盤も作っているドイツ・クルーゲ社製鍵盤です。
ヨーロッパの高級ピアノのほとんどは、クルーゲ社製鍵盤を採用するため、鍵盤のさわり心地は、スタインウェイピアノとほぼ一緒です。

興味が沸いた方はぜひ、ベーゼンドルファー公式サイトを訪れてみてくださいね。
Bösendorfer Japan - ベーゼンドルファー・ジャパン (boesendorfer.com)

 

「ベーゼンドルファーの完成度の高さは、私の最も厳しい要求さえ超えている」
                    フランツ・リスト